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ふとん

生まれ変わったら何になりたいか。それは猫一択。

田舎の車通りの少ない家で放し飼いされる猫になりたい。

適当な時間に置き、朝ごはんくれと人間の頭の上に尻を乗せて飼い主を起こし、器用な手で水道の水を出し、流れている水を飲むという贅沢をし、水道の閉め方を知らず、水道料金が高くなる原因を作る。

外へ出せと鳴きネズミや小鳥を追っかける。はれた気持ちのいい日には道路の真ん中で日向ぼっこをする。

しかし車の音には敏感だ。道路を渡るときに飛び出したりはしないし車が来たら遠くへ行く。

腹が減れば家に入り、おやつくれ、と飼い主をよぶ。

暑い日はクーラーのついた部屋で眠り、寒い日はコタツを我が住処とする。

年をとれば、家の中でぬくぬくと眠り、気づいたらあの世にいる。

これが私の来世だ。


しかし残念なことに、もし私が来世に猫になれたとて、うれしくないだろう。そんな願望はもう記憶にないのだから。

なるべく今世のうちにこの猫に近い生活を送る努力をしようと思う。

とりあえずぬくぬくお布団のうえでもうひと眠りしよう。


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