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人規十七則

十四、恥を知る

一、罪は身の上の問題であり、恥は心の上の問題である。身の上の問題の罪は軽く、心の上の問題の恥は重い。自分の畑を放り出して他人の畑の草取りをしたり、自分の欠点は棚に上げて他人の欠点を非難する態度を、「罪」とするのである。それに対し、恥というものは我が心のなかにあるもので、地位と収入を与えられていながら、道義を世に実行することができないならば、まことに恥ずかしいことであって、これが「恥」というものである。

ニ、我が身の恥を知るのは、勇の徳を育てることになる。

三、「恥」の一字こそ、最も肝要の言葉であって、人は恥じる心がなければならない。恥じる心というものは、人にとって極めて大切なものである。恥じる心は人間が必ず持っているもので、恥ずかしいと感じることがないのは、真に恥じる心がないのではなく、恥ずかしいと思っても、その思いをそのままに捨てておくため、恥ずかしくない顔をしているだけである。その結果、内心はますます恥ずかしくなるのである。自己の羞恥心が強いことを自覚し、その心を本にすれば、容易に効果を得ることができることを理解したなら、頑固に自己を守って改めようとしないものはないのである。

四、法制禁令などの小手先の政治で導き、刑罰で統制していくなら、人民は法網をすり抜けて恥ずかしいとも思わないが、道徳で導き、礼で統制していくなら、道徳的な羞恥心を持ってそのうえに正しくなる。

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