光明
営業職として働いている。
毎年・毎月・毎週・毎日の目標数字が設定され、
その目標に向かって、
1日のスケジュールを立てていく。
業績が芳(かんば)しくないと
上司に叱られる。
「おまえ」
「てめえ」
そんな邪気にまみれた言葉を
日々、浴びている。
言われれば、言われるほど
自分のIQが下がっていくのを感じる。
この仕事を続けられかどうかは
自分のメンタルを保てるかどうかに
かかっている。
この道から抜け出すことができたら
どんなに楽だろうか…
そう考えない日はないほどである。
* * *
でも、きっと明日も仕事に行く。
それはもがいた先に
光明(こうみょう)を得るような経験が
待っているような気がするからだ。
上司に叱られる中で、
工夫して、仕事のスピードを上げて、
エゴをすり潰して、
気を利かせて、
お客様の幸せを願い…
その先に、
もっと人やモノや場を
鮮やかに見ることができて
深い呼吸の中で、
穏やかに
全体性を感じながら
生きることができる。
そんな世界が待っていると
信じている。
そのためにはきっと、
今のまま
ぬるま湯に浸(つか)かっていては
何も気がつくことができない。
僕は凡夫(ぼんぷ)だから
他者の気持ちに心から寄り添い
モノの価値をわかり、大切にして
場の空気を感じるためには
もう少し経験が必要だ。
僕には苦労が足りない。
* * *
未来の仲間たち。
もう少し待っていてほしい。
巧妙(こうみょう)に生きられない
ただの鉄の塊のような僕が
焼かれて、打たれて、研がれて
磨かれていく様子を。
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