40歳で人生を終えるつもりだった。



うっかりしてたら43歳になってた。


大学時代、老人ホームに実習に行った。二週間ずつ2回。

そこでの体験は私を絶望させた。


施設利用者の人たちは一日中パジャマを着て、そのパジャマは頻繁な洗濯と乾燥機使用で色褪せボロボロの人もいた。こまめに会いに来る身内がいないとそのままだ。

髪は大体月に一度理髪店の人が来て施設内で切ってくれるらしく、みんな同じ髪型だった。男性も女性も関係ない。洗いやすくて管理しやすい長さ、かたち。

ほとんどの人は認知症が進み会話できない人もいたが、ポツポツ話しを聞いてると自転車屋さんだったり薬局をやってたんだよと言う人もいた。

50人位の入所者だったから50通りの人生があったはずなのに、何が好物でどんな事が嫌なのか気にかける人はほとんどいない。


20になったばかりの私はどのように生きて、さまざまな事に喜びや悲しみを感じても最後はこんなふうに扱われるのなら‥と自分の人生を諦めたのだ。

だから生きるのは40歳で終わりにしよう、と強く、強く心に決めたのに。

それなのに、だ。



そうか、私の人生40までだと思ってたんだから、あとはオマケの人生という事にして好きに生きようと開き直ってまた数年が経つ。


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