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貧しい国は 災害である

昨日、ネットでこんな記事を見た。

政府が、地方への移住支援金を拡充し、東京23区に在住・通勤する女性が結婚を機に移住する場合を対象に加えることを検討している。関係者が27日、明らかにした。金額は、現在の支援金の1人最大60万円を軸に、さらなる加算金も検討している。若い女性の東京への流出が続く中、「移住婚」を支援し、過度な一極集中に歯止めをかける。内閣官房が2025年度概算要求に関連経費を盛り込む。 

女性に限定することが議論を呼ぶ可能性もあり、年末の予算編成に向けて詳細を詰める。内閣官房は25年度、移住対象として複数の市町村を選び、モデル事業を実施すると想定している。

 現在の支援金は東京23区の居住者か、東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)から23区に通勤している人が対象。男女問わず引っ越し先での就業や起業が条件で、単身者は最大60万円としている。  新事業は、結婚して移住する女性に限り、就業予定がなくても給付する。地方移住を希望する女性が自治体の婚活イベントに参加した際の交通費も支援する。

「移住婚」女性に60万円 金額加算も、一極集中是正  8/27(火) 17:51配信 共同通信

移住婚とは、一般社団法人日本婚活支援協会と地方自治体が連携し、都市部から地方への移住を希望する独身者に、結婚相手と移住先を同時にサポートする取り組みだそうだ。

日本女子も、ずいぶん安く見積もられたもんである。「60万円やるから地方の男と結婚しろ」というわけだ。

そうはいっても、その日暮らしの金に困った都市生活者であれば、60万円の一時金も魅力に見えないことはない。
婚活イベントの交通費は出るというし、出かけた先の純朴な田舎のにいちゃんに取り入って、そのまま「移住婚」の体裁を整えてしまうことだって可能だろう。
入籍して60万円の入金を確認した後なら、相手が気に入らなければ即別れ、東京圏に戻ればいい。記事を読む限り回数制限はないから、結婚相手を道具と割り切れば、いろいろな地方での生活をエンジョイしながら、そのつど支援金をゲットできる理屈だ。

「過度な一極集中に歯止めをかける」とは、また噴飯ふんぱんものである。過度な一極集中を生んでいる張本人こそ、官庁そのものじゃないか。
東京一極集中の是正は、政府を挙げて取り組んだはずが見るべき成果を上げていない。中央省庁の地方移転など、まさにかけ声倒れになったままである。

たとえば「2022年貧乏自治体ランキング」において、断トツ1位の北海道夕張市に厚生労働省が移転すればどうなるか。
医療関連の業界はこぞって、本社や支店を夕張市に置くようになるだろう。(かつてレジャー産業の失敗から)財政再建を強いられる同市において、この医療産業の分野に限っただけでも、「貧乏自治体ランキング」1位から、「金持ち自治体ランキング」ベスト3にいきなりランクインするのも夢じゃない。

北海道が厚生労働省なら、防衛省を沖縄に置くのもいい。それぞれ日本の端に位置する場所に、インバウンド頼みのレジャー産業は危険だ。経済的に安定しないし、隣国からの様々な浸透工作も容易になるからだ。

農林水産省は東北に、財務省は国税庁と歳入庁を創設のうえ速やかに分離し、北関東と九州辺りにそれぞれ設置してはどうか。
文部科学省のうち「文部省」は存在自体が不要だが、どうしてもと言うなら文化庁が移転済みの京都に移転し、分離した(国にとって大切な)科学省を中部地方に設置するとか。

ちなみに我が静岡には、国土交通省をお願いしたい。実現すれば僕が「道の駅」を陳情するとき何かとラクである。そんな動機じゃ、アカンか。

妄想と言われればそれまでだが、中央省庁の地方移転の構想は、常に問われ続けている。
当事者の官僚が、なぜか霞が関にしがみついているため実現しないだけだ。

甲子園にこだわる高校球児ならまだしも、大の大人が受験勉強に勝ち抜いた象徴として「霞が関」を引きずり続けたままでは、国益を大いに損なう。
地方移転が実現すれば、予想される首都直下型地震時のリスク分散となり、衰退著しい地方での目覚ましい経済波及効果が見込まれる。
英断できる政治家(政党)、出てこないもんだろうか。

移住婚とやらに話しを戻せば、人は住みたいところに住むし、惚れたれたで結婚するのが常だろう。
金で釣るなら最低でもう二桁くらいゼロを足さなきゃなるまいし、それで一緒になったカップルが未来の子孫繁栄に寄与するとは、とても思えない。

同様のことは、「こども家庭庁」の概算要求にも当てはまる。この記事のどこに、6兆円の血税を投入する必然性があるのか、皆目理解できない。
おかしな省庁におかしな担当大臣が就き、おかしな予算要求によって、子供にとって成果どころか、害悪にもなりかねない。
ちなみに「子供」じゃなくて「こども」と表記する理由は、以下の通りだ。

こども家庭庁によると、ひらがな表記は「心身の発達過程にある全てのこどもの基本的人権を守る」という理念に基づく。 これまで「子供」や「子ども」は個別の法律で18歳や20歳までの子どもと定義してきた。 「こども」は年齢で区切らず、幅広く支援が必要な子どもに手を差し伸べる決意を表すという。

「子ども家庭庁」は間違い 「こども」が正解の理由は? 2024/05/26 日本経済新聞

読んでいて、頭がくらくらする。理念からして、意味不明だ。
「こども」とは年齢で区切らない存在だそうで、自称「こども」であれば、僕もあなたも支援の対象になるらしい。
なんだか、LGBT理解増進法にかぶってるぞ。あれも自称「おんな」であれば、僕でもすぐに女として認められるって、確か最高裁判決が下ってたよな。
ウフッ。これからはサクラちゃんって呼んでね~、ってか。

日本の貧困化とは、単なる物理的事象を指すのではなく、極めて貧困な発想しかできなくなった国の中枢機関にこそ、当てはまるようだ。

イラスト Atelier hanami@はなのす

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