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「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」九話感想

九話の感想やっていきます。
投稿に時間が空いてしまった言い訳をしたいのは山々ですが、そんなものに意味はないですし、言い訳を書く余裕が無いほど今回は盛り沢山なのでスルーします。
今回のざっくり感想は「俺ガイルで一番繊細な回」です。
加えて、これから九話の語りを読んでもらう上で、「由比ヶ浜が八幡に告白しようとした」というのを頭に入れて欲しいです。これを前提として語っていきます。
それじゃ、レッツラゴー!

アバン

♪二か月足りない♪
それなああああああああああああああ

Aパート

由比ヶ浜が旅行に行っている間にサブレを預かっている比企谷家。

働きたくないでござる
それなああああああああああああああ

とサブレと遊んでいると、犬を迎えに由比ヶ浜が比企谷家へやってきます。

サブレを引き取りお土産を渡した由比ヶ浜は、八幡を夏祭りに誘う。それを八幡はかわそうとするものの、小町の圧力によって夏祭りへと行くことになります。

この流れのように、今回の構図は「アピールする由比ヶ浜」に「かわす八幡」です。九話はこの恋愛模様を見ていくストーリになってます。

稲毛海岸駅で由比ヶ浜を待つ八幡。そこに浴衣をまとった由比ヶ浜が到着します。ただ、下駄をはきなれていない由比ヶ浜は転びそうになる。

これは、八幡とのデートのために、着慣れていない浴衣や履きなれない下駄で来るという八幡への真剣な思いを表現している。それに、転びそうになった原因が、八幡を見つけて嬉しくなったからというのも恋する乙女してますね。

会って早々、何か言いたげにもじもじする由比ヶ浜。それを見て察したのか、八幡は「似合ってる」と浴衣姿を褒めます。

このシーンのやり取りでわかるのは、八幡が浴衣を褒めたのは"由比ヶ浜の好意をわかっているから"ということです。もちろん由比ヶ浜の浴衣姿が可愛かったからという理由もあると思いますが、主な理由は前者でしょう。
それがわかるのは、雪ノ下雪乃との買い物する6話です。買い物で雪ノ下雪乃がツインテールをしていたのに対し、八幡は何も言いませんでした。もちろん雪ノ下雪乃の変化に気づいてはいるでしょう。これは、八幡なりの女性への接し方なのです。
バカなラブコメアニメで、やたらと女の子のおしゃれを褒める主人公いますよね。それで恋愛対象でもない女の子を惚れさせる無責任なやろうばっか。ほんと安直。私がラブコメで嫌いなシーン2位です。ちなみに1位はナンパされているところを助けるやつ。
今回のシーンは、由比ヶ浜が自分とのデートのために手間のかかる浴衣なんかを着てきてくれたのだと八幡は気づいたから、由比ヶ浜の浴衣を褒めてるんですね。
自分も陰キャなので女性の服を褒めることに抵抗感があるというのはめちゃ共感できます。(そんな機会すらないんですけどね)でも、言うべき時に言える、それが八幡という漢ですよ。こういうキャラの見せ方が最高。
ただ、これが八幡の良いところでもあり、由比ヶ浜からすれば残酷なところでもあるんですが。

てなことで二人は花火大会へと向かいます。電車の中では寄りかかられて頬を染めたり、歩いてるときは照れ隠しするように屁理屈並べてみたり、いい雰囲気でデートは進んでいきます。

そんな中八幡はモノローグで、「小町のいらん気づかいにはまいる」や「世の男子の八割は…」など言いますが、これは全部"由比ヶ浜結衣が自分のことなんか好きではない"と思い込むための言い訳です。このモノローグが、私がはじめに話したお話の構図の理由付けになっています。

りんご飴食べたいと言い出したり、宝釣りに興奮したり、祭りを存分に楽しもうとする由比ヶ浜。それに対して、用事を早く済ませたい八幡はさっさと綿あめ屋に並びます。

そこに相模南御一行が登場。由比ヶ浜に話しかけてきます。
話しかけられた由比ヶ浜は、同級生に会えた喜びからか相模へ駆け寄る。そして八幡は自分はいないものとして、元々の目的である買い物を済ませていきます。

しかし相模の「今日は誰かと来てるの?」という質問で、八幡と相模は顔を合わせることになります。同じクラスの人に「同じクラスの比企谷君」って紹介は普通しないんですよ由比ヶ浜さん、、、

八幡を見た途端、鼻で笑う相模。これは八幡を”由比ヶ浜の男”という目で見て馬鹿にしたということです。
それを由比ヶ浜も気づいたのか、困った様子で八幡を見て、言葉を詰まらせるように相模との会話を続ける。一方、八幡は由比ヶ浜に迷惑をかけまいとその場を離れる選択肢をとります。

八幡が焼きそばを買い終えたところ、由比ヶ浜が慌てて走ってきて「ごめん」と謝る。その後の八幡の一言。

「りんご飴」

ここが今回のハイライト

この一言に八幡の優しさがギュッと詰まっている。
由比ヶ浜の言った「ごめん」には二つの意味があります。一つ目は”一人にしてごめん”という意味。二つ目は”出会った頃から成長していなくてごめん”という意味です。
二つ目がどういうことかを説明します。八幡も言ってましたが、相模との会話は社交辞令の場なんですね。由比ヶ浜は好きな人と一緒にいてもなお、その社交辞令の場を選んでしまった。ここに、一話の時の周りに合わせてしまう由比ヶ浜の姿が見える。だから、1話や2話で直したいと言った自分の性格を直せていないことに由比ヶ浜は謝っているわけです。

そんな由比ヶ浜を元気づけ、優しく包み込む一言。それが「りんご飴」。「りんご飴を食べたい」と言ってたのをきちんと覚えているところもポイント高い。もう、八幡の優しさを語るのに6文字も要らない。「り・ん・ご・あ・め」の5文字で十分。

これには由比ヶ浜も顔を赤らめてニッコリ。

これは完全に恋に落ちてます。でも、このシーンを見たら恋に落ちる理由も納得できる。
俺ガイルって明確に恋に落ちるシーンや恋心に気づくシーンというのがほとんど無いんですよね。(3期あたりだと増えますが)
というのも、徐々にひかれていくというのがこの作品の特徴だからだと思いますが。
ただこの回は、由比ヶ浜が八幡に告白をしようとする。そのシーンに向けて、”なぜ八幡のことが好きなのか”という理由の補強になっているのがこのシーンなんですね。もう一回言うけど、こういうキャラの見せ方が最高。

てな感じで花火が始まりAパート終了。

Bパート

花火を見る場所を探す二人。

「ブルーシート持ってくればよかった」という八幡に、由比ヶ浜は「優しい」と言う。由比ヶ浜が良い雰囲気を作りにいってますね。
しかし、それを八幡はお得意のギャグでスルーしてその場は終了。

引き続き場所を探す二人。有料エリアに来たところで陽乃さんに出くわします。

三人は花火を見ながら雪ノ下雪乃について話し始める。ただ、陽乃さんの口から聞かれる雪ノ下雪乃は、弱く、脆く、みじめな女の子という印象。ここで、これまで描いてきた「雪ノ下雪乃という人物像の崩壊」というのが現実味を帯びてきます。

そんな中、陽乃さんは由比ヶ浜に「雪乃ちゃんのこと好き?」と聞く。それに由比ヶ浜は「好きです」と真っすぐ言い放ち、続いて「天然なところや、優しいところが好き」と拙い言葉で好きなところを挙げていきます。
それを聞いた陽乃さんは、「あなたは嫌いにならないで欲しいな」と半ば冗談に半ば本気で由比ヶ浜に言います。
それに由比ヶ浜は、真剣な顔で少しの敵意も込めて「そんなことしないです」と答える。
その返答に、陽乃さんだけでなく八幡も驚いた様子をみせます。なぜ八幡も驚いた様子だったかは後程。

その流れで八幡にも「雪乃ちゃんのこと好き?」と聞く陽乃さん。しかしその質問を「好き嫌い言うなって母ちゃんにしつけられているので」とキレッキレな返しをします。この返し個人的に大好き。

そして花火は終わり、駐車場に行ったところで例の車を目の前にします。そこに陽乃さんの「傷なんて残ってないよ」というとどめの一言。これが「雪ノ下雪乃が隠し事をしていた」という事実となって八幡にのしかかります。事実を知ってしまった八幡は動揺しており、返しにさっきまでのキレがありません。

それから夜の住宅街を歩く八幡と由比ヶ浜。そこでも話は雪ノ下雪乃のことです。
「知らぬ存ぜぬでいい」と関係の停滞を望む八幡と、「もっと仲良くなりたい」と関係の発展を望む由比ヶ浜。

その後の由比ヶ浜のセリフ、「もし、ゆきのんが困ってたら、助けてあげてね」。それに八幡は、「それはないんじゃないか」と否定する。
すると由比ヶ浜は「ヒッキーは助けるよ」と言い、”もしも事故が無かったら”の話をはじめます。
その話が進む度、由比ヶ浜の口調が今にも告白しそうな雰囲気になっていき、それに気づいたように八幡も困ったような顔をする。
ここでの八幡は、雪ノ下雪乃の事実を知って全く余裕がないのです。その証拠に、陽乃さんと別れて、ここまで(というか9話のラストまで)ほとんどギャグを言いません。これまで私は、俺ガイルの大きな武器の一つはギャグであると言い、褒め続けていました。ここでは、そのギャグさえもフリに使ってキャラ表現をしている。何回も言うけど、こういうキャラの見せ方が最高。
そこに、運良くか運悪くか由比ヶ浜の携帯に着信が入り、話は遮られ二人は別れます。

ここの由比ヶ浜が切なすぎる。「りんご飴」のシーンでわかるように、由比ヶ浜が一番早く、そして一番深く八幡の魅力に気づいてる。そんな由比ヶ浜のアプローチを拒む八幡。しかもその理由は、別の女の子のことを考えているから。詳しくは、次の場面での八幡の回想で分かります。

夏休みが終わり、二学期初日の登校。八幡は教室に向かう途中で雪ノ下雪乃に会います。別れ際、雪ノ下雪乃が何か言おうとするのを遮る八幡。

その後の回想で八幡は、「雪ノ下雪乃に憧れて、勝手に理想を押し付けていた」や「それを許容できない自分が嫌いだ」と語っています。

陽乃さんとの会話で、何故八幡が驚いた表情をしたのか。秘密を隠す程度のことも許容できない自分に対して、由比ヶ浜結衣はどんなことがあっても雪ノ下雪乃のことを嫌いにならないと言い切ったから。ここで八幡は自分の愚かさに気づかされ、この回想に至っているわけです。

ただ、これで終わって欲しくないのが俺ガイル。
ここまで八幡が自分を押し付け、いつもの雪ノ下雪乃の姿を求めている。
これって、八幡にとっての愛じゃないですか
よく思い返してもらいたいのですが、一話からここまで八幡はずっと雪ノ下雪乃のことばっか考えているんですよ。由比ヶ浜結衣と仲直りする回である6話でさえ。
八幡はこれを”憧れ”という言葉で表してますが、はたから言わせてもらえば”愛”以外の何物でもありませんよ。
そうするとこの作品の一つの結末、いわば「誰と結ばれるか」なんてのはこの時点で明白なんですよね。ただ、これを「恋」だとか「好き」だとかの言葉にせず、面倒臭く、回りくどくキャラの心情を描いていく。これが俺ガイルの魅力ですよ。

踏み込んで知りすぎてしまえば、より雪ノ下雪乃の弱い部分が見えてしまうかもしれない。由比ヶ浜結衣の告白を聞いてしまえば、今の関係が崩れてしまうかもしれない。
そうなってしまうくらいなら、関係の進展は望まない。だから八幡は、彼女ら二人との会話を遮るように拒む。
そして、三度、彼は元来た道へ引き返す。

最後に

てな感じで9話の感想終了です。
よく、ネットや友達の声で、「俺ガイル一期は恋愛要素薄い」という意見をちょくちょく聞きます。そういうやつらに言ってやりたいですよ。
「これのどこが恋愛してないんですか?」
好き好き言うだけが恋愛じゃねーんだよ。こういうキャラの表現ができて恋愛と言うんだよ。ってのが私の意見です。

そんな文句はさておき、こんな長文を読んでいただきありがとうございました。多分、この回が一番文字数が多いと思います。なので後4話も読んでくださると嬉しいです。

今回も読んでくださりありがとうございました。


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