2019_教室vol

Vol.3 レポート「サッカー・フットサル場づくりの教室 〜わたしの街で愛されるスポーツの場のつくり方〜」

第3回目となる今回の教室には、大阪府からNPO法人FC岸和田の代表を務める河内賢一さんにお越し頂き、「toto助成金を使ったグラウンドづくりや総合型地域スポーツクラブの運営」についてお話しして頂きました。

▼前回の教室はこちら


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河内賢一(かわうち・けんいち)

NPO法人FC岸和田理事長
大分県生まれ。大学卒業後、中学校の体育教諭に。2002年、岸和田市立春木中学校からの異動時に顧問をしていたサッカー部の継続が困難になり、また近隣の中学校でも同じ状況だったことから、U-15のサッカーチーム「FC岸和田」を立ち上げ。翌2003年にはNPO法人化。2006年に「日体協総合型地域スポーツクラブ育成指定クラブ」の認定を受け、2007年に「地域型総合スポーツクラブFC岸和田」を設立。現在は、岸和田小学校校長、FC岸和田理長を務める。


グラウンドを自分たちの手で作ろうとすると、大きく立ちはだかるのが資金の問題です。FC岸和田はtoto助成金(スポーツ振興くじ助成)を利用して、グラウンドづくりの資金面での負担を軽減したクラブであるため、これからグラウンドを作りたいと考えている人たちにとって大変参考になるお話を沢山して下さいました。

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U–15のチームから始まったFC岸和田

FC岸和田はクラブ創設当時、地元の中学生がサッカーをするための場所を作りたいという河内さんらの想いからスタートしました。翌年、クラブを法人化させ、総合型地域スポーツクラブにし、現在ではサッカーだけでなくテニスやヨガ、ストリートダンスなどの会員も合わせて600名を超える規模に。創設当初からtotoの助成金を運営に活用することを考えていたため、すぐに法人化させました。しかし創設2〜3年目には、totoの売り上げ自体が落ちたことによって助成金がもらえず、運営が苦しい時期が続いたそうです。同時に、総合型地域スポーツクラブとは何なんだろうか、多世代が交流する場としてのイメージはできるけど多種目で展開するってなんだ、と苦悩の時期を過ごしたと仰っていました。


道を切り拓いた河内さんの行動力

転機は2016年に日本体育協会による総合型地域スポーツクラブ育成指定クラブに指定されたことでした。きっかけは、大阪体育協会への直談判だったのですが、大阪体育協会のHPには、大阪府にある総合型地域スポーツクラブの紹介があり、それを見た河内さんが、自分たちも総合型地域スポーツクラブとして認めて欲しいという旨の連絡をしたのです。そこでOKが貰え、各都道府県に存在するクラブ育成アドバイザーの指導のもと、アドバイスを1年間もらったことで協会との繋がりが出来るなどして、好循環が生まれていきました。これからtoto助成金の獲得を目指したいと考えている方は「toto助成金の手引きを読み込む」ことと、「分からないことは協会などに電話して聞く」ことの2つは基本的だけど、すごく重要な要素だなと思いました。totoにとっても助成金を出して、スポーツ環境を良くしたいという想いがあるので、その想いとマッチしないと当然助成金の獲得の可能性は低くなります。

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人の繋がりによって支えられたクラブ創生期

グラウンドづくりの過程で、totoの助成金を活用してきたFC岸和田。しかし助成金には助成対象が限られているため、グラウンドをつくる過程において資金面の問題でどうしても自分たちの手で作り上げないといけない部分があります。グラウンドや照明、スポーツ用具などは対象なのですが、トイレや駐車場などの整備は対象外のため、FC岸和田は自分たちの手で作り上げました。その他にも、クラブハウスの図面やデザインなどの設計にも知り合いや友人の手を借りて作り上げたため、文字通り沢山の人の手によってFC岸和田というクラブは作り上げられていったのです。


このクラブを100年続くようにしたい

教室の最後の方に河内さんの口から語られたのは、「このクラブを100年続けたい」という真っ直ぐな言葉でした。FC岸和田のケースに習い、多くの関係者が後に続こうと運営面でのアドバイスを貰いに来た際に、施設の利用料金でお金をもらうよりも、グラウンドに来て、サッカーを見ながらの飲食などでお金を落としてもらった方がいいアドバイスをしました。その方が、より本来の総合型地域スポーツクラブとしての形に近いからという理由です。河内さんが大切にしたいのは、「スポーツで地域の人を幸せにする」という想い。幸せの定義は人によって違えど、叶えたい想いはクラブ創設当時から変わっていないのだなと感じました。


終わりに
今回の教室が開かれるより前に記事などでFC岸和田の存在は認知していて、素晴らしい取り組みをされているクラブだなと感じていました。ですが実際に河内さんから所々での苦悩や奮闘を交えた話を聴くと、スポーツで地域の人を幸せにするという考えを本当に体現しているような人だなと感じました。自分の文章力では、素晴らしさが伝えきれないと無力さを感じていますが、興味のある方は是非FC岸和田のグラウンドであるいずみSPORTS VILLAGEを訪れて欲しいし、自分も行きたいと思います。


さて次回8月6日(火)は、株式会社ツクルバから代表取締役を務める中村さんをお呼びし、「コミュニティづくりとコミュニティ経営」について話して頂きます。日本全国でコワーキングスペース「co-ba」の運営や、コミュニティコインのアプリ「KOU」の開発など、「場の発明を通じて欲しい未来をつくる」をミッションに掲げて事業展開と組織づくりをおこなう中村さんのお話は、スポーツの場づくりをする人が備えるべき本質を伝えてくれます。


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<2020年10月開講:サッカー・フットサル場づくりの教室詳細はこちら>


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文:
伊佐治 慎梧
note: note.mu/bemyself_shingo
Twitter: @xs_bemyself





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