【短編台本】桜龍
男0:女0:不問2
■ 概要
ジャンル:シリアス
公演時間:3〜4分
■ 配役
・桜龍(おうりゅう)
●人を恨んでいる龍。不思議な力を持っている。
・供物(くもつ)
●村の大災害を鎮めるために捧げられた者。
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※ 桜龍の一人称は、お好きなように変更して構いません!
ここはアロルダス樹海。
いつも深い霧に包まれている。
その森の中に、白装束の子供がいる。
供物:あなたが桜龍ですか?
桜龍:(無視)
供物:あの、すみません。
桜龍:んん?…(鎌首をもたげる)
供物:あの…
桜龍:なんじゃ、人の子か…。ワシの眠りを妨げるとは、覚悟はできておるのだろうな。
供物:申し訳ありません。
桜龍:ほう、ワシを前にして怖気付かぬか。面白い。
供物:あなたが桜龍ですよね?
桜龍:如何にも。ワシがこの聖地アロルダスの守護を担う、桜龍ぞ。
供物:桜龍さん。私を生贄に、飢餓に苦しむ村の人々をお救いください。
桜龍:…それは叶えられぬ願いだ
供物:なぜです?
桜龍:彼奴等はワシの逆鱗に触れたのじゃ。人間の願いなど聞くものか!
供物:逆鱗?何があったのですか?
桜龍:とぼけるな!数多の罪なき魔獣を殺し、森を破壊し、挙句に生贄捧げ、更なる利益求む。このような蛮行、これ以上許してなるものか!
供物:………
桜龍:身勝手に殺害された魔獣達の魂。弔われることなく此処らを彷徨っておる。彼らの怨恨、嘆き…総て伝わってくる。ワシは、心が痛い。
供物:あの!
桜龍:なんじゃ?謝罪でもする気か?
供物:確かに人間は、傲慢です。怠惰で、嫉妬深く、己の欲で人を殺します。時に利益のために自然も破壊します。
桜龍:………
供物:ですが、それが人間です。
桜龍:ほう?
供物:もう、救いようがないのです。
供物:私は、親に捨てられました。捨てられた、というより…厄介払いとして生贄にされました。
桜龍:………
供物:私は、はっきり言って…人間が嫌いです。身勝手で、理不尽な…現代社会が嫌いです。
桜龍:なにが言いたい?
供物:わかりませんか?人間を恨んでいるという点は、桜龍。あなたと同じではありませんか。
桜龍:ふむ…
供物:こうしませぬか?私を、生贄とし…村に未知の疫病を流行らせるのです。
桜龍:ふっふっふ、面白い提案だ。苦しむ彼奴等の姿、この龍眼に焼き付けてくれるわ。
供物:お願いです。村の人達を…ぶっ殺してください!!
桜龍:よかろう…。
fin…
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