心理について
会社員をしていると、上司や部下、同僚のことが常に気になって本来の自分の姿を見せられない、と思っている方が多いのではないでしょうか。私もその口です。
20代の頃はよく転職をしました。営業マンからスタートし、旅行の添乗員、塾の講師、産業ロボットの製造など畑違いの仕事をしました。
大学を卒業して27歳までの5年間で、アルバイトを含めると20社ほど変わりました。履歴書にまともに書こうとしたら、5枚ほど書かないといけません。
何故、そんなに転職したかは、根性がないのと、好奇心が旺盛なこと。でも、一番はやはり人間関係ですね。
人間の悩みのほとんどは人間関係といわれていますからね。お金の悩みは頑張って働きさえすれば解決するでしょう。
まぁ今の時代は労働時間がうるさくてなかなかかせげなくはなりましたが。
27歳の時からトラックにのりはじめてから50歳になる今年までの23年間は無事同じ会社に勤めています。
何故、続けることができたかは、皆さんもお察しの通りです。人間関係を放棄しているからです。
トラックに乗っている間は自分の時間のようなものです。もちろん、決められた場所に行くことと、決められた時間までに荷物を届けるという制限はあります。
しかし、長距離トラックを走っているほとんどの時間は他人とからまなくていいのです。
おそらく、他業種から運送業に転職した大半の人は上記の理由でしょう。
サラリーマンをしていると、常に誰かの目を意識しています。上司に媚を売ったり、怒られないために注意する意識ばかりしています。
私のいる会社の事務職も、『如何に上司から怒られないように行動するか』しか端から見ている私の目には映っていません。
なかなか言いたいことが言えない世の中なので致し方無い一面はありますが、主義主張を曲げ続けて生きるのは、ストレスがたまります。
世の中のサラリーマンの方々は、こうしてたまったストレスを、パチンコや魚釣り、旅行などで上手く発散させているのでしょう。
さて、話が仕事のことになりましたが、人間が生きていく上でさけてとおれないことだから仕事をからめたお話になります。
明治期の作家武者小路実篤は、著書『人生論愛について』の中で人間は何のために生まれてきたか、について、『仕事をするために生まれてきた』と言明しています。
人類が繁栄していくためには、それぞれが身の丈にあった仕事をして、世の中を上手く回転させなければならないと。
世の中は働きアリの法則で成り立っていて、その比率が2、6、2の割合でバランスが整っているそうです。
よく出来る人が2割、普通に出来る人が6割、全然駄目な人が2割です。
仮に、全ての人が東大に入れるくらい頭がよかったら、誰が大工さんをするか、誰がトラックに乗るか、誰がラーメンを作るかなどで、大もめにもめるでしょう。
ただ感心するのは、世の中は上手く身の丈にあった仕事があるということです。
なぜ、そうなったかは、仕事にあぶれると犯罪者が増えるという歴史があるからです。
日本では一揆が多発しました。欧米では昔から貧乏人には宗教をすることを推奨しました。
フランスの皇帝ナポレオンは次のような事を言っています。
『宗教は貧乏人が金持ちを殺すのを思いとどまらせる』
欧米の権力者は上手く宗教を利用しました。人を殺すと地獄に行くと。
当時の人たちは科学が発達していないので天災は神の仕業と本気で信じていたようです。
だから悪い行いをすればバチが当たるということを権力者が言明すれば、疑いもできなかったのでしょう。
人間の心は弱いものです。どんなに屈強な体をしていても、どんなに経済的に余裕があっても、一人になれば孤独をかんじるし、退屈からはのがれられません。
だから、いつも誰かとつながっていないと不安ということで、SNSが発展しているのでしょう。
他人がある物事に対してどのような観念を抱いているのか。それと比べて自分はまともなのか、などなど不安と劣等感と優越感のボルテージを上げ下げしているのが人間の精神です。
おそらく、昔も今も、これからも人間の心は何かにすがっていないと壊れやすいようにできているのでしょう。
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