つぶやき物語【相続1~相続30】のまとめ(冒頭に中書き③追記)

【相続31】~は、4/15(月)スタート(o^-^)b ※物語の最初fからお読みの方は【中書き③】を、途中から読まれた方はまとめも併せて、ご一読頂けると大変嬉しいです。
【中書き③】
前職で纏め上げた相続人17名の案件は、関東から九州まで離れた地域に広がっていて、しかも見知らぬ人たちばかり。
それに比べると登場人物は親類縁者だけなので、容易いと当初は考えましたが、そうは問屋が卸さないのが身内が故の微妙な人間関係でした。
そうこうしている間にも叔母の病状は悪化し、ついに予想を越えた早さで、その時を迎えます。
ただその直前の聞き取りで、従兄弟と叔父の間で誤解や行き違いが生じていた事実を把握した私は、弟と協力しながら解決の糸口を模索するのでした。
【相続31】へ続く。
~・~・~
【前書き】
私の母には、夫に先立たれた上に子供の居ない姉が2人、居る事は以前から知っていました。
母は生前、「私が姉たちより先に亡くなったら、迷惑を掛けると思う」と言っていましたが、それか現実となったのです。
その結果、この相続問題と長期に渡り携わる事になったので、その経緯を纏めたいと考えました。
そこで、『note』への投稿を始めた事が契機となり、『つぶやき物語』として連載する事を思い付いたのです。

相続1【降って湧いた相続案件】
「相続なんて私には」と思う方も少なくないと思うが、結婚はしていなくても親が居る筈だから、必ず関わりを持つ。
私は父と母、2回に渡り相続を経験したので、当分は無いだろうと考えていたら、従兄弟からの電話で私が相続人とする案件が突然、目の前に現れたのだ。

相続2【従兄弟からのSOS】
亡母に子供の無い姉が居て、彼女が施設に入ったと従兄弟から電話が鳴った。
同じ県内に住む彼は、以前から彼女の世話をしている。
彼女には弟が居るが、高齢で遠くに住んでいて当てにならず、私へ助けを求めたのだが、「結構、貯金が有る」と、私の気を引こうとした。

相続3【相続人を特定したら9人】
叔母が施設に入ると、近い将来に発生が予想されるのが相続で、私はまず相続人を特定。夫は亡くなり子供の居ない彼女の相続権は、親が亡くなっている為、5人の兄弟姉妹へと移る。その内3人は亡くなっていたので、その分は子供へ代襲され、結果的に9人と判明。

相続4【不動産は負の動産】
叔母は専業主婦て、数十年に渡り独りで暮らし、自宅は夫の父名義の土地に夫が建てたが未登記。
更に夫は田舎で生まれ育った関係で、夫名義の田畑が有り、固定資産税は叔母が払っているが、相続登記は放置状態。
従兄弟から聞いた情報で、とても嫌な予感が脳裏を過った。

相続5【ここで私の経歴を少し】
かつて法律事務所で10年、順に土地家屋調査士、司法書士、社労士、行政書士の補助者として勤務。
登記法や民法等を学び、実務で相続~帰化と多岐に渡った。
相続案件では最多17人の相続人を扱ったので、「身内9人なら楽勝」と思ったがそうは問屋が卸さない。

相続6【従兄弟の頑張り】叔母が施設に入るに際し、その世話や保証人となったのが、唯一同じ県内に住む従兄弟。
彼は以前から彼女の外出時には車を出し、彼の母に代わりお世話役。
その母も数年前に亡くなり、叔母の弟は他府県に居て、彼とは不仲。全てがのし掛かる彼を、私は助けねばと思った。

相続7【預金情報】
叔母の施設入所費用の支払いは、JAの担当者が来て、自動引き落としにしたとの事。
ただ彼女は他3行にも預金口座を持っていたが、全てキャッシュカードを有していない為、本人以外はお金の引き出しが困難。
私は従兄弟が経費の肩代わりをしない様にと策を練る必要性を感じた。

相続8【相続と士業】
本編と離れて、相続案件が発生した際の依頼先について少し分析。
遺産分割で揉めたら弁護士、相続税が発生する程の遺産なら税理士、不動産の相続登記なら司法書士、余り用が無いのが社労士。
相談料や費用の多寡はその資格取得の難易度に準じるので、コスパ良いのは行政書士。

相続9【相続と弁護士】
弁護士に相談するなら、まずは弁護士会の、続いては市区役所の無料相談がお勧め。
しかし少し込み入った内容になると、「続きは私の事務所へ来て頂いて……」と、有料ゾーンへ連れて行かれがち。
弁護士への相談は30分で5千円前後掛かる為、依頼するのは最後の最後かな。

相続10【相続と税理士】
相続税が発生しない遺産額なら、そもそも税理士へ依頼の必要は無い為、まずは申告の必要性を調査。
所轄税務署へ電話し、『相談センター』へ繋いでもらって相談。
なお相続財産のうち注意すべきは不動産の評価で、確定出来るのは税理士の為、微妙な金額の時は依頼が必要。

相続11【相続と司法書士】
相続財産に不動産が有り、売却する場合はその前提として相続登記が必要で、その際には司法書士へ依頼。
土地について境界確定が必要な場合は土地家屋調査士へ依頼。
ただ売却処分しない場合、相談登記をせずに放置されるケースも多く、地方では大きな問題となっでいる。

相続12【相続と社労士】
相続案件に社労士が必要で無いのは何故かと言うと、社労士には代理権が無いから。
その為、相続人を特定する為に必要な戸籍謄本や住民票を取得する際の『職務上請求』が使えない。
遺族年金の請求や老齢年金の未受領分の請求が有っても、年金事務所で丁寧に教えてくれる。

相続13【相続と行政書士】
相続では相続人特定が重要で、その為には戸籍謄本や住民票を大量に掻き集める必要が有るが、それを相続人が行うと時間が掛かる。
その際に行政書士へ依頼すると『職務上請求』を使って取得し、最終的に遺産分割協議書等を作成。
※多少の揉め事なら解決への介入も可能。

相続14【叔母の体調急変】
最初の連絡から数ヵ月後、従兄弟から「体調が悪くなったので施設から病院へ移った」と再び電話が有り、私の心配は杞憂では無く現実味を帯びて来る。
まず私は不測の事態に備え、遺体引き取り~葬儀に納骨や法事等、独り暮らしの叔母を取り巻く環境についての調査を開始。
 
相続15【費用の捻出】
施設入所の保証人になった関係で、引き続き入院に際しても従兄弟が保証人となるが、入院費用については都度の支払いが必要と判明。
お金に余裕の無い彼に費用の肩代わりをさせない為に、JA担当者への依頼を指示し、結果的に転院時は特別扱いで百万円の預金引き出しに成功。
 
相続16【いざという時の準備】
叔母の体調が思わしくない現状、もし急変すると対応出来るのが、叔母と同じ県内に住み、お世話して来た従兄弟だけなので、その際の手筈を彼と打ち合わせる。
急に亡くなった場合は遺体を預かってもらえる葬儀社が必要だが、彼には心当たりが有る様で、まずは一安心。

相続17【納骨は何処のお墓へ】
自宅近くに有る亡夫のお骨が納められるお墓は叔母がお世話をしているが、夫側の親族は近くに居らず、亡くなって数十年の年月が経過しているので、法事へも誰も来ないとの事。
従兄弟の家からも車で1時間掛かるそのお墓に納骨すると、彼だけに負担が重く伸し掛かる。

相続18【相続放棄と財産放棄】
従兄弟から放棄をしたい相続人が居るとの情報から、手続きについて調査。
相続放棄は、相続開始を知った時から3ヵ月以内に家庭裁判所へ申請が必要等、簡単では無い。
厄介な財産が無ければ遺産分割で財産を受けない形の財産放棄という方法が有る事も同時に知った。

相続19【叔母の血族構成】
叔母は長子で、妹が3人続き、その後に長男、次男で、計6人。
次女である従兄弟の母、四女である私の母、次男の叔父は既に他界。
従兄弟と同じ市内に住む三女の叔母に子供は居らず、耳が全く聞こえない状況。
他府県に住む長男の叔父は車を運転する位の元気は有る。

相続20【従兄弟が叔父を嫌う理由】
叔母の弟で長男である叔父の事を、従兄弟は私に何度も愚痴る。
祖母が亡くなった際は全ての財産を譲られたのに、祖母亡き後は母親代わりの叔母を世話しない事がその理由。
このまま叔母が亡くなると、後片付けも彼が一人背負いそうなので、私は策を練り始めた。

【中書き①】
8年前のお盆に、母と共に田舎へ行き、まだ元気だった叔母たちと久し振りにお会いした。
その時、叔母たちを送迎していたのが従兄弟で、彼とは40年振りの再会。
彼の人懐っこい性格は幼少の頃と変わらず、関東から戻っていた娘さんが一緒に来ていたのが印象的でした。
しかし従兄弟から最初の電話が有ったのが、大腸癌の告知直後だったので、連絡は私の弟へしてもらう様に頼まざるを得ない状態だったのです。

相続21【放棄の意向を尊重】
三女である叔母は亡夫の長男夫婦と同居しているが、戸籍上は他人の関係。
90歳近い彼女にも実子が居らず、万一の時はやはり私たちが相続人となる図式。
親族間でも財産家と有名だったし、今後の事も考慮して、放棄したいと言う彼女の考え通りにさせて頂く事にした。

相続22【願う放棄の翻意】
末子である亡き叔父には3人の子供が居て、放棄の意向だと聞き、その長男へ電話した。
彼へ手続きの煩雑さを伝え、共に相続人となる事を勧める。
遠慮する彼へ「自分が受け取る筈の遺産を、我が子が受けてくれると、お父さんも喜ぶよ」と伝えると、彼は得心してくれた。

相続23【重荷を背負う覚悟の従兄弟】
彼へ電話すると、「叔母の家の後片付けは結局、俺がする事になると思う」と何度も口にした。
聞きながら私は、叔母の側に居るから仕方無いかなと思う反面、その代償を享受出来る術を探す。
そこで彼が葬儀から遺品整理まで行う前提で、解決策を導こうとした。

相続24【頼れる相棒登場】
私と同じく相続人であり、普段から私の事を気遣ってくれている年子の弟に相談した。
叔母の自宅は相続登記であれ解体であれ、民法上の権利を一人に集約する方が合理的な事を説明する。
そこでその負担を補填する具体的な金額として500万円を提示し、彼の賛同を得た。

相続25【分割協議案が始動】
「叔母が所有権を持つ不動産を一手に引き受ける形にして、その代わりに遺産を多めに受け取る案はどう?」と、彼へ打診する。
納得してくれるなら、私と弟で叔父を説得する事を約束し、彼の本音を伺った。
彼は上乗せ金額を一考した後、私たちへ一任する事を決心する。

【中書き②】
 従兄弟から聞かされる叔父に対する愚痴の影響で、叔父は自分勝手で無責任な人であると、私は思い込みました。
 そこで一方的に押し付けられる形の従兄弟を救いたいとの一心で、相続額の上積み案を考えたのですが、果たして正解だったのか。
 ただ考慮したのは、1千万円上乗せでは叔父を含め他の相続人からも異論が出る可能性を鑑み、悩んだ挙句の500万円。
 叔母の様態をさて置いての画策に、後ろめたさも感じつつ、親族間の揉め事を未然に防ぎたいとの正義感から、私は動き続けたのでした。

相続26【逸機痛感】
叔母の夫が亡くなった際、彼が有する財産の一部は子供が居ないが故に、彼の親族に相続権が生じる。
その辺りを従兄弟に確認すると、数年前に叔母の依頼で所有権放棄に動いたとの事。
だが、ある親族が金銭を要求したので反故にしたと聞き、好機を逃したと私は地団駄を踏んだ。

相続27【一族丸抱え】
従兄弟から、自分の母の相続の際に頼んだ行政書士が、異父兄弟への放棄手続きに大活躍した話を聞いた。
叔母の亡夫側についても調査依頼したのなら、その絡みで諸々の事情にもかなり明るい筈。
やり手そうな雰囲気を醸すその先生へ、この案件も託しみるかと私は腹を決めた。

相続28【電話越しの堅い握手】
従兄弟へ依頼した翌日、行政書士かrら電話が入ったので、今回の経緯を手短に説明した。
補助者の経歴が有る旨を告げた後、私の分割協議案を提示し、専門家の判断を仰ぐ。
その結果、私の意図やその妥当性について、彼の賛同が得られたので、正式に契約を締結した。

相続29【昔取った杵柄】
先ず優先すべきは関係説明図の作成で、戸籍謄本や住民票の入手が必須。
そこで私は機先を制し、「相続人全員分の名前は勿論、本籍地や現住所に、生年月日のデータが有れば良いですか?」と訊く。  
「助かります」、彼の言葉を聞き、過去の経験が役立つ展開に安堵した。

相続30【不意打ち朝掛け】
私は相棒である弟へ、行政書士との検討内容を伝え、該当者のデータ収集を頼む。
こうして親族間に連絡網が構築される中、1週間が過ぎた日の明けガだった。
目覚ましにしている枕元の携帯から着信音が鳴り、寝惚け眼で出ると、「叔母さん、今亡くなった」と従兄弟の声。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?