見積もり

外の物置撤去の見積もりが出来上がった。心づもりしていた金額よりも安くできそうで、OKの即答をした。多分、従弟がいわゆるお勉強してくれたのだろう。ありがたい。契約書を交わしに後日改めて訪問するとのこと。

私が学生の時には、その場所で犬を飼っていたが、社会人になるころ、主のいなくなった犬小屋は撤去されて、代わりに大きなトラックの荷台の物置が設置された。以後、40年近く、我が家の役目を終えたガラクタたちを捨てる前の一時置きとなった。いつか使うかも、という淡い期待はたいてい破られ、今年の春に姉と家じゅうの断捨離をした時にかなりのものを処分した。それでも、まだ半分近くは雑多なもので埋め尽くされたままなので、必要なものを除いて中身の処分もお願いしてある。

ここの撤去を決めた時には、解体の仕事を従弟がしているという情報を私たちにもたらして、連絡先の判った兄の方に電話をして弟に話をつないでもらったときには何も言わなかった母が、いざ話が決まりそうになると、もったいないという気持ちが芽生えたのか反対しだした。生前はあんなに仲の悪かった父の思い出だからとか、何とか言い出して、やるなら私の死んだ後にしてくれと言い出した。

私は内心 またか と舌打ちをした。私のやることなすこと反対してきた母。子供の頃にピアノが習いたいと言ったときも、ピアノなんて無駄だと言い、習わせてもらえなかったし、高校卒業後の進路も、本当は大学に行きたかった私に、兄も姉も行ってないのだからという理由で説き伏せて働かせたし、三女の前に一人子供を授かった時にも、病気の分際で産むなと反対したし。小さなことを含めると、私のお願いなど、何一つ叶えてはもらえなかった。

それでも、今は私の方が力がある。生活のほとんどを私の手助けなしにはできない母。いいざまだ。

私は反対だという母に、

じゃあ、なんで、従弟の○○君が解体の仕事してるなんて言い出したの?反対ならばその時に言えばいいじゃない!今更、大事にしてなかったお父さんのことを持ち出されてもちゃんちゃらおかしいわ!

と、珍しく口答えした。母はばつが悪いのか口ごもり、

勝手にすればいい!

と丸投げした。そうしてキレれば何もかもうまくいってた母の言うことを聞いてた父もいない。私は

じゃあ、○○君にお願いするんで。

と冷静にことを進めた。以前から邪魔だと思ってた物置を、言い出しっぺの姉の思い付きに乗っかり決めたことだったが、秋には更地になるそこに、花でも植えようかと思っている。