兄に病名を告げました

病気のことは、誰にも言わないつもりでした。

しかし、前回の診察時に、主治医に心配をかけてしまい、先生に、これ以上、治療以外のことで心理的負担をかける(治療費、踏み倒されるんじゃないか、とか?笑)のも申し訳ないので、兄には、犠牲になってもらうことにしました。

私の兄は、幼い頃から、優しく性格も良い人です。
兄以上の人格者に、私は、会ったことがありません。
自分と同じ血が流れているとは信じられない程、本当によく出来た人間です。

(兄の負担になるので、このように思っていることは、口には出しませんが…)

だから、幼い頃から家族や親戚は兄を頼り、また、兄も嫌がることなく、なんでも受け入れそつなく対応していました。

私が、上京して勝手気ままに出来るのも。
私がやるべきことを、兄が黙って引き受けてくれているからで。
そんな兄に、私は、またもや負担をかけてしまうのです。
私が妹で、本当にごめんなさい。

なるべく、深刻にならないように。
冗談も交えて、病名や病状を伝えました。
そして、ALK融合遺伝子は、とてもラッキーな遺伝子で、強運であること。
今回、病気が判明した過程を振り返ってみても、私はとても運がいいこと。
を、強調しておきました。

電話で告げると、うっかり泣いてしまう可能性もなきにしもあらず、で。
そして、泣いてしまうと、余計に心配させてしまうから。
SNSで伝えました。

だから、兄がどれほどショックを受けているか、直接には分かりません。
それでも、兄からの返信を読むと、行間から悲しみが伝わってきました。

お兄ちゃん。
私ね、癌になったけど、なってしまったものはしょうがない!と、案外、あっけらかんとしてるんだよ。
だから、あまり深刻にならないでね。
心配しないでね。
こんな病気になってしまって、ごめんね。
苦労ばっかりかけて、ごめんね。
負担ばっかりかけて、ごめん。
私、あなたの人生、邪魔ばっかりしてる。
本当は、お兄ちゃんには、誰よりも幸せになってほしいのに。
私がいなければ良かったね。
ホント、ごめんなさい。

心の中で謝っても、兄には伝わらないけれど。
直接謝るのも、兄が悲しむような気がして。

病気になるのは、平気だけど。
病気になったことを伝えて、相手を苦しめてしまうのは、とても辛いです。

私は、こんなに元気だし。
落ち込むこともないし。
平気なのに。

家族が不治の病と知ったら。
きっと、知らされた日から、生きた心地はしないと思います。
気にしないようにしても、心の片隅で、ずっと気になってしまうでしょう。
「今日も生きてるかな?悪化してないかな?」
恐らく、兄は私が死ぬその日まで、不安な毎日を過ごすことになると思います。

本人よりも、家族の方が、ずっとずっと辛い思いをし続けることになるでしょう。
それは、私が死んだ後も、ずっと続くと思います。

家族が延命治療を望んで、その後、死んだら、
「治療であんなに苦しませるくらいなら、治療を断って楽にしてあげれば良かった」

家族が延命治療を断ってすぐに死んでしまったら、
「あの時、治療を望んでいたら。もしかしたら、奇跡が起きて治ったかもしれない、もっと生きていられたかもしれない」

どっちの道を選んでも、ずっと後悔が続くような気がします。
そんな思いをさせるくらいなら、病気のことも、治療のことも、誰にも言わず、一人で決めてやった方が、いいと思ってました。

脳転移さえしてなければ、最期まで内緒にしておけたんですけど。難しい…。

兄は、仕事が忙しく、毎日遅くまで働いています。
そんな兄は、私の病気を知り、休日潰してまでお参りに行ってくれ、友人の脳外科医に話を聞きに行ってくれました。
(私が放射線治療の後遺症を気にしていたので)
後日、兄から、お守りと相談内容の回答書とお金が届きました。
有り難くて、申し訳なくて。
兄には、してもらうばっかりで。
私は、何も返せていないのに。

ごめんなさい。
お兄ちゃん、私は、大丈夫だから!!
心配しないでね。
病気になってしまい、ごめんなさい。
でもね。
病気になったのが、兄じゃなくて本当に良かったと思ってる。私で良かったって。
だから、無理しないで。
身体を大事にしてね。











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