智和輪 テキスト

村田珠光は、絢爛豪華で単に楽しむためのものだった茶会を、精神性を追求する「茶の道」へと変化させる基礎を見いだした。物を極限まで排することで現れる美を追究、物の不足を心の豊かさで補うことを目指した。茶の湯の道にとって最も大きな妨げとなるのは、慢心と自分への執着であるとし、どんなに上達しても人には素直に教えを請い、初心者にはその修行を助けることを説いた。珠光が弟子に宛てた一節に「心の師とはなれ、心を師とせざれ。」がある。移ろいやすい心に振り回されず、自分が心をコントロールする立場になりなさいという意味である。

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