見出し画像

オペラ歌手を目指す長女のこと 3

病魔に襲われて突如訪れた試練 VOL.3

帰宅後、ビデオ通話のなかのなごみさんは、もってきてほしいものをあれやこれやリクエスト。
散らかった机の上をカメラでうつして、
・イタリア語の教科書2冊と辞書
・ノート類とふでばこ
・スマホの充電コード
・サメとクラゲ⇒ぬいぐるみですっ 彼氏からのプレゼント♪
・MAC
・大学の図書館で借りた本 など

「ママが買ってきてくれたおにぎりさ~、3つとも食べた!」
賞味期限みて、翌日でも食べれるなぁ~と思って、3つ買ったの全部たいらげ、からあげくんまで食べて、デザートにプリン食べた、とか。

翌朝は、「爆睡した!」とLINEがきて、
朝食を食べてたあと、
「ここの病院のごはん、めっちゃ美味しい~よぉ。だから、水分とおやつだけでいいわ。」

いつもと変わらない笑顔のなごみさんがいました。
いつまでもどこか、身体のどっかが泣いている感じの母とは違って、いつものなごみさん。
小さい画面じゃなくて、会いたいよぉ~。

そして、夕方、約束の時間に主人と一緒に病院へ。

良いことと悪いことがふたつ同時にやってきました。
◆まずは、白血病ではないだろうという見解となりました。
 骨髄の検査で、白血病を示すものは出なかった。
 100%とはまだ言い切れないけれど、ほぼ間違いないだろうとのこと。

だから、先生曰く、
「今日、明日、命が危ない、などの危機はまず免れましたよ。 輸血をして、血小板とヘモグロビンの数値も少し改善しつつあります。これは輸血してるからであって、このままよくなる、というわけではないですが、白血病でない、というのはまず良かったと思ってください。」

◆なごみさんの病名の診断としては『再生不良性貧血』となりました。
難病指定されている病気です。
ある意味、これからなごみさんの一生関わるかもしれない厄介な病気です。

まだいくつかの検査を週末から月曜日に行い、火曜日に今後の治療方針を決めていきます。
なごみさんには兄弟姉妹がいないので、移植のドナーがいない、ということで、すぐにはいない(両親は半分だけしか適合しないので、リスクがある程度あるらしく)ので、まずは免疫抑制治療というのを行って効果があるかどうかをみるのが良いかなぁという先生の見解でした。
なければ骨髄バンクや臍帯血バンクでドナーを探すことになるようです。
又は、危機的な状況になれば、リスクを考慮してでも父か母から移植を考えるか・・・など。

主人は、免疫抑制治療のさまざまな薬のなかで、声に影響するものがあるのかどうかも確認していましたし、出産についても確認していました。
先生は、男性ホルモンの入っている薬などはできるだけ除外するよう配慮もしていきます、とおっしゃってくださいました。


帰路につく車内で・・・
自分たちに、また、ショックを受けている私に言い聞かせるように何度も主人が言っていました。
「今日、明日、ドナーを探し回って、生きるか死ぬかを心配する状況ではないってことは良かった。命か、長い治療か、では、命があるだけで良かった。」と。

そして、突如入院して動けなくなったなごみさんのことで、
バイト、大学のこと、入院費のこと、そしてタクシー会社の初出勤日のこと、などめまぐるしく押し寄せる雑務をこなしています。

ビデオ通話をするたびに、杏ちゃんがお姉ちゃんを探し回る姿に泣けて、
昨夜はティンクさんを強制的に階下におろし、
杏ちゃんのそばにふたりで一緒に夜を過ごしました。
主人は夜中にバイクで出かけたから、おそらく気持ちの整理をつけにいったのでしょうね。

今日はまた病院へ・・・
『イタリア歌曲集』を2冊もってきて~、とのこと。
看護師さんのおひとりと1時間くらい話して、動画も聞かせてあげた、とのこと。
「可愛いパジャマのほうがテンションあがるんちゃう??」という親友の言葉に、パジャマレンタルしてるんだけど、長くかかるなら買ったほうがいいかな~とか、可愛いのあるかなぁ~とか、
そんなしょうもないことで気持ちを紛らわしています。










この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?