江戸の花魁 きよ

梅が咲き始めた。
お年寄りも子供も梅が咲く頃になるとうきうきして
空を見上げる。
白い梅の香りは柔らかくつんとしている。
甘酸っぱい春の匂い。

初夏
上野の不忍池には蓮の花がゆらゆら揺れている。
きよは蓮の花が大好きだ。
小さい頃 おばあちゃんのお縫いさんに
連れられてよく見に行った。
弁天様にお参りをする。お賽銭を投げると心地良い
チャリンとした音。そして池に作られた橋を渡って
大きな蓮の花を見に行く。蓮の葉がびっしり
茂っていてその間から四方八方に伸びた蓮の花。

きよはお縫いさんから自由と言う言葉を聞いた。
人は自由である。
しかし人々は自分で枷をかけ人生を人間関係を
難しくしている。
お縫いさんはその頃の女性にしてはめずらしく
進歩的だった…自分で考えて自分を決める
今でこそ、当たり前の事
しかし、自身が責任を持つという事は
容易ではなかった。

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