舟と灯り

思い出す
なんか良かったことだけ思い出して感傷に浸る。
くだらない。
目が冴えてくると現実が戻ってくる。
何でもない2人。
息が出来なかった。
苦しかった。
何が好きだったのかもわからない。
何となく。
心の隙間を埋めたかったのかもしれない。

ごめんなさい。
電池が切れた。
フィラメントが切れた。
もう、灯りは灯らない。
お互いに灯すことのない灯台。
灯台のない暗い夜の海へと舟を漕ぎ出す。
感じるのは塩の匂いと波の揺れ、ふきつける風。
どこへと向かうでもなく暗闇の中を進む。
当てはない。 船だけがある。

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