見出し画像

あの虫と私

あなたは虫は好きですか?
私は苦手です。

昔はカエルを捕まえたり、トンボを追いかけたりしてたけど
今では突然動かれたり飛ばれたりしたら怖くてしかたない。

あなたは家で虫を見つけた時、どうしますか?
捕まえて外に逃がす。
殺虫剤で倒す。
握り潰す。
もしくは、見ないふりをする。

ある日の仕事中、大きい机の上を茶色いあいつが走っていました。
その部屋には殺虫剤はない。
倒すにも新聞紙も良さげな武器もない。
見逃すにも目の前を歩いていて仕事に集中できない。

タイミングよく現れた年上女性に虫の存在を報告して処理を任せてみました。

まずキョロキョロと周りを見る女性。
たぶん武器を探しているのでしょう。
やはりこれといった武器が見当たらなかったみたいです。
それから虫の動きを見つめる。
虫が文房具をまとめて入れているプラスチックの箱の裏に回った。
女性が箱を持ち上げ虫の移動を目で追う。
いや、違った。
そのまま虫に向かって箱を何度も振り落とす。
箱を武器にしたのだ。
そしてそのまま虫の上に箱を戻した。

私からは虫がどうなったのか確認ができなかったので女性に聞きました。
やったのか?と。
女性は首を横に振った。
そして、これは一時的な処理で仕事終わりに何とかする。
そう言い残し女性は去っていった。

後日。
女性に虫は片づけたのかと聞いたら、すっかり忘れていたと。

その箱は変わらずそこにある。
虫は死んでいるのか、はたまた隙間から逃げ出したのか。
私には確認することができないまま今に至る。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?