2019_教室vol

VOL.2 レポート:「サッカー・フットサル場づくりの教室 〜わたしの街で愛されるスポーツの場のつくりかた〜」

第2回目となったグラウンドづくりの教室の様子を今回もお届けします。前回の教室では、グラウンドをこれからつくり、運営していく上で1番重要なパートである「コンセプトづくり」についてlove.fútbol Japan代表の加藤さんのもと、ワークショップ形式で進めていきました。

▼Vol.1はこちら



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今回のテーマは『土地種別の法律・資材選定・芝生施工などロジスティックのすべて』と題し、建築設計の専門家である株式会社キチアンドアソシエイツ代表の吉岡さんをお招きし、お話しして頂きました。

今回からいよいよグラウンドづくりのプロセスの中で実務的な内容の講義に入り、参加者の皆さんに沢山の気づきがあったみたいで、講義後、詳しく学べたと今回の教室に満足の声が聞こえてきました。

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一般的にグラウンドというと、様々なスポーツ競技の他にコンサートなどが開催できるような大規模なものと、地域に点在する小規模なグラウンドがあります。今回の講義で文中に出てくるグラウンドは、前提として後者の私設運営可能な規模のグラウンドを考えます。


1. グラウンド施設の運営用途と規模を考える

作ろうとしている理想のグラウンドは、どういった用途で利用してもらい、どのくらいの規模で作るかを最初に考えます。例えばサッカーグラウンドを作りたい場合、ピッチだけ作るのか、それともサッカーだけでなく、施設内に大人数でBBQが楽しめるスペースも欲しいのか。これによって必要な土地がどれくらいか割り出します。


2. グラウンドをつくる土地のことを知ろう

グラウンドを作りたい土地にどんな法律と制限があるのかを、このフローでリサーチします。吉岡さん曰く、公の土地を除き、グラウンドを作ってはいけない土地は基本的にないとのこと。しかし、例えばピッチを作りたい土地に農地が含まれる場合、その農地の持ち主と地域の農業委員会に農地転用の許可と承諾を頂く必要があります。

その他にも、土地には用途地域によって【住居系・商業系・工業系】と区分が分かれていて、それぞれに制限があります。
簡単に言えば、グラウンドを作りたい土地が比較的住居が多い土地の場合、建築物そのものの制限(例:2階以下かつ1500平米以下なら建築可能など)の他に、近隣住民への騒音対策を考える必要が出てくるといった問題が挙げられるという事です。


3. 施設の付帯設備について考えよう

グラウンドを利用する上で、基本的に必要な設備は何かを具体的にリストアップします。
まずピッチをイメージして考えてみましょう。
他にも色々ありますが、人工芝の表層仕上げや外周ネット、屋根付きベンチ、側溝などの給排水設備が必要だなという感じで浮かんでくると思います。さらにピッチの外に目を向けると、クラブハウスをはじめ、備品倉庫や観客席など様々な要素が挙げられます。


4. グラウンド施設の施工

業者選定から始まり、見積りの方法など細かく6つのポイントに分けて、それぞれの項目における注意点と合わせて話して頂きました。グラウンドをつくる上で、こんなにも工事の業者が関わってくるのかという思いと、いかに自分たちでできる作業とそうでない作業をコスト面と合わせて考える重要性を感じました。


5. 苗場グリーンランドの事例

ここから、新潟県にある苗場高原観光事業協同組合の新井さんにバトンタッチしてお話を伺いました。苗場グリーンランドは、国から土地を年間いくらという形で借りて、グラウンドを組合員で作り上げ、運営するという形をとっている稀なサッカーグラウンドです。新井さんたちは、グラウンドの給排水設備など専門業者の力を借りる工事以外を全て自分たちの手で作り上げるセルフビルド式でグラウンドを作ったため、今までの苦労であったり、自分たちで作って良かった点などを話して下さいました。

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新井さんはグラウンドづくりを終えて、やって良かったことを聞かれた際に、「このプロジェクトをやってなかったら出会わなかったであろう地域の人たちとの交流が生まれたこと」を挙げました。グラウンドを作る中で、協力して下さった方たちとの間に絆が芽生えたと言うのです。セルフビルド式での作業はたしかに大変だけど、スポーツができる場を生み出すと同時に、その過程でも素敵な繋がりを生むという側面があることを知りました。

吉岡さんは、教室の冒頭と最後にグラウンドづくりで重要な点としてこう仰いました。

「関わる人の熱量が、そのグラウンドの魅力となり価値へと繋がる。」

グラウンドをつくった後に描く未来がある人と、場所だけあればいいという考えの人がグラウンドづくりにかける想いとその先の結果はおそらく全く違います。つくりたいグラウンドの先に叶えたい理想があるならば、沢山の人を想いで巻き込み、熱量高く取り組む必要があるのだなと感じました。


次回、第3回目となる7月23日(火)の教室には、NPO法人のFC岸和田で理事長を務める河内賢一さんにお越し頂きます。テーマは、「toto助成金によるグラウンドづくりと総合型地域スポーツクラブ運営」です。toto助成金を過去2回取得し、クラブハウスなどを施工した経験やtoto助成金取得のためのポイントや、様々な種目のスポーツを提供し、地域の人々を幸せにする総合型地域スポーツクラブ運営について学びます。


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<2020年10月開講:サッカー・フットサル場づくりの教室詳細はこちら>


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文:
伊佐治 慎梧
note: note.mu/bemyself_shingo
Twitter: @xs_bemyself




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