「海鳴りのとき」「失われた夜に」上映会 感想
1月28日(日)
調布にて佐藤高成監督による、自主特撮映画
「海鳴りのとき」 「失われた夜に」
の公開イベントが開催されました。
以下、感想を書いていきたいと思います。
本編のネタバレがございますので、ご注意ください!
「海鳴りのとき」
まずは、「海鳴りのとき」です。
生きることを諦めていた青年の模様の静けさと
怪獣「ゲゾム」が街で暴れまわる激しさの対比が
印象に残りました。
ドラマパートでは、主人公である青年とそれを心配する友人
そして、海辺で佇んでいた女性の3人が登場します。
青年が夢に見る怪獣の出現シーン
冒頭の空に海が映し出され、それを青年が見つめるカットで引き込まれました。
その後も、ドラマパートの背景にうっすら映る怪獣のシルエットなど、
自然な合成が楽しいです。
ドラマパートでは、街のロケーションを活用した美しいカットもよく見られます。私は、電柱とか線路の電線のような日常を感じられるものが大好きなので、そういった部分が特に印象に残りました。
ドラマパートが静かな雰囲気で進んでいき、満を持して怪獣が出現します。
怪獣が街を破壊していくシーンがとにかく迫力があります。
実景に合成をしていると思うのですが、自然な合成で、違和感が感じられないのです。
破壊されるビルはミニチュアを実際に破壊しているそうで、合成の際によく見られるグリーン背景の応用で、グリーンのバットで思い切り壊す、という
手法が使われていました。
ミニチュアのリアルな破壊とそれの合成で、怪獣の恐ろしさが大きく映し出されていたました。
怪獣が何故現れて街を破壊するのか、の理由は分かりません。
街を海に沈め、夕陽に向かって去っていくラストはとても美しいです。
ドラマでは、女性が病気で亡くなってしまったことが分かり、亡くなる前に綴られた手紙を主人公が読み、生きていくことを決意して終わります。
海に沈んだ街は絶望しかないのですが、主人公の独白は希望を持てるような終わり方でした。
簡単ですが、「海鳴りのとき」の感想でした。
上映後には監督の解説付きでメイキングを見ました。
グリーンバットの話はこの時に語られていました。
やはり、特撮のメイキングは楽しいです。
メイキングが終わると、佐藤監督、脚本の藤城瑠 氏、造形の北条弘登 氏
のトークです。
主人公の部屋は監督の自室を使用したことや、ゲゾムの顔はフクロウを模していることなどの裏話が聞けました。
「失われた夜に」
続いて、「失われた夜に」です
プロの著名人からコメントが複数出ているレベルの作品だということでとても楽しみにしていました。
結論から言いますと、とてもクオリティが高く、多くの特撮ファンに見てほしい作品です。
後半の巨人と怪獣の戦闘は、テレビ作品にも引けを取らないと思います。
ドラマは、宇宙人を名乗る女性と家出をした中学生から始まります。
宇宙船に行こう、と言い向かった先には人目のない場所に立つロッカー
その中に入ると、なんとアパートの部屋が広がっている。
しかも、これが宇宙船。
なんともシュールなファンタジーが面白いです。
少年に料理を振る舞う、と言って銀色の蟹が出てくるなど、
女性の只者ではない感が表れていました。
少年の方も、誰しもが経験したことのある悩みを抱え、家出をしたことが分かり、等身大の共感ができる主人公です。
後半、主人公が怪獣の入った箱を解放してしまい、街が破壊されます。
怪獣ぺエルキウスは夜の街に映えるデザインで、体の発光が美しいです。
怪獣が破壊したビルが少年の上に降ってくる。
そこへ巨人が出現し、ビルを吹っ飛ばし怪獣にぶつける。
このシーンは、とてもカッコよく、痺れました。
今までに見たことのない人命救助&登場シーンでした
少年を助け、体内に取り込んだ後は説教が始まります。
説教というか、少年に対する失望ですかね。
怪獣の入った箱は大切なものと伝えたはず、
君はそういうことをする子ではないと思っていた。
このシーンが私は一番印象に残りました。
女性の大きなシルエットが宇宙柄で現れており、
大きな手には少年が乗っている。
とても神秘的です。大好きです、こういうの。
巨人である女性の只者ではない感が素晴らしいです。
巨人と怪獣の戦闘描写はとても迫力があります。
怪獣にぶっ飛ばされ、両手でビルを壊しながら体を止める
一連のシーンがかっこいいです。
巨人は一度敗北してしまうのですが、ビルにもたれ、力尽きているカットもお気に入りです。
謎の力で喧嘩した母親が怪獣に襲われる幻?を見て少年が怪獣に立ち向かう流れは熱く感動できます。
喧嘩した母親が自分を大切に思っていることを理解し、自分も母親の身を守りたいと願う。
ストレートな愛情が、少年、頑張れ!と思わせてくれました。
少年と巨人の動きがシンクロし、怪獣を箱に封印。
ここの勢いがとても気持ちよく、
ああ、楽しい特撮見てるなあ、という感情になりました。
怪獣を封印する謎空間などの描写は、監督の世代のウルトラ味を感じました。世代が近く、ああいった表現が好きなので、勝手に親近感が湧いてました。
ドラマの締めも少年が少し成長し、女性はどこかに去っていく、気持ちよくもあり、少し寂しい終わりかたで、ドストライクでした。
上映が終わり、メイキングです。
今回はナイトシーンでの特撮だったので、ビルの破壊特撮はグリーンバックならぬ、ブラックバットでした。
また、怪獣をビルと一緒に倒すシーンでは、とても脆いビルを作り、それを倒した、とありました。
火薬が使えない制限の中、こういった工夫で乗り切るのが、特撮の面白いところです。
その後のトークでは、夜のシーンならではの苦労や、女性の部屋にあるたくさんの置物を短期間で作った。
怪獣と巨人のスーツ作成が想定していた2倍かかった
とにかく時間がなかった、などの苦労話から
ビルをふっとばして、怪獣にぶつけるシーンは
監督が中学生の時から思い描いていた、などの話が聞けました。
昔から思い描いていたシーンを実現できた、というのはとてもうらやましい話でした。
特撮好きなら、誰もが、「こういうの見たい!」と思いつくシーンがあると思います。
それを実際に表現して見せた監督はとても努力家で人一倍特撮が大好きなんだろうなぁ、と勝手に感じていました。
上映後にはパンフレットの物販があり、購入させていただきました。
また、巨人のスーツや小道具の展示があったので、間近で見ることができました。
ぺエルキウスを封印していた箱のデザインがお気に入りです。
ここに記載したことはほんの一部で、作品の魅力はもっと大きいものですし、裏話などもたくさんありました。
まだ見れていない人は機会があれば是非見てほしいです。
スタッフさん達は既にプロの世界で活躍されているらしく、
佐藤監督はウルトラマンの現場にも参加してるらしく、他にも様々な映像作品に携わっていらっしゃいます。
皆さんの今後のご活躍がとても楽しみになりました。
足早ですが、以上が感想になります。ありがとうございました。
調布は楽しい街ですね
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