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アーモンドアイの残した記録 (誕生日記念)

 こんにちは、mokomoko競馬です。今日3月10日は歴史的名牝アーモンドアイの誕生日ということでアーモンドアイの残した記録について個人的な感想も交えて語りたいと思います。といってもマイナーなものまで含めば多数あるので今回は有名な3つの記録について語ります。

1. 最高獲得賞金

 アーモンドアイは19億1526万円を獲得し、最高獲得賞金の記録を持っています。約4億円ドバイターフや3億円のジャパンC 2回などの高額賞金と高い勝率や、19年有馬以外は大きく崩れない安定感などがもたらした記録だと考えます。

 しかし、この記録はすぐに塗り替えられると思います。理由は日本のG1賞金が軒並み急激に増額されていることです。ジャパンCを例にするとアーモンドアイの勝った年は3億だといいましたが、去年は4億で今年から5億になるようです(有馬記念も同様)。以前からGⅠ賞金は増額を繰り返しているので、『テイエムオペラオーの獲得賞金を現代換算すると?』みたいな話題もありますが、そのテイエムオペラオーがいた2000年ですらジャパンCに関しては2億5千万円の賞金だったのでこの2年間の増額がいかに急激なものかがお分かりいただけるでしょう。

 上記の理由もあり、この記録は5年以内に抜かれると思われますが、アーモンドアイやオペラオーがその時代の賞金王であることは変わりないので記録として風化することはないと思います。
(追記:なんとパンサラッサがサウジC制覇で13億追加で記事を出す前に記録にリーチ、その可能性を忘れていました。新時代は恐ろしい……。)

2. 日本最多GⅠ勝利 9勝

 2020年の三冠馬三頭のジャパンCでアーモンドアイはGⅠ9勝(JRA GⅠ8勝)を成し遂げました。シンボリルドルフが1985年に達成したGⅠ7勝以来、35年ぶりの更新となりました。
 日本のGⅠは徐々に増えていますが、アーモンドアイが制したGⅠの中で最も新しいものがヴィクトリアMなので、単純に考えれば2006年に5歳だった世代以降の全ての牝馬にアーモンドアイと同じGⅠタイトルで9勝になる権利があったと言えます。

 ではなぜ、35年間GⅠ7勝を超えることができなかったのかを考えると、ディープインパクトなど牡馬の早期種牡馬入りなどもありますが、単純に日本で複数のGⅠを勝つのが難しいということが挙げられると思います。日本ではGⅠが欧米に比べて少なく、比較的近い遠征先も香港やドバイなので年間でGⅠを勝ち続けるには日本で勝つしかありません。そもそもGⅠ7勝した中で、その後GⅠに挑戦できた馬はテイエムオペラオーしか存在せず、馬の短いキャリアの中で順調にGⅠ勝利数を積むということがどれだけ難しいかが分かります。

 また、GⅠを多く勝利するには競争能力もありますが、ピークの維持といった面が大切になります。これは肉体面はもちろんですが馬の精神面も含まれています。馬の精神面は一ファンには分かりづらく、馬主でもなければブラックボックス化されている要素ですが、闘争心や勝負根性といったところに繋がるので大事な要素です。個人的な見解として闘争心も消費されるもので、すごいパフォーマンスを出せばその分、心身ともに疲労していくと考えています。その点、アーモンドアイやシンボリルドルフはあえて派手な勝ち方をしないようなレースが多かったので、両名手の手腕というところも大きいのではないかと思います。

 では今後、GⅠ9勝に並ぶ、または超えるのはどのような馬なのかを考えたいと思います。私は芝2000mで抜きんでた強さを持つ馬だと考えています。その理由は1600m、2000m、2400mの三大根幹距離の真ん中の距離であるからです。日本でもこの3つの距離に芝GⅠが15/22と過半数を占めています。その中で圧倒的に2000mで強く、±400mの距離どちらかに対応できれば日本でも海外でも有利に働くことは間違いありません(おまけに宝塚など2200にも近い)。アーモンドアイは2000mで強く1600mでも2400mでも対応できたので当然、当てはまります。

 GⅠ9勝の難しさと超える可能性を見ていきました。現在の私はアーモンドアイの記録に並ぶ記録が見たい気持ち半分といった感じですね。あと10年くらい破られなくてもいいという思いもあります。あと、アーモンドアイは19年安田記念の不利やドバイの中止で輸送をされるという不運があったのでGⅠ9勝できる馬はもっとGⅠを勝てるポテンシャルを秘めてないといけないのかなと思ったりしています。

3. 2400mワールドレコード

 3歳の牝馬三冠を達成した後に挑んだジャパンCでアーモンドアイは驚異的なレコードタイムで勝利しました。2分20秒6という数字が着順掲示板にのった時の衝撃は今でも忘れられません。それまでの記録はアルカセットの2分22秒1(ジャパンC)でなんと1.5秒もタイムが縮んでいます。

アーモンドアイ驚異のレコード

 なぜこの大記録が生まれたかを考えるために、一般的にレコードタイムとなる要素を考えます。
 まずはペースです。いくら強い馬がいても道中のペースが遅ければレコードが出ることはありません。この点はキセキがかなりのペースで逃げているので当然、当てはまっています。
 次に馬場です。馬場のコンディションによってタイムはかなり変化するのでこれも重要です。私は馬場やラップの専門化ではないので詳しいことは言えませんが、当日の1800mではかなりのタイムが出ているので、当日の馬場は速いのがうかがえます。
 そして、最も重要なのが馬の能力です。ローカル競馬場のレコードは条件戦で出るということがありますが、やはりGⅠが毎年開催されているコースはほとんどがGⅠ馬か、それに近いレベルの馬がレコードを持っています。これについては申し分ないですね。アーモンドアイは東京2400mのGⅠ3勝で、すべて圧勝なのでこの舞台で勝てる馬を探す方が難しいと思います。そして他のレースでもスピードの違いを見せていて、天皇賞・秋では最後は追わず、ゴール前でルメールが後ろを振り返ってガッツポーズまでしているにも関わらずトーセンジョーダンのレコードに0.1秒迫り、ヴィクトリアMでも一切ムチを使わずゴール前で手綱を緩めているにも関わらずノームコアのレコードに0.1秒迫っています。ここまでくると流石に『タラレバ』でじゃなく、東京の1600m、2000m、2400m全てでレコードを出せる能力があると言えると思います。

 この3つの条件が全て揃ったジャパンCはレコードになるべくしてなったといえると思います。そして、天皇賞・秋やヴィクトリアMになくてジャパンCにあったものはやはりライバルとなったキセキの存在です。この馬が存在しなくてもレコードタイムがでていたことは疑いようがありませんが、上記の2レースのような理由で、この大記録が生まれることはなかったでしょう。そして、アーモンドアイがいなければキセキが前年と翌年のジャパンC勝ち馬相手に3馬身1/2差で圧勝していたレースだと考えれば、キセキ自身のパフォーマンスも凄まじいものだったということが分かると思います。
 この2頭がいたことで生まれた伝説的レコードは競馬ファンの中で永遠に忘れられることはないと思いますが、願わくば私の生きているうちには抜かれてほしくないなと思っています。

まとめ

 以上3つのアーモンドアイの残した偉大な記録を紹介しました。特に下2つはどんな馬が塗り替えるのか気になるところですね。現在やりたい企画が多いので後回しになってしまうかもしれませんが、また他の馬の記録もピックアップしたいと思います。
 最後にアーモンドアイとアーモンドアイの子供がこれからも元気に過ごせるように願っています。

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