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大事なことは質問する

楽器を買うのを渋る。そんな保護者が続いて「どうしよう!」から始まった模索と挑戦。

「楽器買ってください!」と言わなくても、ラポール✕価値観の質問のアプローチで解決できます!

ピアノ教室の「ちょうどいい」を考える、ラポールで人間関係をマネージメント!のはるよ★学びです。

私はピアノ教室の体験レッスンで、NLPのコーチングを取り入れています。
NLPというのは、ニューロ・リングイスティック・プログラミングの略で、日本語では、神経言語プログラミングと略されます。

自分の思考のもつプログラムを書き換える。具体的には、あるものごとを違う角度から見たり、自分が積極的になる意味づけをしたりして、望む結果を手に入れる、学びと気づきの心理学です。

コーチングは、観察と質問を通して、相手の内側にある答えや能力を引き出す技術のことです。これをし始めたのは理由があります。
従来の説明をしただけではうまくいかなくなってきたからです。

うまくいかないというのを具体的に言うと、「私が話してばかり」という状況が生まれやすいということでした。特に楽器のことをお伝えすると、保護者が口ごもったり、無口になる方が続出し、私はどうしていいかわからなくなってしまったのでした。

保護者と私の心は離れている。
そう感じました。

自分がどんなに説明しても、保護者の心は動かない

10年前、私のピアノ教室では、中古ピアノを扱っている業者さんがいたため、ほとんどの保護者さんにそこを紹介していました。その当時、生徒の9割がアップライトピアノを持っていました。しかししばらくすると、その業者さんがお店を閉めてしまい、紹介先がなくなってしまったのです。

その後、私はなすすべもなく、紹介先をあきらめてしまっていたら、電子ピアノの購入が増え、その率は逆転しました。そして、ここ数年は電子ピアノすら買うつもりもない方の体験レッスンが増えていったのです。

過去には電子ピアノではなく、キーボードを買ってしまった保護者もいました。その時に責任を感じてしまいました。
それで、このような説明型の面談をしていても、保護者には伝わらないのでなんとかしなければ。と模索し始めたのです。

保護者はピアノを買わない背景にいろんな理由を言われます。

私がたとえ説得したとしても、相手の心に響かなければ入会しません。
そういうことがいくつも続いてしまうと、私の気持ちは折れそうになってしまいました。
保護者に納得できる提案をできなかった自分に無力感を感じていたのです。

ラポールを使って、価値基準の質問をする

そのうち私は、子どもにピアノを習わせたいのになぜ楽器を買わないのだろう?と思うようになりました。
もっと突っ込んで聞いてみてもいいんじゃないだろうか?と思ったり
家庭の事情を聞くのはやりすぎかなとあれこれ考えました。
そのうちに、私の気持ちに変化があって、

それを聞くにはどうしたらいいのかな?

にたどり着きました。
私はその頃、ラポールスキルを使っていました。
日々のレッスンでラポールを使って、生徒さんや保護者さんの気持ちを聴き出しているのに、体験レッスンで聴き出せないわけがない!

ラポールは相手の心をオープンにする聴き方。
ラポールを使ってなら、聴きにくいことも聴けるようになるんじゃないか?とひらめいたのです。

ピアノを習いたいのであれば、ピアノを買って用意するのが当たり前。
と私は思ってきたのですが、保護者に、ピアノを提案して顔が曇る、ということは、ピアノを買うことに一定の心のストレスがある、と私は考えたのです。

保護者の思いを語らせる!

私でも、大きな買い物をする時はよく考えます。
ほかのもので代用できないか等。
人は変化を嫌う生き物で、何かを大きく変えることにストレスを感じやすいと聞いたこともあります。

ピアノを買うことで、誰かを説得しなければならないとすると、
そこにストレスが生じ、それを押してまで習う理由はないと考えてもおかしくありません。

それを指導者は、つい、「覚悟がない」と言いがちです。
覚悟というのは、指導者が知らず知らず身に着けてきたからだと思うんです。

例えばグランドピアノを持つことに価値を感じている。音楽をやることにやりがいを感じて人生を賭けてきた。
だから言えるんです。
ピアノ教室を開くのも、そうした気持ちのあらわれです。

楽器は大事。
でも、これからピアノをお子さんに習わせる保護者はそこまで感じていません。その保護者が、誰かを説得してまで、ピアノを買おうとするミッションがないのに、買わせることは難しいと思っています。

そこで私は、体験レッスンの中で保護者にコーチングをして、保護者の思いを語らせることにしたんです。
保護者の価値観を聴いていきます。
保護者の価値観に切り込むと本音を語ってくれます。
ただし、それは、ラポールを使って聴いていくのです。

ピアノ習得について大切にしたいことはなんですか。
どういう学びを得られたらいいと思いますか。
子育てで何を大切にしていますか。
ピアノを習うことでお子さんとどのような関わりをしたいですか。
お子さんにとって親はどんな存在でありたいですか。

すると、説明型の面談では聴き取れないことが聴けるようになりました。
保護者の価値観を聴くことによって、保護者が大切にしているものがよくわかるのです。

相手に質問するというのは、相手を理解するのにとても良い方法だと思っています。
ラポールがなくてもできるとは思いますが、ラポールを使うことによって聴く姿勢にジャッジ(判断)を下しません。ジャッジする非言語を生ませないスキルなので、ラポールがあるからこそ聴きとれることがあると思っています。

指導者は、事実だけを話す

そして楽器のことは、事実だけを話します。
アップライトピアノはこうです。メリット、デメリットを話す。
電子ピアノはこうです。メリット、デメリットを話す。

そしてお子さんの様子、ピアノをさわってもらってどうだったか。
このへんは、ずっと教えている指導者ならわかりますよね。
お子さんはこのような状態です、と事実をお伝えします。

事実だけ話すのは、その後の質問に気持ちを向けやすくするためです。

親の子どもを思う気持ちにフォーカスする

そして、親御さんに

「お母様(お父様)は、お子さんに楽器をどうしてあげたいですか?」

と聞きます。

これは、

  • 親として、どうしてあげたいですか?

  • 何がベストですか

を聴いて、今のベストを考えるためです。

親として「子どもにしてあげたい気持ち」にフォーカスします。
そしてそれを前提にお話しするのです。

親として、自分が子どもにしてあげられるのは何なのか?を考えるきっかけになる質問なんです。
そしてそれに答えることは、具体的な行動を伴います。

具体的な行動をイメージすることで、人は行動ができるんです。

覚悟には、迷うプロセスがセット

楽器を買うというのは、指導者が言うように「覚悟がいる」ということです。
でもこの「覚悟」は、必ず「迷うプロセス」がセットなんです。
迷うプロセスがないと決められないんです。
覚悟というのは、迷うプロセスがあってはじめてできることです。

迷うプロセスを通らず「先生がこれがいいと言ったから」で、買ってしまうと、後で後悔します。思考停止状態になり、人のせいにもできます。

だから「この子のためにどうしたらいいのかな」「何をしてあげられるのだろうか。」「今できることはなんだろう?」「お金はどうしよう」「場所はどこにしよう?」などいろいろなこと具体的なことを考えて、初めて行動ができるんです。

楽器店に行って実際に見たり、楽器店のスタッフの話しを直に聞いて、そこで考え、迷う。それがあったからこそ、指導者にも質問できるようになりますし、保護者自らが指導者に自己開示できるようにもなるんです。

それをしないで、指導者が「買って下さい」と言っても、保護者は行動なしで覚悟は決められないのです。怖いという気持ちの方が先に立ってしまうんです。

これが「続かなかったらどうしよう」という保護者の気持ちにつながっていきます。

ラポールでお話しを聴いていきましょう。

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