帷の怪盗〖4人用〗男2:女2:不問0
あらすじ:怪盗は帷に消えた…
■詳細
舞台:イギリス ロンドン
時代:1990年代
ジャンル:恋愛
公演時間:10分
人数:4人
※(N)は独白
【✿】は効果音
()の中の文は動作や描写
■配役
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※ニュースキャスターはキングが兼役
※クイーンの母はエースが兼役
クイーン(N)「夜帷が下りる。その様子を見て、私はまた…あの怪盗を思い出してしまう…。」
【✿】電車の音
クイーン(N)「あの怪盗に、早く会いたい。惹き込まれるような甘い香りと声。」
ク「ジョーカー様…」
【✿】猫の鳴き声
クイーン「ジャック、どうしたの?」
クイーン(N)「その時、窓の外から何かが飛んできた。」
(トランプが飛んでくる)
クイーン「え、トランプ?…」
クイーン(N)「それは、JOKERのトランプだった。そこには短く、こう書かれていた。」
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※ジョーカー役が独白
針交わりし
子の刻...
愛しき宝を
頂きに参る
怪盗ジョーカー
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クイーン(N)「このカードを見た時、あの怪盗と初めて会った日のことが鮮明に蘇ってきた。」
■5年前…
ジョーカー「っ!…っ!てあっ!」
(ジョーカーは家々の屋根を飛び移る)
ジョーカー「よっと……ふぅ。」
ジョーカー「待ってろよ…漆黒の金剛石…」
ジョーカー「っ!…っ!(また飛び移る)」
●クイーン家:PM22時50分●
【✿】電車の音
クイーン「〜♪(鼻歌)」
クイーン「だいぶ涼しくなってきたな〜。」
クイーン「ふわぁ〜…(あくび)」
クイーン「もうすぐ、秋ね…」
ニュース「ここで、速報が入りました!なんと、本日セカンド博物館に、怪盗ジョーカーから予告状が届いていたとのことです!」
クイーン「えっ?!ジョーカー様?!」
二ュース「警察の情報によりますと、ジョーカーは本日セカンド博物館に展示が開始される、漆黒の金剛石が目的とのことで、警察は厳戒態勢で…」
クイーン「あのジョーカー様が、ついにこの街に…」
クイーン「もしかして、奇跡的に見れたりしてっ…きゃぁぁぁぁ///(照)!」
【✿】ドアを開ける音
クイーン母「クイーン?叫んでないで、そろそろお風呂入りなさい?」
ク「えっ?!あ、はーい!」
●セカンド博物館:PM23時00分●
キング「おいエース!遅いぞ!」
エース「す、すみませんっ」
キング「ったく、最近たるんでるぞ!」
エース「たるんでなんていませんよ…」
キング「いぃや!たるんでる!なんだそのヨレヨレの制服は!」
エース「ほえ?!…ほ、ほんとだ」
キング「(大きなため息を吐く)」
キング「あのなぁ、今日はなんの仕事を任されたか、忘れたのか?」
エース「え、えーっと…博物館の守衛です。」
キング「うむ、概ね正解だ。」
エース「やったぁ〜」
キング「馬鹿野郎!一番大切なことを忘れてるってんだ!」
エース「一番、大切なことですか?」
キング「(また大きなため息を吐く)」
キング「先日、怪盗ジョーカーからの予告状がこのセカンド博物館に届いた。」
エース「え、あのジョーカーからですか?!」
キング「そのため、国内外問わず、総勢6000を超える警官…その他もろもろが集まった。」
エース「……」
キング「予告状にはこう書いてあった…。【夜帷が満ちし時、【漆黒の金剛石】を頂きに参上する。守れるものなら守りきってみるがいい。 怪盗ジョーカー。】とな。」
エース「かなり挑発的ですね。」
キング「あぁ、だからこそ…俺はなんとしてでも、奴を逮捕し、豚箱の中に放り込みたいんだ。お前も、警官としての威厳を持て!」
エース「先輩…。私、精一杯頑張ります!」
キング「わかってくれたんだな。」
エース「はい!ジョーカーが現れたら…すぐ先輩に連絡します!」
キング「…もうお前とは相棒解散だ。」
●ビッグ・ベン付近:PM23時30分
【✿】電車の音
ジョーカー「…満月か。俺が一番好きな月だ。風向きも上々。」
ジョーカー「ふぅ…(息を吐く)」
ジョーカー「さぁてと…」
(ジョーカーは黒い帽子を被り直す。)
【✿】指を鳴らす音
ジョーカー「レッツ…ジョーカータイム…♪」
(ジョーカーはビッグ・ベンから飛び降り空を飛び始める)
●セカンド博物館前
エース「…ジョーカー、まだ来ませんね。」
キング「焦るな。奴はいつどこから来るかわからない。気を引き締めろ。」
エース「わかりました…。」
(間)
エース「先輩?」
キング「あ?なんだ」
エース「先輩は、ジョーカーを見たことはあるんですか??」
キング「(黙る)」
エース「あれ?先輩?」
キング「仕事の最中だ。そろそろ私語を慎め。」
エース「はい…」
キング「…」
エース「…」
エース「先輩?」
キング「なんだ?」
エース「お、お…お」
キング「なんだようるせぇな。(イライラしてるように)」
エース「…おしっこ。」
キング「とっとと行ってこい!(ブチギレ)」
エース「はい!」
(エースは博物館内に入る)
キング「ったく…警官としての心構えがなってない…これだから最近の新人は…」
(と、そこに警官が歩いてくる。)
※中身はジョーカー
警官「お疲れ様です!キング警官!」
キング「失礼だが、君は誰だ?」
警官「はい!パリより参りました!シリウス・カースと申します!」
キング「カース君だね。」
警官「よろしくお願いします!」
(2人は握手する)
キング「うむ、いい返事だ。ところでカース君は、ここへ何しにきたんだい?」
警官「博物館内の警備がありまして…」
キング「館内?すでに60人ほどいるはずだが?」
警官「そうなんですよ。上の派遣ミスですかねぇ?」
キング「なにぃ?そんなことがあるのか…。若いのに大変だな。通ってよし!」
警官「お疲れ様です!」
キング「いやぁ…実にしっかりとした青年だ。未来は明るいなぁ…」
●セカンド博物館内:PM24時00分●
ジョーカー「…侵入成功っと。」
ジョーカー「キング・エバンズ…。武闘派という噂があるため警戒していたが…。期待はずれだったな。さてと…」
(ジョーカーは帽子を深くかぶる)
ジョーカー「そろそろ、チェックメイトだ。」
(ジョーカーは走り出す!)
エース「ふぅ…スッキリした。」
エース「先輩、トイレぐらいで怒らなくてもいいのに…。」
【✿】走る音
エース「ん?先輩かな?…」
ジョーカー「げっ…」
エース「あ!あ!あぁ!」
ジョーカー「クソっ!こんなとこにもいたか…」
(ジョーカーは煙玉を取り出す)
エース「と、とまれぇぇ!」
(エースは警棒をブンブン振り回す)
ジョーカー「最短で漆黒の金剛石まで行くしかねぇか!(小声)尺的にもな…」
(煙玉が爆ぜる)
エース「きゃぁぁぁ!」
ジョーカー「じゃあな。」
(ジョーカーが再び走り出す)
●セカンド博物館前PM 24時03分●
キング「遅いな、まさか迷子になってるわけじゃねぇよな…」
キング「いや、アイツならありえる。無線で連絡してみるか。」
エース「た、た、大変ですぅ〜!!」
キング「みっともない走り方するな!んで、どうしたんだ?」
エース「ジョ、ジョーカーです!ジョーカーが現れました!」
キング「……なに!?」
エース「だからジョーカーです!」
キング「馬鹿野郎!!なぜここに戻ってきた!」
エース「だって、煙玉で視界を奪われて!」
キング「くだらない言い訳はいい!ジョーカーは今どこにいる!」
エース「展示室かと!」
キング「エース!援護しろ!拳銃の準備だ!奴を殺してでも止めるぞ!」
エース「は、はい!」
【✿】走る音
キング「来るぞ!」
エース「っ!(銃を向ける)」
ジョーカー「ん?」
キング「撃てぇぇぇ!」
エース「っ!」
【✿】銃声
ジョーカー「おっと、あぶねぇな。」
キング「か、かわした、だと?!」
エース「止まりなさい!ジョーカー!」
ジョーカー「構えるだけじゃ意味ねぇぜ?」
エース「え?!」
ジョーカー「おらよっ!」
(閃光弾が爆ぜる)
キング「うっ!」
エース「きゃぁ!」
ジョーカー「じゃあな!」
キング「クソがァァァ!」
【✿】銃声
【✿】金属音
ジョーカー「っ!…やるじゃねぇか!キング・エバンス!」
(逆回転しつつジョーカーは飛び去る)
キング「待てぇぇえ!戻ってこぉぉぉおい!!怪盗ジョーカーァァァァ!!!」
●クイーン家PM24時15分●
クイーン「なんか、外が騒がしいな…」
クイーン「もしかして、ジョ…(言いかける)」
【✿】ドサッ!と落下音
クイーン「え?!な、なに?!」
ジョーカー「いてててて…」
クイーン「え?…え?!…ええぇぇ?!」
ジョーカー「あ?何見てんだ?お前。」
クイーン「あ、う、あ、その…えーっと」
ジョーカー「っち(舌打ち)。羽が折れてやがる。あいつ、最後の最後にやってくれんじゃねぇか。今度あったら絶対ぶちのめす…」
クイーン「も、もしかしてジョーカー様ですか?」
ジョーカー「だったらどうした?警察にでも通報するつもりか?」
クイーン「いやいや!そんなことしないですよ!」
ジョーカー「ふぅん。珍しい奴だな。それともただの馬鹿か?…」
クイーン「…」
ジョーカー「あ、あとちょっとの間、屋根貸してくれ。すぐいなくなる。」
クイーン「え?!あ、はい。」
ジョーカー「……(作業をする)」
クイーン(N)「ジョーカー様…綺麗な目。映像よりめちゃくちゃイケメン!それにいい匂い…」
ジョーカー「おい」
クイーン「ひゃ、ひゃい!」
ジョーカー「さっきから何ジロジロ見てんだ?」
クイーン「あ!ご、ごめんなさい!」
ジョーカー「……(見つめる)」
クイーン「う、あ…」
ジョーカー「お前、意外に可愛いじゃん」
クイーン「えっ//(照)」
ジョーカー「…(羽のだ 修理に戻る)」
クイーン(N)「可愛いって言われちゃった!きゃぁぁぁ///」
ジョーカー「…体くねくねさせて、変なやつだな。」
クイーン「あ、あの!」
ジョーカー「…あ?」
クイーン「私、ジョーカー様のこと…」
ジョーカー「無理」
クイーン「答えるの早いぃ…」
ジョーカー「当たり前だろうが…年齢とかそれ以前に、俺は怪盗だ。一般人と恋なんてできねぇよ。」
ク「そんなことないです!」
ジョーカー「さすが子供。考えが短絡的だ。」
クイーン「…(じっと見つめる)」
ジョーカー「それに、俺の女になるってのは、自分の人生を全て棒に振るってことだぞ?命の危険もある。」
クイーン「そんなこと分かってる!」
ジョーカー「っ?!お、お前それ本気で言ってんのか?」
クイーン「(うなずく)」
ジョーカー「…そうか」
クイーン「…?」
(間)
ジョーカー「冷血のマジシャンとまで言われた俺が、こんな気分になるなんてなぁ。」
クイーン「え?」
ジョーカー「この、なんともいえない胸の、フワリとする感覚。悪くない。」
(間)
ジョーカー「なら、お前が十分大人になっているであろう…5年後にこの屋根にまた来てやろう。」
クイーン「え…それって」
ジョーカー「じゃあな。」
(ジョーカーは飛び立つ)
クイーン「あのー!それって嘘じゃないんですよねー?!(叫ぶ)」
ジョーカー「(微笑む)」
クイーン「…(見上げる)」
※ 「行っちゃった…」等 付け加えてもOK
■現在
クイーン「思い出したら…ますます会いたくなっちゃった…」
【✿】電車の音
ジョーカー「よぉ、何シケた顔してんだ〜?」
クイーン「えっ?!」
ジョーカー「元気だったか?」
クイーン「え、えっ?!」
ジョーカー「約束通り来たぜ…お嬢さん(ニヤッと笑いながら)」
クイーン「ジョーカー、様…」
ジョーカー「おいで、クイーン。」
クイーン(N)「私は、静かに、愛しい怪盗と唇をあわせた。」
Fin……
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