9月上旬の学科葬が学議決定 ~学科指定の「偉人」の活躍に胸をアツくしろ!!~
登場人物紹介
G(学科長だからG)……都市社会××学科の学科長。
K(記者だからK)……新キャラ。知る人ぞ知る名新聞・『都市社会新聞』の記者。都市社会××学科の腐敗を主に取材してきた。
前置き
8月上旬、『都市社会新聞』の記者Kは、とある情報筋からスクープを掴んだ。どうやら、都市社会××学科が、チェ・ゲバラ等の「学科葬」を9月上旬に開催することを、「学議決定」したらしい。
近代学科民主主義の根幹を踏みにじる決定に憤慨したKは、その真偽を確かめるべく、学科長への突撃インタビューを敢行した。……
K、ついにGを見つける
(都内某所で3日間張り込みを続けているK)
K:クソ、学科長はどこにいるんだ……。
(30分経過)
(コンビニにでも行くのか、手ぶらでKの目の前に現れたG)
K:遂に見つけた!!待て、学科長!!待て~!!
(K、Gを走って追いかける。)
G:う、うわぁ、なんだよ~、来るな~、辞めてくれ~🏃💨
K:逃さない!!ずっと張り込んで、ついに見つけたんだ!!今日だけは絶対に逃さない!!
G:うわぁ😢
(K、Gを捕え、ひとけのない公園のベンチに連れていき、座らせる。)
K:まずは事実確認をしたいんですが、都市社会××学科がチェ・ゲバラ等の「学科葬」を9月上旬に開催することを「学議決定」したことは事実なんですか?
G:は、はい、じ、事実です……。
K:ク、クソ……、学科の民主主義を何だと思っているんだ……。
(K、拳をベンチに叩きつけ、涙を流す。)
G:ま、まぁまぁ、落ち着いてよ。
K:どの立場でそんなことが言えるんだ!!ふざけるのも大概にしろよ!!
G:😢
K:ともかく、「学科葬」の「学議決定」が事実なのであれば、聞きたいことは2つです。まずは「学科葬」の内容についてが1つ、もう1つは「学議決定」という決定方式についてです。
G:わ、わかったよ~、話せばいいんだろ~。話したら解放してくれよ~。
「学科葬」で何をするのか
K:まず、「学科葬」とは何ですか。
G:この人はスゴイな、頑張ったんだな、この人の活動はみんなにもっとちゃんと知ってほしい、肯定否定含めてもっと考えてほしい、と思う人がいます。例えば有名どころだと、まぁ、ゲバラとかになるわけですが、そういう”頑張った人”を都市社会××学科として改めて紹介して、みんなで色々考えていきたいということですね。
K:いまいち抽象的で要領を得ませんね。具体的に、9月上旬に開催される「学科葬」では、何を行う予定なんですか?
G:どこかの部屋に集まって、そこでゲバラの映画を上映して、皆に見てもらいます。そして、ゲバラの活動に関してこちらでまとめた情報も付け加えながら、みんなで色々考えていきたいです。それと、直接ゲバラに関係するわけではありませんが、『反逆の神話』という本では、ゲバラを代表とする反体制的な表象が資本主義に回収されているというような議論もされているようです。そういった議論についても、時間があれば僕の方で目を通してまとめて、色々考えられればいいなと思ってます。
K:要は、映画を見て、それに関する情報も補足しつつ、学科が指定する「偉人」についてあれこれ考えていきたい、ということですか。
G:ゲバラに関しては映画があるのでそうします。ゲバラ以外にも、例えばブランキなんかについても考えていきたいですが、「ブランキ映画」なんかこの世界に存在しないので、資料をまとめることが中心となりそうです。
K:うーん…。それにしても、まだ詳細は決まっていないんですね。
G:はい。日程も開催場所も細かくは決められていないので、詳細が決まり次第、学科で使ってるDiscordの連絡網から連絡します。
K:しかし、今のところの話から考えるに、「学科葬」する必要がないじゃないですか。「学科葬」、ということは、それを開催するにあたってかかる費用は、学科のお金から捻出する、ということですよね。
G:う、うん、まぁそうかもだけど……。
K:はっきりして下さいよ!!
G:ま、まぁ、映画を借りるか中古で買うかした時の費用とか、あと、当日集まるスペースがお金が発生するタイプのスペースだった場合はそのレンタル代とかは、当日集まった人で割り勘になるかな。分かんないけど、一人50円から500円くらいは徴収するかも……。
K:学科のお金ってことじゃないですか?!学科のお金で一個人を追悼するだけのイベントを開催するなんて、どういうつもりなんですか!!××学科の学生の血税なんですよ!!
G:い、いいじゃん、ちょっとくらい😢
K:"ちょっと"って、量の問題じゃないのが分からないんですか?!
G:😢
K:それに、費用の問題だけじゃありません。学科として一個人を恣意的に選んで、それを特別に追悼するイベントを開催するということは、学科として、その個人を聖人化するというような意味合いが出てきてしまうかもしれないじゃないですか。
G:まぁ、そうかもしんないけど…。でも、ゲバラにしてもブランキにしても、"頑張って"いて"カッコいい"んだから、いいじゃん。あんまカタいこと言うなよ。
K:"頑張って"て"カッコいい"からって、それを聖人化してはいけないでしょ。
G:うーん…。確かに”カッコいい”という非理性的な感情が先立つかもしれないけども、しっかりと資料を作って議論をしたりして、諸々の理解を深めていくんだよ。
K:だからって、恣意的に選んだ個人を特権的に追悼するという行為が正当化されるわけじゃないでしょ!!
G:いや、もう本当に、何も分かり合えないほどの深い分断がこの社会にはあると思うんだよね。確かに俺も、誰かが聖人化されるのはどうかと思うけど、何かの"聖人化"がイヤだとして、その聖人化を受け入れている人を説得するよりも、異なる”聖人化”の論理を持ち出して、個人で勝手にやっていく方が楽しくないですか?
K:「都市社会××学科」という"学科"は、一個人と並列するには公的な性格を帯びすぎているよ!!そんな詭弁を弄して、己の愚行が正当化されると思うなよ!!
G:😢
「学議決定」とは何か
K:まぁ、「学科葬」で何をするのかについての質問は、これくらいにしときましょう。次に「学議決定」という決定方式は何なんですか??
G:僕と、その時居合わせた仲のいい友人三、四人で話して、「面白いね!!」ってことになって、決めました……。
K:そんな一部の人間の独断で、学科全体のイベントが決まっていいのか?!学生の声を聞いた決定と言えるのか?!
G:まぁまぁ。
K:もっと双方向的な熟議をした上で、決定は下されるべきだろ?!"学科民主主義"を何だと思ってるんだ?!
G:普段の交流会とか来てくれれば話は聞くから、そういう意味では話を聞く機会は用意してるし……。
K:それでも、充分な議論が民主的に為されているとは言えないでしょうが?!
G:充分な議論とやらを民主的に為させたいのは分かったけど、それは、学科長の僕が上からすべきことじゃないでしょ。学生側からの下からの突き上げとして、そういうものが実現されていくんなら分かるけど、一部のエリートが上から「充分な議論」を強制してもしょうがないんじゃ……。
K:おい!!そう言って、民主主義をやらない言い訳をしているだけだろ!!
G:うーん……。ていうかそもそも、別に××学科は民主主義じゃないもん。近代学科になったことなんてないからね。いつから民主主義学科だと錯覚していたの⁇
K:そ、そんな、開き直るなんて…学科民主主義の崩壊はここまで進んでいたのか……。
G:そ、そんなこと僕に言われましても😢。とにかく、今回の「学議決定」は、僕がめんどくさくならない限りは覆りません!!
K:ク、クソ……。
(K、再び拳を地面に叩きつける。)
解散
G:あ、あの、聞くこともうないなら、帰っていいですか??
K:分かりましたよ、約束ですしね。今回の取材で話して頂いたことは、余すところなく『都市社会新聞』の記事にしますよ。
G:わ、わかったよ😢何でもいいからもう解放してくれ😢
(G、その場を立ち去る。)
K:クソ、まさか、あんな形で開き直られるなんて。学科長政権を俺は絶対に許さないぞ…。
(……。)
K:ん?なんか紙が落ちてるな。どれどれ…。なんだ、学科葬の宣伝ポスターか、学科長が落としていったんだろう。
K:こんなものはどうでもいいや。
(K、紙をゴミ箱に捨てる。)
K:本社に戻って記事を書く前に、学科長が今日言っていたことをもう一度確認しておくか。
(K、取材ノートを開く)
K:「学科葬」は9月上旬に第1回が開催する予定ということしか今のところ決まっておらず、まだ詳細は未定なようだ。本当にやるのかどうかまで含めて、詳細が決まり次第、Discordの連絡網から連絡が来るらしい。discordに入って、次の連絡を待つとするか。
(K、取材ノートを閉じて、本社に移動するためにその場を立ち去る。)
(おわり)
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