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フラストレーション

彼の言うことは正しい。 彼と一緒に居ると落ち着くし、私は正しさを手に入れられる。 彼は愛を示してくれる。 彼は私を酷く扱ったりしない。 彼と居る時の自分は好きだし、…

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芳生の青春

芳生はいつも目の暗い、だけど物わかりの早い子を選ぶ。もう少し化粧気があれば、もう少し細こかったら結構良いセン行くのになと思いながら声を掛ける。 川崎美咲という子…

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2年前

私をオフして

いやな疲れ方をしている。 疲れているのに眠れない、足は棒のようなのに勝手に足が踊り出す。壊れた自動運転の貨物列車が1両編成で到着します。危ないですので黄色い線から…

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2年前

おまわりさん

水曜日。 バニラの甘ったるい香りで喉がかすれた。 一度も開けられたことのない窓には蛾の死骸が張り付いている。 天井から蜘蛛の巣みたいな天蓋が吊るしてあって、雑巾み…

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2年前

ひろのちゃん

ひろのちゃんはいい子だった。 ちょっと全体的にふっくらしていたけど真面目な子でテストの点も良かった。 クラスの男の子から圧倒的に人気なタイプでは無かったが、こっそ…

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2年前

知らないひと

あたし奥さんよりあのひとの方が好き。 最近課長があのひとと夜歩いてるの知ってる。 大人の関係って感じで素敵だった。 あのひとは弱い。 定時終わりにうちのオフィスの…

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2年前
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あのひとがギターを見ていたから あたしは駆けていった あのひとには友達がいない 真っ黒な襟足が乾いている あのひとのカーキのカーゴパンツ 裾がきれてる あと3日はコイ…

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2年前
フラストレーション

フラストレーション

彼の言うことは正しい。
彼と一緒に居ると落ち着くし、私は正しさを手に入れられる。
彼は愛を示してくれる。
彼は私を酷く扱ったりしない。
彼と居る時の自分は好きだし、やはりそれは正しい感情なのだ。

彼は私を修正する。

世の中から白い目で見られる事を阻止する。
みっともなさや情けなさ、悲しさや残酷さから私を守ってくれる。
だから私は彼に生かされていると言えるだろう。
私は彼なしでは壊れてしまう。

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芳生の青春

芳生の青春

芳生はいつも目の暗い、だけど物わかりの早い子を選ぶ。もう少し化粧気があれば、もう少し細こかったら結構良いセン行くのになと思いながら声を掛ける。

川崎美咲という子は芳生の思惑にぴったりの子だった。いつも大学ではひとり、席は前の方を取っていて、始業のベルが鳴る頃には教科書を出している。先週彼女が授業後、教授に質問があったのか珍しく教室に残っていたので、ノートをコピーさせてもらったのだった。

芳生は

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私をオフして

私をオフして

いやな疲れ方をしている。
疲れているのに眠れない、足は棒のようなのに勝手に足が踊り出す。壊れた自動運転の貨物列車が1両編成で到着します。危ないですので黄色い線から離れてください。などなど。

誰か私の電源をOFFにして。
強制シャットダウンしますか?
その場合只今編集中のデータが保存できない場合があります。どうでもいい。パソコンごと叩き割りたいくらいよ。

心の底に排水溝のねばついた汚れが潜んでい

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おまわりさん

おまわりさん

水曜日。
バニラの甘ったるい香りで喉がかすれた。
一度も開けられたことのない窓には蛾の死骸が張り付いている。

天井から蜘蛛の巣みたいな天蓋が吊るしてあって、雑巾みたいに薄っぺらな絨毯がたばこの灰で汚れている。

そこにはベッドじゃなくて真っ赤な椅子がひとつ。

あなたは私を誘導する。

服も着ないではちみつを舐めるの。あなたと一緒に。
椅子と同じ色の赤いカーテンが風もないのに揺れてる。この世では

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ひろのちゃん

ひろのちゃん

ひろのちゃんはいい子だった。
ちょっと全体的にふっくらしていたけど真面目な子でテストの点も良かった。
クラスの男の子から圧倒的に人気なタイプでは無かったが、こっそり一緒に帰ったり、ひと気のない昇降口で秘密のやり取りをする男の子がいたと思う。

いわゆる親が好きそうな子でもあった。
いい奥さんになりそう、とかいいお母さんになりそうとか周りの親たちは自分の子供を貶した後に羨ましそうに言った。

ひろの

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知らないひと

知らないひと

あたし奥さんよりあのひとの方が好き。

最近課長があのひとと夜歩いてるの知ってる。
大人の関係って感じで素敵だった。

あのひとは弱い。
定時終わりにうちのオフィスの近くのドラッグストアで口紅を見てた。
あたしが買うような若い子のコーナーでじっとしてスマホ見ながら値段とにらめっこしてる。

あたしは課長が出張の帰りブランド物を奥さんに買って帰るのを知ってる。
うちの課で一番綺麗な女の子にリサーチな

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N

N

あのひとがギターを見ていたから
あたしは駆けていった

あのひとには友達がいない
真っ黒な襟足が乾いている
あのひとのカーキのカーゴパンツ
裾がきれてる
あと3日はコインランドリーに行けなくて
さっき踏んだ水たまりの泥でぬれている

学校に意味はないけど
行っているんだから
あのひとも仕方ないね

あたしに欲しいものはない
周りにいるみんなも言ってた

あのひとが毎日そこにいるから
あたしは駆けて

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