見出し画像

強みを活かしてリブランディング

昨年の夏にリブランディングを行った。
ありがたいことに開店18周年を迎え、コロナもあって苦労はしたけれど、まったくの素人からスタートしたお店にしては、まあまあそれなりの実績を積んでくることができた。
しかし、名前が知れて、百貨店などでも売るようになり、逆にコモディティ化した部分もある。今まではこれでやってきたけれど、ここからの10年を新たに進んでいくために、手を打つことが必須だと思っていた。
タイミング的には、コロナが収束に向かい、まもなくマスクなしの暮らしができそうだというところ。
さて、どうする?

そんな中で私は本格的に「ブランディング」について学び始めていた。
そもそもブランディングのおかげでここまで来ることができたのだから、こらからの打ち手もきっと、ブランディングにあるに違いない。
直感的にそう感じていた。

そして出した答えが「リブランディング」。
今ある楽楽の強みを最大限に活かして、新たな視点を前面に出していく新たなブランドを考えよう。

講座の中では、実践的に新たなブランドステートメントをつくるワークがあり、そこで初めて、環境分析が重要だと知る。
PEST分析、クロスSWOT分析、そして3C分析。
そうやって、客観的に今の楽楽を見ることで、どんな立ち位置で、どんな魅力を顧客に打ち出していくのがいいのかを戦略的に考えていく。
その工程の中で、講師の先生が言ってくださった一言が大きなヒントとなった。「お味噌のパンは、どうして売れるんでしょうね?」
おいしいから。珍しいから。ずっとそう思っていた。
でも、考えてみれば、これまで多くのパン屋さんに「うちでも売ってみたんだけど、全然売れないんだよね」と言われてきた。真似だから売れないのかな?そんな風に思ったいたけれど、そう単純なものでもないのかもしれない。

もしかしたら、味噌という和の調味料が、川越という和の街の魅力と相まって、独自の魅力を生み出し、その世界観こそが人気の秘密なのかも。

そんな仮説が生まれた。あらためて環境分析を見直してみると、自店の魅力、強みが明確になっていく。(ただし、仮説を先に立てることでゴールを誘導してしまうと環境分析が出来レース化してしまうので要注意)

そうやって「小江戸の和パン」というコンセプトができあがった。
世の中にたくさんあるパン屋さん。でも観光地で観光客がたくさん来てくださるパン屋さんはそれほど多くないだろう。
そのことを後ろめたく思ったこともあった。パンという日常の商品をつくっているのに、観光客が多いなんて邪道じゃないか、地元のお客様を大切にすることが活路なはずと。
しかし、これも楽楽の個性であり、強みであり、財産だ。
それを誇りとし、活かさなくてどうする。

そんな風に思って、ここでしか買えないパン「和パン」をテーマにリブランディングすると心に決めた。
パンは、エジプトで生まれ、キリスト教とともに世界に広がり、その国々の気候や文化を背景にその国ならではのナショナルブレッドを生んできた。
お饅頭という伝統的な菓子を持つ国日本だから、あんパンは生まれたし、あんパンがあったから、具材を包むという発想の中でカレーパンが生まれた。

本格的なパン屋さんなら、フランスやドイツの伝統的なパンに挑戦すべきだという考え方もあるだろう。しかし、せっかく川越まで来て、並んでまでパンを求めてくださるお客様がいるのだから、ここでしか買えないパンを提供するのも私たちの使命なのではないか。

また、スタッフたちにとっても、未来のナショナルブレッドをつくるという大きな目標となるだろう。

そんな思いをいっぱいに込めて「小江戸の和パン」は誕生した。
まだ爆発的にとはいかないが、少しずつ和パンに対する口コミも増えている。スタッフたちと共に。じっくり大切に育てていきたいと思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?