山田君 不動産で世を渡る(プロになる)※平成バブル 曙橋 売買契約VOL2
曙橋の商談相手の会社が帰っていった。俺は名刺をみた。カタカナ社名、最近はこの手の社名が多くて覚えきれない。
大事なことはこの会社が曙橋の物件を購入できるだけの資力があるのか、与信はつくのかである。
法人売買では一般の住宅ローンと違って融資を否認されても売買契約の解除がてきない場合が多い。手付金の放棄または違約金で売買代金の20%支払っての解除になる。
先ずはホームページをチェックする。そして会社の商業登記簿謄本を取得する。名刺に書かれた代表者氏名と謄本の代表者事項が一致しているか。
社長の住所はどこで、本人の所有か否かが確認できる。
ホームページではその会社の実績が出ている。
宅建協会や都庁の住宅課で過去に宅建業法などの違反がないか。
最後に帝国データバンクである。
業界は狭いので同じエリアの業者や自分の付き合っている業者にヒアリングすることも行う。実際のところヒアリングの重要性が非常に高い。
取引実績などを勘案すると、なんとか資金を引っ張っているような感じ。
多分、銀行、またはノンバンクから引っ張ってきそうである。
ノンバンクの金利は年利10%であった。土地転がしの短期以外に10%の金利で収まる商売は滅多にない。それでも資金ニーズは膨れている。
その会社の実績の中で単身向けの分譲マンションの経歴があった。なるほど、利回りでなく実需で販売すれば収支的に利益が出るんだ。常に短期での資金回収、回転率で縛られた俺はデベロッパーの本来の目的からどんどん離れて行っていた。
買い希望の会社から買付証明をもって訪問したいとの連絡がきたのは3日後であった。スピード感がないと用地を取得できない時代になっていた。
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