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お勤め後のお味噌汁

初めて比叡山延暦寺にお参りに行った時のお話です。

かれこれ十数年前になります。

紅葉も終わりかけの初冬でした。

宿である延暦寺会館に泊まり、翌朝のお勤めに参加するためにその日は、早く休みました。

夜が明ける前のまだ薄暗い時間に根本中堂に向かいます。

ひんやりとした空気に身が引き締まります。

根本中堂の中に入らせていただくと『不滅の法灯』の灯りが目に入ります。

辺りに眼が慣れてくる頃、読経が始まりました。

その頃、病気にかかっていたので、一心不乱にご本尊の薬師如来様に祈りを捧げました。

読経の後、法話があり、天台宗の教えを拝聴しました。

宿に帰ると、朝食の時間でした。

とても神聖な気持ちだったので、空腹感はなかったのですが、身体が冷え切っていました。

そんな時、湯気が立つあつあつのご飯とお味噌汁が供されました。

副菜もありましたが、とてもシンプルでした。

でも、滋味があり、五臓六腑に染み渡る美味しさでした。

仏教では、食事も修行の一環だと伺いますが、

生かされている

ということを食事でこんなに実感したことはありませんでした。

ここまで生かして頂いて、
ありがとうございます

と仏様や全ての存在に感謝するようになりました。

私に生きる活力を与えてくれた一杯のお味噌汁。

あれから時間が経っても、忘れられない味です。

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