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食品安全文化 in EU規則

2024年8月1日 日本の食品輸出入会社に転職し、9月1日にEMEAに赴任になるということをきっかけに、少し離れていたEU規則について改めて調べていたら、なんと、灯台下暗し、2021年3月 EU規則 Regulation (EC) No 852/2004に食品安全文化の条項が追加されていた。
2020年にコーデックスが食品安全文化を規定したので、当たり前と言えば、当たり前なのだが、「やばい、やばい。日本の感覚でいると取り残されちゃう!」てな感じだ。

簡単に背景をご説明すると、世界保健機構(WHO)及び国連食糧農業機関(FAO)が共同で設立した国際機関であるコーデックス委員会が規定するコーデックス・アリメンタリウス規格は、通常、世界貿易機関(WTO)の加盟国であれば、その国の法律として規定し、運用することが期待されている。それは、食品安全手法として科学的根拠を持って世界的に認められているHACCP(Hazard Analysis & Critical Control Point)手法についても同じで、コーデックスにHACCPが規定された後、早期に(少なくともこの規則が発行された2004年には)、EUは当該規則にHACCPを規定した。一方、日本がHACCPの法制化をしたのは、2018年である。

・・・ということで、欧州委員会が出しているガイダンス文書である 2022/C 355/01には、基本、コーデックスで規定されている食品安全文化の要求事項をベースに書かれているのだが、そのなかの‘FLEXIBILITY EXAMPLE’の項目で、心惹かれる一文があった。この項目では、中小企業等、規則内容を杓子定規に運用することが難しい場合、「柔軟に解釈して運用しましょ!」ということが記載されている。
そのなかで、

the food safety culture, e.g. the engagement and awareness of the importance to work in a food safe way can probably already be observed by the consumer itself and may become evident by normal inspection and auditing by competent authorities.
食品安全文化 例えば、(食品事業者が)安全な食品を提供するよう業務を行うことの重要性を認識し、その実現のための取り組みを行っている状況というのは、消費者は恐らく既に「見ている」であろうし、(保健所等の)通常の行政の衛生監視や査察などで明らかになっている可能性がある。

とされている。なぜ興味深いと思ったかというと、以下の3点。

ー 「食品安全文化」とは、簡潔にいうと、「食品事業者が、安全な食品を提供するよう業務を行うことの重要性を認識し、その実現のための取り組みを行うこと」であると単純に考えて、その組織の対応策の是非を判断するということも可能であるということ。
ー 「消費者が見ている」という視点。日本はどうしても‘Product out’の発想が強く、 ‘Product in’の発想が弱い。つまり、内向きの発想で手段に凝る傾向が強く、最終的な目的を忘れがちであり、失言を恐れないでいうと、食品安全行政においては「取締」という内向きの発想から抜けられず、「食品の喫食者の健康と安全」という目的が、お題目化する傾向があるのではないかと考える。(この失言には、私の過去の経験が含まれていると思われるのであるが、‘独り言‘ということで、お許しいただきたい。)
2024年4月から、食品基準の制定の機能が、厚労等から消費者庁に移管されたことは、EUの市民社会行政へと近づいていることの表れか?!と考える。
ー  当該文書のAppendix3には、食品安全文化評価ツールが規定されている。確か2012年には既にイギリスでは食品安全文化の評価ツールを規定しているので、既に保健所の衛生監視等で評価が行われているであろう。今後、その実態を把握したいもんだと思っているが、評価ツールは、あくまでも指針であって、上記のように、食品安全文化を簡潔に捉え、判断している場合も多いのであろうと予測。

また、別途、イギリスについては、EUから離脱したこともあるが、食品安全行政において、以前から先進的な取り組みを行っていることもあり、また違った観点からその動向をモニタリングしていきたいと考えている。

ちなみに、以下、数日前のニュース。イギリスでは、行政が大手小売が行っているサプライヤーの第三者監査等のデータを利用して行政活動に活かすといった法律を検討しているらしい。これは、実現するとすると、大きな変更である。

このNote原稿を書いている際、ふと自分が書いた修士論文(日本が水産物をEUに輸出するにあたり、当時厚労省が解釈していたEU規則に基づく日本の「取扱要領」とUS等海外のEU規則解釈を比較した論文)のことを思い出し、Googleで検索してみた。
検索結果、Abstract部分のみ引用されているものがネット上で見つかった。
改めて、読んでみたいと思い、家に帰って、昔の文書を探ってみようと思った。

検索した際、なぜか、修士論文とともに、博士論文も出てきた。

(修士論文の要約版)- A Consideration of the “Procedures How to Export Fisheries Products to EU” laid down by Japanese Government.
(博士論文の要約版)- Adaptability of Japanese Food Manufacturers to the Food Certification Scheme of European Retailers.

「これ、自分で書いたんだっけ?」と思うくらい記憶から飛んでいて、「少なくとも、今の自分には書けない」と思ったところである。これも後で確認しよう。。。

Le Pain Quotidien

いつものように、ホテルから徒歩30分のGelderlandpleinというショッピングモールのCafe  Le Pain Quotidienで、カプチーノとオレンジジュース、ハム&チーズのクロワッサンを食べながら、お洋服屋さんが開く12:00まで過ごして、この記事を書きました。

Le Pain Quotidienに入る前に、パン屋さんがやっているカフェに入ろうとしたが、お客さんが一組座って朝食食べていたのに、愛想のない店員さんが「Closed」と私に言い放ったため、そのパン屋さんには入れなかった。 あそこのハム&チーズ・クロワッサンの方が美味しいのにな・・・と思いつつ。。

それでは、もうすぐ12時。明日からの出張に備えて、コートを買いに行きます!
See you soon!!

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