智和輪 テキスト

中国世界をくまなく支配し、絶対的な権力を手中におさめた始皇帝の唯一の泣き所は、死への恐怖だった。なんとかして死を免れ、不滅の生を得たい。始皇帝は方士徐福を団長とする船団を派遣し、不老不死の仙人が住むという「東海の三神山」(蓬萊・方丈・瀛州)を探索させるなど、むなしいあがきを繰り返した。しかし、不滅願望とはうらはらに、終わりは意外にはやくやって来た。紀元前210年、天下巡遊の途中、沙丘まで来たとき、重病にかかり、あえなくこの世を去った。ときに50歳。皇帝となって11年目のことであった。

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