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人嫌いなねこ~ロクちゃんとの日々~

2022年11月、我が家の自宅の庭に1匹の猫が現れました。
口から血が混じった茶色い涎を出し、やせ細った体は泥だらけでたくさんの毛玉ができ、異臭を放っていた猫。それがロクちゃんです。

2022年11月、自宅の庭に現れたロクちゃん。
同年7月に愛猫を看取ったばかりで、当時は
新たな猫を迎えることは考えていませんでした。

元来、猫は寒さに弱く、放置すれば死ぬことは明白だったため、すぐに保護して動物病院に連れていきました。その様子から猫エイズ、猫白血病ウイルスの感染を覚悟していましたが幸運にも陰性、しかし猫風邪の原因の一つであるカリシウイルスには感染していました。
カリシウイルスは感染すると体内に残り完全に退治することが難しいため、対症療法しかないといわれています。ロクちゃんの場合は、猫風邪のほか、ウイルスの特徴の一つである口内炎を患っていて、鼻腔まで到達する穴があくほど症状は悪化していました。
保護当初は応急処置のみで、その後の治療は体力をつけて健康状態が良くなってから…ということになりましたが、容体が安定するまで1週間の入院が必要でした。
自宅に迎え入れた直後は、ケージに入れたドーム型のハウスに隠れ、人が部屋にいるときは一歩も出てこないばかりか、ご飯もお水も飲まず、フードの入れ替えをするときでも猫パンチが飛んできます。
こんなになるまで、人を怖がるなんて…。どれだけいじめられ、恐ろしい思いをしてきたのだろうか? 考えるだけで涙が出ました。

引き取ったばかりのころ。
絶えず警戒していて、緊張感MAXの表情。

2週間が経った頃には、警戒しながらも人前でガツガツとご飯を食べ、夜中にはケージから出て部屋の中を探索するなど、環境に慣れつつある様子が感じられました。
それでも人間には全く心を許さず、近づこうものならイカ耳にして姿勢を低く、シャーッと威嚇します。

1か月が経ち、少し落ち着いて表情も穏やかに。
それでも警戒は怠りません。

3カ月が過ぎる頃には体重も5キロ近くになりましたが、栄養状態が良くなっても口内炎は治らず、タオルには血が混じった涎による茶色のシミが何個もできていました。
獣医さんに相談すると、「全抜歯をしたらどうか」との提案を受けました。歯の周りは食べ物が当たるため炎症が起きやすく、全抜歯すると1年ほどで口内炎が治る可能性があるのだとか。
幸い、猫は歯がなくても小粒のドライフードだったら問題なく食べられる(飲みこめる)そうで、実際、ロクちゃんはすべての歯を抜いた後も市販のフードを普通に食べてくれています。(もちろんフードは小粒を選び、ウェットフードは細かくするなどしています。)

ロクちゃんを威圧しないよう、
できる限り姿勢を低くして接するようにしています。

残念ながら、全抜歯後して1年10カ月が経った今もロクちゃんの口内炎は治らず、炎症を抑えるためのステロイドと、副作用防止のための胃薬を1日おきに投薬しています。
さらに残念なことに、家族に迎えてから約2年が経った現在も、触らせてはくれません。
できることなら毎日撫でてぎゅーっと抱きしめ、ブラッシングをしたり、おもちゃで遊んだり、一緒の時間をたくさん過ごしたいと思っています。
でも、ロクちゃんにはロクちゃんのペースがある。
私が愛情を注いで一生懸命お世話をしても、私が知らない過酷な日々を生き抜いていたロクちゃんにとっては、2年は人間への信頼を取り戻すには十分な時間ではないのかもしれません。
それでも、最近は私のタオルケットの上で昼寝をしたり、鼻チュンも普通にできるようになりました。少しずつですが、距離が縮まっていることを感じています。

鼻チュンは毎日OK!
鼻をヒクヒクさせながら匂いを確認する様子が
可愛くてたまりません。
今年の夏は、ようやく私の匂いにも慣れ、
私のベッドで気持ち良さそうに寝るようになりました。
まだ一緒には寝てくれないのだけれど…

いつか完全に信頼してくれることを信じて、これからも毎日ロクちゃんに目一杯の愛情を注いでいこうと思います。


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