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鉄瓶生活はじめました。

 60歳の誕生日を迎えたと思ったら、あっというまにそれから5年。60過ぎると1年が早いよ…とは聞いていたが、これほどまでとは。コロナ禍が、加速感を増す要因だったのかもしれないが。忙しさにかまけて、日々の生活をないがしろにしてきた感が。ていねいな暮らしに憧れつつ、自分にはできていないことを、なんとなく忙しさのせいにしてきたけれど、きっとこれはやる気の問題だ。このままだと、生活を慈しむことなく、人生を終わってしまうかも。
 そこで、まずはやってみたかったことからはじめることにした。その第一歩が鉄瓶生活。なんのことはない、朝起きて、鉄瓶でお湯を沸かすだけ。以前から欲しかった南部鉄瓶を通販で買った。使い方を読むと、とにかくお湯を沸かしたら、すぐにポットに移し替えて鉄瓶の中を空にして、乾かすことだけは鉄則らしい。赤いガラスポットを買い、そこに沸いたお湯を出し切る。鉄瓶は、蓋を開けたままほったらかしにすれば、あっという間に自然乾燥すると分かり、ずぼらな私にもできることがわかりホッとする。鉄瓶は流石に重いので、老いていく自分にとっては毎日のささやかなトレーニングと思うことにする。

 鉄瓶で沸かしたお湯は確かに柔らかい。毎朝起きがけに飲む緑茶も、湯ざましした温度に左右はされるものの、心なしか美味しく感じられる。コーヒーも鉄瓶で沸かしたお湯で飲んでみる。家人の評判もいい。鉄瓶と赤いポットのために、台所もスッキリ片付け中だ。指南書は、あの伝説の家政婦、サタン志麻さんの書いた『志麻さんの台所ルール』(河出書房新社 2020)。東京下町の暮らしを彷彿させる台所で作られていく美味しそうな料理の数々は、昔読んだ沢村貞子さんの『私の台所』を思い出させる。この本、今は光文社文庫になって読めるらしい。持続力に欠ける自分の性格を思い、このnoteに日々を綴ることを思いたった。もちろん、誰にも内緒で。さて、てつびん生活は、私のこれからの日々をどんなふうに変えていくことになるのか、自分でも楽しみながら、noteを綴っていきたいものだ。

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