見出し画像

“姫路城と共に発展していく”歴博

お堅い雰囲気で年齢層は高め。何だか落ち着かない。見ていると力が入って肩が凝るし、よく分からない展示を前にすると「……ナルホド」とその場から逃亡しがち。見ていて疲れちゃう。
私が歴史博物館に抱く印象とはだいたいこのような感じだ。きっと読んでいる貴方とも共有できるものがあるはず。
「折角訪れたんだから、何かしら知識を持って帰らなきゃ!」と、歴史好きとはいえサラッとなぞっただけの私は前のめりになってしまうのだ。

しかし私は提案したい。
諸君、もっと肩の力を抜いて歴博を楽しんでも良いのではなかろうか!!頭を空っぽにして、「ワ~、ナンカKawaiiネ」といったぐらいに!!!(自戒)

今回は、このような感覚に全振りした兵庫県立歴史博物館レポをお届けしていこうと思う。
(先に伝えておくが、この記事は複数人で作成したものである。文体の違いについてはご容赦頂きたい)

▶ いざ、兵庫県立歴史博物館へ!

突然だが、兵庫県立歴史博物館がどこにあるかご存じだろうか??
私は名前を聞くもののどこにあるのか行くと決めるまで分かっていなかった。
姫路城の後ろにあるのだ。
姫路城の存在が圧倒的で、私自身全然認識していなかった。
大天守があって世界文化遺産。
観光客も自然と姫路城へ向かうし、姫路城だけでたっぷりと時間を使う。
その後ろにある美術館を通り過ぎて、目の前に見えてくる真新しい白い建物が兵庫県立歴史博物館。
今年の春にリニューアルオープンした博物館だ。


さて、博物館内の展示品をざっくり紹介していこう。
1階は姫路城のことや兵庫県ゆかりの美術やくらし、近年導入されているハンズオンコーナーもあり、無料ゾーンとなっている。
“姫路城と共に発展していく”というモットーである博物館では、姫路城のことはもちろん、ハンズオンコーナーでは実際に展示品に触れて楽しむことができるのだ。

▷      大学生、歴博でゆるカワイイに出会う。

そんな1階の展示室で、私は「ゆるカワイイ」と出会った。歴博でゆるカワ?「ふざけるのも大概にしろ!!」だなんて思わずに、取りあえず写真を見て欲しい。


ましかくの板に並ぶのは仏像であろうか……縦に3体、横に5体。それぞれに「刀」「力」などの漢字一文字が当てられている。ちょっとどういう状況か分からないけど、謎の漢字Tシャツを着た仏像の集合写真みたい。

私の注目ポイントは「表情」だ。例えば一番下の段、左から2番目の像を見てみよう。「彼」の字を当てられているその像は何ともゆるい笑みを浮かべている。顔文字で表すならば( ◜ᴗ◝ )といったくらいだろうか。
というか表情に限らず全体的にゆるい。まるい輪郭はどこか親しみを覚えるし、何て言うんだろう……ツルツルしていて触り心地良さそう。もち肌よりかは陶器のような肌、といったところ。3頭身でかなりデフォルメされていて、遠目から見た感じは四股を踏むお相撲さんみたい。小刀で彫ったであろうにここまで曲線が綺麗なのは凄いと思う。

――というのも、あれは確か中学3年生の時のこと。私は美術の授業で、ちょうどこの展示物のように正方形の板を彫っていた。題材は「ロミオとジュリエット」。筆が乗りに乗った私はましかくの板に沢山の絵を鉛筆で下描きしていた。彼らのイニシャルであるRとJ、咲き誇るバラの花、バルコニーに佇む寂しげなジュリエットの横顔……それがあまりにも楽しくて、問題に気付いたのは三角刀でザックリと線をなぞるように彫り始めた時であった。

「いや、曲線多すぎ!!」

そう。これから彫刻刀で彫るというのに、そのことを考えず曲線のオンパレードにしてしまったのだ。特に三角刀は、愚直な性格だから曲がったことが嫌いらしい。どれだけ細かく刀や板を動かしても、まるい下描きをたちまち多角形へと変えてしまう。恋する乙女のなだらかな鼻や顎は鋭利になり、バラは花びらにも殺傷能力を備え始める。これはRomeoとJulietの世界ではない。私はRockとJunkのカオスワールドをつくり出してしまったのだ。

だから作者の技術力が羨ましい。刀を使ってあんな曲線を生み出せるんだもの。そう考えると、この一枚の板は奥が深すぎるのではないだろうか……

ところで「板」呼ばわりしているこの子、「瓦経(ガキョウ)」というものである。瓦に仏像とお経が刻印されていて、写真のものには法華経が彫られているそうだ。1階の展示室「美術とくらし」にてずば抜けたゆるさを放っているので、ぜひ貴方もこのゆるさと技術力の高さにノックアウトされてみてはいかがだろうか。

▷  紹介で出したハンズオンについて。


簡単に言うと、“触覚を活かした学びができる”ということだ。
例としてこちらの展示品を紹介しよう。


今の丹波篠山にある篠山城の絵図が触って確認することができる。
今までパネルに添付された写真の絵図や、テレビの映像で流れてくる映像での絵図しか見られなかった今までを覆し、触覚を使って認識ができる。
見えている人でさえ面白く感じられるし、理解できる人がより多くなる。
ハンズオンとは見えていない人だけではなく、見えている人でさえ楽しませることができるプログラムなのだ。
ぜひ訪れて触って学ぶということを体験していただきたい。


2階は、入場券が必要となる有料ゾーンだが、たったこの料金でこれだけ楽しめるの!?と驚くほどたくさんの展示品と郷土資料が並んでいる。
「ひょうご五国のあゆみ」、「歴史回廊」、「こどもはくぶつかん」、「日本の城大百科」と4つのコーナーがある。
ここでは、「こどもはくぶつかん」と「日本の城大百科」の紹介をしたい。
「こどもはくぶつかん」では、江戸時代から現代までのおもちゃが展示されており、触って当時の遊びを体験できるものもある。
例として下の写真。


この玩具は江戸時代の「庄屋拳」を再現したものである。
2人1組でじゃんけんの遊びをするものだったらしい。
展示品を触って当時の遊びを現代でできるのはなかなかない体験であり、現代の大学生でさえ楽しむことができた。
このように子供時代を思い出したり、試したくなったり、子供心をくすぐられるような展示品がたくさんあった。
現代の展示品は、私たち大学生でも懐かしいと思える展示品がたくさんあり、老若男女問わずたっぷりと楽しめるコーナーだった。

▷ 大学生、自分の歴史を振り返る。

さてここで、こちらの展示品をご覧いただきたい。


写真では2枚に渡っているが、スケッチブック見開きに描かれたイラストだ。恐らく輪郭はボールペンで、水彩絵の具を用いて着色がなされている。素朴で温かい。どこか懐かしいタッチだ。
海ほうずきと蓄光ほうずき?何それ。ヒネリアメって固いのかな。見た目は「超ひもQ」みたいで柔らかそうだけど。ヨーシヨクヤでお好み焼きって何か違和感ある。あ~、私も無心でヒナタボッコしたいな……そんなことを思いつつ、私は在りし日を回顧していた。

そういえば、私の通っていた小学校の近くに、老夫婦が営む駄菓子屋があった。地域の名前がついた小さなお店は、毎日外は駄菓子を買いに来た小学生と自転車でいっぱいで、店の奥では3DSを持ち寄った子供が扇風機の風に当たりながらゲームに熱中していた。たまに買い物を急かすから少し怖かったおじいちゃんと、会計担当で計算の早いおばあちゃん。壊れかけのレジスターの台に吊り下がるラメ入りの縄跳びや、AKBと嵐のブロマイドくじ。その向かいの商品棚には、紙トレーの上に置かれ外気に晒されまくっていたきなこ棒。当たり付きは爪楊枝の先が赤く塗られていた。10円だった。その下の段にあったわさびのり太郎は、美味しいけれどわさびが強すぎて何回も食べては泣いた。確か20円。その隣の大好物よっちゃんイカは30円で、更にその下の段には早売りジャンプとコロコロ……今思い返せばノスタルジーの塊である。

貴方はどうであっただろうか。きっとこのイラストを通じて昔の遊びに思いを馳せ、同時に自身の幼い頃を思い出したことであろう。この見開き1ページ、何てことないと見逃しがちではあると思うが、よく見るとこれまた奥が深いのではなかろうか……

こちらのスケッチブック、2階「こどもはくぶつかん」の入り口すぐ、フィギュアや双六などに目が行きがちな部屋の端にて、語り部が如く展示されている。貴方も作者の思い出に触れ、「さて自分はどうであったか」と記憶の紐をたぐり寄せざるをえなくなるであろう。

ぜひ貴方も、歴博で自分の歴史を振り返る、という不思議体験をしてみてはいかがであろうか。

P.S. 兵庫県南部民として一言だけ言わせて頂きたい。

「カイテンヤキ?……あっ、御座候のことね」

▷ 日本の城、let’s見比べ!
ここからは、「日本の城大百科」の紹介をしよう。
「こどもはくぶつかん」と「ひょうごの祭り」の展示を通り過ぎると開けたところに出る。
そこが、「日本の城大百科」のコーナーだ。
江戸時代以前に建てられ、現存している日本の全国にある天守閣と江戸城を全て1/50スケールで再現している。
ここで一つ一つの城の大きさが分かるとともに、どのお城がどんな特徴なのか、どのお城が一番大きいか、などが一目瞭然となる。


お城を訪れるだけでも、「あ!あそこにこんなのがある!」、「このお城はこうなってるんや!!」という発見があるが、スケールを小さくすると確認しながら違いを比べることができることに気づいた。
また、城下町のミニチュアもあり、当時の姿をより想像しやすくなる。


ミニチュアにはクイズが用意されており、そこで何をしていたのか、どんな役割を果たしていたのか、などを学ぶことができる。
見た目だけでもかわいらしく、一人一人の表情もしっかり区別していて面白い。
また、視点を変えて見ることができるので、人々と同じ視点に合わせれば、自分も同じ時間を過ごしているように思えるし、いつもの視線で見れば、山などの高いところから町の風景を眺めているようにも見れる。
ミニチュアが動き出してアニメでも見そうな雰囲気で見ていてとても癒された。


この博物館は、姫路城を意識して設計をしており、「日本の城大百科」の紹介で出した写真にも出てきていたと思うが、姫路城の中をイメージした壁や、狭間をイメージした換気口など、至る所にちりばめられている。


姫路城を望むことができるガラス張りの休憩スペースやカフェは、入り口入って左斜め前に見えるエスカレーターで上がるとすぐに目の前に広がり、こちらは二階だが、無料ゾーンとなっているため、チケットを買わなくても利用できる。


♦    最後に情報提供。
最後に、兵庫県立歴史博物館の情報を。

兵庫県立歴史博物館
〒670-0012 兵庫県姫路市本町68番地
TEL 079-288-9011
FAX 079-288-9013

開館時間 午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)

休館日 毎週月曜日(月曜日が祝日・休日の場合は開館。翌平日が休館)

行き方
・JR姫路駅北口、神姫バスターミナル7番8番のりばから約8分「姫山公園北・博物館前」下車すぐ
・同6番のりばから、城周辺観光ループバスで約8分「博物館前」下車すぐ

観覧料金

1階は無料ゾーン。
2階のカフェのみをご利用される場合、観覧料金を払う必要なし。

講堂・多目的ルームでの催しのみに参加される場合、観覧料は不要。
(参加費を別途頂戴する場合があり)
2階常設有料ゾーンの観覧料金は次のとおり。

・高校生以下は無料。
・障がい者1人につき介護者1人は無料。
・一般団体料金は、20名以上の団体で適用。
・障がい者団体料金は、20名以上の団体で、かつ総利用者数に占める障がい者の割合が半数以上の場合に適用。

※障がい者料金をご利用の方は、インフォメーションで障がい者手帳を提示。
 障がい者手帳アプリ「ミライロID」も利用可能。

※特別展・企画展の際は、観覧料金が変更になる。
 詳しくは展示・展覧会を参照。

直近の情報はこちらから。↓↓
兵庫県立歴史博物館 | 姫路城跡内にある博物館、姫路城や五国ひょうごの歴史を学べる (hyogo.lg.jp)


【公式】兵庫県立歴史博物館(@hyogo_pref_museum_of_history) • Instagram写真と動画


兵庫県立歴史博物館 | Himeji-shi Hyogo | Facebook