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生きるを支える介護



昨日、今日と全く食事が取れていない利用者さんがいる

食事が取れないとたちまち脱水が起こり、あっという間に弱ってしまうので
好きな飲み物だけでも勧めたり、栄養補助食品を飲んでもらったりして
なんとか体調の低下を防ぐようにしている

「もう年なんでしょうか、いよいよですか?」と聞いてくる家族

確かに、徐々に食事量が減り、最後は食事できなくなるのは普通の流れではあるが
なぜ食べられないのか、具合が悪いのかなどをきちんと押さえておかないと
「もう年だから」と一括りにして必要なケアをおざなりにするわけにはいかない

気温や気候の変化、人間関係や行事などの出来事、睡眠バランス、体調の変化、排便
さまざまなことが原因で、高齢者の体調は変化する

毎日繰り返し行なっていることがあり、
大きな波のない安定した人間関係
変動の少ない気温などの環境要因
これらのことがうまく回っていくからこそ
予備力の少ない高齢者体調を崩すことなく生活できる

それでも
突発的に起こる疾患や体調変化で、大きくQOLが下がってしまうけれど
「これが食べたい」とか「こうしてほしい」「話を聞いてほしい」と自分の思いを
伝えることができる人は、充分に力がある

スタッフから見れば
なんの問題もなく、自分から困り事も言って来ない「静かな」利用者さんが
一番危ないと言える

ちょっと認知症の周辺症状があったり
体調変化で常に観察が必要な方の方が
スタッフの目も行き届いているように思う

声の大きな人やスタッフにとって手がかかる人の陰で
静かに予備力を使い込んでいるような利用者さんこそ
気をつけて観察が必要なのである

生活場面で観察こそが
人間らしく生きていくために重要なこと
生きるを支える専門職だからこそできる介護を
日常生活の中で続けていきたい

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