国民年金って何? 保険料納付期間延長案に反対する理由
1 はじめに
国民年金は公的年金の土台ですが、未納問題や制度への不信感があります。
政府は保険料納付期間を45年に延長する案を検討していますが、これは不公平で不合理だと思います。
今回は、国民年金制度や延長案について説明し、反対する理由を述べます。
2 国民年金とは何か
国民年金制度の概要
国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満で40年間480月納めた人が満額を受けられる公的年金制度です。
老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金の3種類の給付を行います。
国民年金の給付内容
老齢基礎年金は65歳から受けられる月々約7万円の基本的な年金です。(マクロ経済スライドという物価と賃金の上昇下降を加味して支給するものだと大まかに理解していただければと)
障害基礎年金は障害の等級に応じて月々約6万円から8万円の給付があります。遺族基礎年金は配偶者が亡くなった場合に子のいる配偶者もしくは子に月々約6万円から9万円の給付があります。(子供の数により変動します。)
国民年金の被保険者の種類
国民年金には3種類の被保険者がいます。
第1号被保険者は自営業や学生など国民年金だけに加入する人です。
第2号被保険者は会社員など厚生年金に加入する人です。
第3号被保険者は専業主婦(夫)など配偶者の扶養になる人です。
3 国民年金の問題点
国民年金の保険料納付率や未納問題
国民年金の保険料納付率は約78%で、残りが申請免除者・法定免除者と未納になっています。
未納者の最も多い理由は「保険料が高くて払えない」というものです。
お金があるのに払わないなど悪質な未納の場合、財産が差し押さえられたりする可能性があります。
年金制度への不安や不信感
年金制度は今後深刻な少子高齢化や経済状況によって変わる可能性があります。
未納者対策も十分とは言えません。
政府は将来的に受け取れる年金額を減らしたり、受給開始年齢を上げたりすることを検討の視野にしています。
平均余命や健康寿命が伸びています。就労率も増加傾向です。
ただ「相互扶助」のバランスが崩れているのは多くの人が自分たちが払った保険料に見合った年金を受けられるか不安や不信感を抱いています。
4 保険料納付期間延長案とは何か
政府は国民年金の保険料納付期間を現在の40年から5年延長して45年間とする案を議論しています。
これは少子化による基礎年金の水準低下を防ぐための措置です。
延長案の目的は、将来の年金受給者に対しての財源確保。
しかし、延長案の影響は、自営業や無職など国民年金だけに加入する人にとっては保険料負担が増えることになります。
また、元気な高齢者が多いのは確かですが、そうでない方も大勢います。
5 延長案への疑問と課題
私は国民年金第2号被保険者で、サラリーマンです。
私は国民年金制度を維持継続することが必要だと考えています。
しかし、延長案には反対です。なぜなら、延長案は政府の財源不足が背景にあり、国民の利益にならないからです。
現在の物価高に拍車をかけるような短期も長期も明るい兆しが見えてきません。
延長案には以下のような問題があります。
延長案は国民年金制度の本質的な問題を解決しません。国民年金制度は少子高齢化や経済状況によって変わる可能性があります。
政府は将来的に受け取れる年金額を減らしたり、受給開始年齢を上げたりすることを検討しています。それなのに、保険料納付期間を延ばすことで国民年金制度を維持しようとするのは無理があります。
延長案は国民年金制度の公平性を損ないます。
厚生年金保険に加入する人は、高い保険料(報酬により)で制度が相互扶助に見合った年金額を受け取れません。
厚生年金保険料率は段階的に上がり、1000分の183になりました。長い長い期間をかけてようやく目標値に到達した経緯があります。
基礎年金である国民年金は土台をしっかりと固める必要があります。
6 おわりに
国民年金制度は現在のままでは持続できないと思います。
堅固な年金制度にするには何が必要かを考えていきたい。
保険料納付期間を延ばすことではなく、国民年金制度自体を見直すべきです。
国民皆保険、皆年金の徹底。基本はここにあります。
第3号被保険者の保険料負担を見直す。第3号被保険者は保険料を払わずに国民年金を受けられます。
3号は昔「3号未納問題」、現在は「扶養の見直し、扶養手当の撤廃」。他の被保険者に対して不公平です。第3号被保険者も一定の保険料を払うようにするか、受けられる年金額を減らすか、どちらかに変更することも選択肢に入れたほうが良い。
国民年金の納付方法や期間を柔軟にする。特に第1号被保険者にとって、現代社会では仕事や生活の変化に合わせて国民年金を納めることが難しい場合が多いです。例えば、失業や病気などで収入が減ったり、海外で働いたり、複数の仕事を掛け持ちしたりする場合などです。
納付するのに時効を適用するのも延長で手を打っていますが、もう一歩進めないでしょうか。時効設けなくて良いのではないでしょうか。税収ですから。もちろん、金利と物価から最適な保険料計算が必要です。
申請免除も本当に困っている方については柔軟な対応が求められます。
これらの場合にも40年間以上も国民年金を納めることを求めるのは現実離れしています。納付の時効を延長したりしても良いのではないでしょうか。
国民年金制度は私たちの将来に関わる大切な制度です。しかし、現在の制度は多くの問題を抱えています。
保険料納付期間を延ばすことで問題を解決しようとしていますが、これは本質的な解決策ではありません。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?