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ハーピィ、ライスト等を撃たれる確率とその対策について

 初めまして。駆け出し決闘者のテトラと申します。
 
 私は遊戯王マスターデュエルで蟲惑魔デッキを主に使用しています。そしてハーピィの羽根箒やライトニング・ストームといった伏せ除去カードの対策に頭を悩ませています。

 リソースが無尽蔵にあるといって差し支えないエルドリッチや真竜、モンスターの制圧・防御能力で対応可能なオルターガイスト・サブテラー・メタビートなどとは違い、蟲惑魔デッキは純粋な罠型デッキであるため一度全体除去を受けてしまうと立て直しすることは困難です。

 シングル戦かつ永続罠対策がほとんど必須となっている環境のため除去カードの採用率も多く、蟲惑魔使いとしては死活問題とも言えるでしょう。そこで現環境でどの程度撃たれてしまうか、対策カードは何枚入れればいいのかということを考察しまとめてみました。

 マスターデュエルからの新規勢であり確率の知識もほとんどないので、記載事項の中に間違いがあると思います。その際は是非コメント欄でご指摘いただければ幸いです。

1.環境デッキのバック除去カードの採用枚数(マスターデュエルSeason3分析)

 確率を求める際の前段階として、プラチナ帯の環境デッキで採用されているハーピィの羽根箒、ライトニング・ストーム、ツインツイスターなどの除去カードの採用枚数について分析します。各デッキやプレイヤーの考え方により採用枚数は当然変わるので、これといった結論を断定することはできませんが、私がシーズン3の前半で試合した際のデータを元にしてある程度の傾向がないかを探ってみました。

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デッキ別

 先攻重視型のデッキ(ドライトロン、電脳)や主要ギミックで罠対策が可能なデッキ(魔術師)、罠デッキ(エルドリッチ、真竜)、そもそも魔法罠を入れない方が強いデッキ(アダマシア、壊獣カグヤ)は採用枚数が少ない傾向にあると見受けられます。
 
 一方で後攻重視型のデッキ(ヌメロン、HERO、サイバードラゴン)、採用枠に余裕があるデッキ(十二鉄獣)は3枚以上採用されている方が多かったです。特にヌメロンは最大7枚採用の方がいらっしゃいました。バック除去カードがないヌメロンはカモ同然なので採用枚数が多くなるのは必然ですが、蟲惑魔使いとしては意識しなければならないポイントだと思います。先攻を譲られた場合は覚悟して臨みましょう。

 全体を通してみると平均して1~2枚採用でした。ただ繰り返すようですが各デッキやプレイヤーによって採用枚数は変わるので、対策を考える際には多めに見積もった方が無難でしょう。現環境では十二鉄獣の採用が多い上に脅威であり、バック除去採用枚数も平均2~3枚と多いので、私がデッキを見直す際には相手が伏せ除去を3枚入れていると仮定しています。


2.除去カードを使われる確率と対策カードによる防御確率

 相手が40枚デッキで除去カードを3枚持っているとすると、後攻1ターン目で実際に使われる可能性はそのカードを引く可能性と同じとして39.43%です。これを言い換えると5試合のうち2試合は使われる計算になり、対策がない場合の先攻時初動率は最大60%程となります。ちなみに増Gで1枚ドローされた場合に使われる可能性は44.78%、強金で2枚ドローされた場合は49.80%で使われてしまう計算になります。

 どの程度の勝率を目指して構築するかは様々な意見がありますが個人的に先攻時8割は目標としたいところです。蟲惑魔は後攻が特に弱いので、全体の勝率を上げるにはまず先攻時の勝率を安定させることがほとんど必須と言えます。

 では実際に通してしまう可能性を20%にまで引き下げるのには対策カードを何枚いれればいいのでしょうか。相手が除去カードを持っている確率(A)とこちらが対策カードを持っていない確率(B)はそれぞれ独立しているので除去が通る確率は(A)×(B)となり、その計算結果を下グラフにまとめました。これを見ると、ドローカードを考慮しない場合、対策カードは5枚必要であるとわかります。

グラフ

 参考に相手の所持枚数が変わった場合も載せています。いずれも対策カードの投入枚数が1~2枚ではあまり影響がなく、王宮の勅命は対策というよりはイージーウィンへの上振れカードと考えた方がいいかもしれません。もちろん各種ドローカードで引く可能性は上げられますし、後攻側も除去カードを2枚以上引く可能性がありますので、あくまで目安としてご覧いただければと思います。


3.どのような対策カードを入れるべきか

 大まかな確率と対策カードの必要枚数の目安がわかったところで、次はどのカードをデッキに入れるべきかを考えます。基本的に各種カードは一長一短があり、デッキとのシナジーを重視して入れるカードを決めて選ぶべきであるため、ここでは候補となるカードとそのメリット・デメリットを羅列していきたいと思います。


①王宮の勅命

勅命_result

 罠型デッキなら必須枠と言っても過言ではありません。2022.4からの制限発表によりマスターデュエルでも禁止カードになる可能性が危惧されていますが、それまでは素直にいれておきましょう。


②魔封じの芳香

魔封じの芳香_result

 魔法カードをセットした次の自分のターンまで発動不可とする永続罠で、勅命の代わりとしてよく挙げられるカードです。1ターンの猶予を得られる上にセットを強要させるのは恩恵が大きく、自分の魔法カードの使用もセットさえすれば使えるとあってデッキや状況によっては勅命よりも有効となる場合も多いカードです。

 ただしツインツイスターといった速攻魔法には発動時にチェーンされて破壊されるので、他の対策も兼用するといいでしょう。


③神の宣告

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 罠型デッキにとって由緒正しい対策カード。ライフ半分をコストにするとはいえ召喚・魔法・罠の無効は極めて強力です。除去カードが使われない場合は確実に1妨害を構えられ、天敵である雪花に対しても召喚を無効にして対処できるため他のカードよりも優先度は高いでしょう。

 しかし、羽根箒やライトニングストーム1枚に対し実質4000のコストは軽くありません。特に蟲惑魔はセラを立てる関係上、相手に低打点を晒さざるを得ず、容易に1キルを達成されるリスクを負います。激流葬などのモンスター除去カードの優先採用や短時間で勝負を決められるギミック(ホープなど)を採用するなど、デッキ全体での構築を考えて入れることが望ましいと思われます。


④スターライト・ロード

スターライト・ロード_result

 自分フィールドのカードを2枚以上破壊する効果が発動した時にその効果を無効にし破壊する通常罠です。サンダーボルトといったモンスター破壊効果も防ぐことができ、おまけでスターダストドラゴンを召喚することもできます(任意効果)。

 ただしこれ自体は妨害にならず、自分フィールドのカード2枚以上という条件も意外に厳しいことは意識しなければなりません。通常罠のため蟲惑魔とのシナジーがあり、勅命なき後の対策カードとして有力候補であるといえるでしょう。


⑤大革命返し

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 フィールドのカードを2枚以上破壊する効果が発動した場合に、その効果を無効に除外するカウンター罠です。上記のスターライト・ロードとは違い、フィールドのカードなので相手のカードも対象となる点が優秀です。具体的には幻影騎士団のブレイクソード、将来的にはフェニックスガイなどを除外することが可能であるため、こちらを優先して採用することも十分考えられます。レアリティもRと低いのが助かります。

 蟲惑魔としてはカウンター罠であることが少し痛手であり後引きも弱いですが、それを差し置いても採用する価値はあります。


⑥魔宮の賄賂

魔宮の賄賂_result

 魔法・罠カードが発動した場合に、相手に1枚ドローさせる代わりに発動を無効化するカウンター罠です。汎用性が高いので、スキルドレインや高い制圧能力を誇るモンスターを採用する純メタビート・エルドリッチなどでは採用候補に上がります。しかし制圧能力のない蟲惑魔の場合は1枚ドローさせるデメリットが厳しく、相手の展開を許してしまう可能性が高まるので採用には慎重にならざるを得ないでしょう。


⑦ブービーゲーム

ブービーゲーム_result

 相手によって破壊された場合に墓地の罠カード2枚を発動可能状態でセットする通常罠カードです。一応、単体では戦闘ダメージを0にする効果もあります。

 このカードを採用する場合は2枚採用してトラップトリックと組み合わせることが前提となります。相手の箒・ライストにチェーンしてこのカードを持ってくることにより、他の罠カードをサルベージして1妨害を維持することができます。トラップトリックを多く採用すればその分このコンボを使用できるので枠を最小限に抑えることが可能となり、デッキ構築の自由度はかなり上がります。初手でそのまま引けば最大2妨害を維持することが可能です。

 ただトラップトリック後の1妨害では相手を止めきれない、このカード自体に妨害能力はなく他の罠カードが必要、条件が相手次第である上にマクロコスモス下では対応できない、ツインツイスターを使われてこのカードだけが残るとどうしようもない、他の永続罠・カウンター罠との相性が悪い、後引きは当然弱い、初手で2枚来る大事故が割と起こる、などの問題が非常に大きく、採用されている方は限られていると思います。


⑧やぶ蛇

やぶ蛇_result

 相手によって破壊もしくは除外された場合にデッキ・EXデッキからモンスター1体を特殊召喚できます。対魔法罠を重視するならナチュル・エクストリオ、対モンスターであればクリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン、異界の最終戦士などを呼び出せれば一定の制圧能力を維持できるでしょう。マクロコスモス下やコズミックサイクロンにも対応しているのは優秀で、上述のブービーゲームと同じくトラップトリックでフィールドに持ってこれるのも大きなポイントです。

 しかしデッキからも特殊召喚可能なため、うららに引っかかってしまうのが致命的と言わざるを得ません。現状、うららは3積が基本となっているため、結局4割は防がれてしまう計算になります。また呼び出せたとしても、魔法、罠、モンスターのすべてに対し制圧能力を構えることが出来るモンスターは(禁止カードであるドラグーンを除いて)見当たらず、突破されてもおかしくはありません。中長期戦では有効に使えることが多くなりますが、初手の全体除去への対策としては不安定ではないかと思います。


⑨アーティファクト-デスサイズ&神智

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 相手ターンに破壊されて墓地へ送られた場合に特殊召喚され、EXデッキからの特殊召喚を封じます。現環境では8割~9割のデッキがEXデッキからの特殊召喚に依存しており、この1妨害だけでターンスキップさせることが可能になるパワーカードです。

 このデスサイズをフリーチェーンで任意に呼べるアーティファクトの神智も同様に強力なカードで、羽根箒・ライトニングストームを撃たれてもそれにチェーンして発動すれば1ターン耐える可能性が高まります。

 欠点としてはデスサイズの破壊された場合の効果は墓地に送られた場合のため墓穴の指名者やマクロコスモスに弱いこと、神智はデッキからの特殊召喚のためうららに弱いことが挙げられます。それでも現環境に刺さっていることは間違いなく、神智へのうららに対してもトリオンからサーチした墓穴ホールを一緒にセットするといった対応が可能です。


⑩抹殺の指名者

抹殺の指名者_result

 展開促進のためのカードではありますが、デッキ内に羽根箒・ライトニングストームなどをあらかじめいれておけば対策カードになりえます。エルドリッチや電脳などを考えると伏せ除去の有効性は高く、羽根箒・ライトニングストームを相手の全体除去への対策としての意味も持たせてデッキに入れることができるのは大きな強みです。罠カードではなく魔法カードであるのもブリガンダインや狡猾な落とし穴の邪魔にならない点で評価が高いでしょう。

 ただし、デッキ内になければならないという条件が不安定です。また紙の方では制限カードに指定されているため、将来的にはマスターデュエルにおいても制限される可能性が高いことも不安要素ではあります。


⑪その他(フリーチェーン罠など)

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 1ターンを耐えればいいという観点からいえば、威嚇する咆哮により攻撃させないというのも手です。似たようなカードとして和睦の使者がありますが、威嚇する咆哮は攻撃自体をさせないルール介入効果のためアーゼウスを作らせない点で優秀です。一度発動しておけばほぼ確実にターンを返してもらうことができます。ただし展開抑止はできないので、手札誘発などによるモンスター側の妨害を厚くしておく必要があります。

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 展開抑止でいえば異次元グランドにより墓地効果を防ぐ、次元障壁により各種特殊召喚を封じるというのもあるでしょう。いずれも環境に刺さっているため、多くのデッキに対し効果を見込めます。しかしシングル戦ゆえの辛さで刺さらないデッキに当たることもあるため過信は禁物です。


4.終わりに

 ここまで考察を書いてきましたが、どれだけ対策しても全体除去を通してしまう可能性は残ります。たとえ10枚もの対策カードを入れたとしても、相手が2枚採用していれば5%以上は通してしまいます。自然科学の通例上5%以上であれば有意に起こりえるものと見なすことが多いため、偶然だとはいえないことになります。また、多くの枠を相手への全体除去への対策に費やすのはデッキパワーを著しく下げることにつながり現実的ではありません。結局のところ確率上は防ぎようがなく、ある程度の割り切りが必要になるかと思います。

 この記事が少しでも参考になれば幸いです。お読みいただきありがとうございました。


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