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2020年9月20日 ギンズバーグ氏の死と大統領選へのプレリュード

この月は、旅立つひとが多いと書きました。そして、おとめ座は審判、法律などもあわらします。(おとめ座の新月)二人の判事たちが、職場とこの世をさりました。ちょうど、星の動きに重なっています。

一人は、香港の判事。三権分立を守らない中国政府の姿勢に反対を表明したしたのだろう、と言われています。そして、もう一人は、アメリカ最高裁判事だった、ギンズバーグ氏がおとめ座の新月の翌日に亡くなりました。ギンズバーグ氏は、ユダヤ系アメリカ人として初めて、そして最高裁判所判事としては2番目の女性判事であり、クリントン大統領によって任命されました。

アメリカの場合、最高裁判事には任期がなく、4年任期の大統領よりもずっと長く在任すること、また、憲法や法律作成および変更権限を持っているため、非常に重要なポスト(役職)であり、影響力および政治的パワーのあるポストです。

彼女は、NY市ブルックリン区の住宅地で下層中流階級に生まれた、いわゆる一般庶民であり、アメリカでは(世界的にですが)差別されているユダヤ人の家系で、その上、女性でした。多くのハードルをくぐった、というより、乗り越え、アメリカの民主化に貢献した人でした。

学業が優秀だった彼女は、奨学金で学校に行っています。NYのコロンビア大学のロースクールを出た後は、ハーバード大学でも法律を学び、そこで生涯の伴侶であり、愛する人とも出会っています。

彼女は、特に、女性の権利、男女平等、に力を入れてきた人です。ハーバードで出会った伴侶は、お料理をしてくれ、彼女は料理が苦手でやらなかっただけでなく、平等なパートナーシップを通した、先進的女性としても有名です。

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互いに尊重しあう、愛し合う、そして公平なパートナーシップを築いたカップルとして有名 写真:Ed Bailey / AP通信

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 若かりし頃のギンズバーグ氏と家族。子供(息子)が小学生のころ、学校でいたずらをして、教師から呼び出しの電話があったとき『息子には二人親がいます。これからはわたしだけでなく、この件をスタートに、次からは両親に順番に電話をかけてください。』と、学校に、育児の責任は両方の親にあることを伝えたという逸話もある。 写真出典元:アメリカ合衆国最高裁判所

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おしどり夫婦としても有名だったけれど、伴侶が若くしてガンを患い、看病をしながら子供を育て、仕事もしてきたギンズバーグでもあった。(このとき彼のガンは回復した) 写真出典元:アメリカ合衆国最高裁判所

アメリカでは大人気の判事で、ラッパーたちが彼女を讃える歌を作ったり、彼女の人生を物語るオペラ劇がオペラ劇場で上演されたり、Tシャツができたり・・そんな人でした。女性の中絶権利にたいして、前向きで尽力を尽くしたのも彼女でした。また、女性だけを守ろうとしたのではなく、アメリカでは、シングルペアレント(一人親)の場合、シングルマザーには国からの援助があっても、パートナーを亡くしたシングルファーザーには援助がなかったため、単身で子供を育てるお父さんたちへの援助制度を敷くために尽力を尽くしたのも彼女です。

それでいて、相手が保守派であろうと、本人が正しいと判断した相手や案件に対しては、公平に判断を下したと言われています。

そんな彼女が、これまで何度も乗り越えてきたガン治療でしたが、すい臓がんで87歳で亡くなりました。

ちょうど、判事であった彼女が、裁判や判事を表すこのおとめ座の月に旅だったのは非常に象徴的だと思いました。そして、もっと象徴的なのは、彼女の後任を誰にするか、で、トランプ大統領が相変わらず、ちんぴら的行動をとっていることです。

ちょうど4年前のトランプ大統領が選出される前、まだ、オバマ大統領在任中でありながら、任期が切れる少し前に、ある最高裁判事を任命したのですが(アメリカでは大統領に任命権がある。日本の場合は内閣に任命権がある)もう、任期が切れるときであり、選挙戦が始まっていたので、ということで、その判事の任命は取り消され、トランプ大統領が新たに別の人を任命したのでした。

そのため、今回も同じような状況なので、大統領選が終わってから新しい後任を決めよう、と、民主党とバイデン大統領候補は言っていますが、ゴリ押しで次の候補を、トランプ大統領は決めようとしています。自分は、オバマ大統領の任命した人を取り下げておいて、自分の場合は、任期終了前でも決めようとしている・・紳士的な知識階層には理解のできない、太刀打ちが難しい態度に、アメリカの政界と市民は揺れています。

亡くなったギンズバーグ氏は、こうなることを予測し、すでに遺言に、「わたしの後任は、大統領選が終わった後に選出するように」と、遺しているのですが、それも無視され、多くのアメリカ人が恐怖の底に落ちています。

女性の権利が剥奪され、暴力的な政治が始まり、報道が規制され、金持ちだけが優遇されるひどい時代がくるのではないか・・特に、知識階層の女性たちが恐怖を感じています。(残念ながら、知識のない女性たちは、あまり意味を理解しない)また、移民や有色人種(ユダヤ人や日本人も有色人種)なども恐怖を感じています。

アメリカの女性の地位の向上は長い時間をかけて勝ち得たものです。ギンズバーグ氏が子供だった頃は、まだアメリカも、今の日本の状態と同じで、女性がキッチンに立って、共働きであろうとなんであろうと、女性がお料理をはじめとした、家事をするものだという風潮でした。ヨーロッパ、特に北欧ではすでに女性の解放が始まっていて、家事の分担や、共同の子育てなどはかなり一般化していたのですが、それを推進した一人がギンズバーグ氏だったのです。

彼女のお母さんは、非常に優秀な人だったのですが、男兄弟に進学を譲り、本人は高卒で諦めざるを得ず、思うような就職もできず、苦労した上、伴侶を早くに亡くし、女一人で子供たちを育てた母親を見てきたからだそうです。

要するに、彼女が育った状況は、これまでとそして今の、日本の状況です。彼女は、それを70年以上前に経験して他の女性たちとともに行動を起こし、今のアメリカ女性地位があるわけですが、日本はいまだに70年前のアメリカの状態です。残念ながら、世界でも女性の地位が下から数えたほうが早いほど低い国。

保育園に子供を入れられない母親がツイッターで政府を批判する言葉を呟いてセンセーションを起こしたこともありましたが、日本の子育ては、非常に厳しい状況下にあり、いまだに、子供になにか問題が生じると、『お前の教育が悪いんだ』と、すべて母親のせいにするという、封建的鎖国時代のような国です。

ところが、戦後から女性の立場がすいぶん改善されてきたアメリカですが、トランプ氏が大統領になってから、男性の女性に対する態度が目に見えて悪くなり、暴力的で無作法になった、と、アメリカの女性たちはこの4年間嘆いていて、政権が変わることを心待ちにしていたのですが・・不安と怒りでいっぱいのアメリカ女性市民たちです。

政治は、日常と密着しています。法律や憲法をはじめとした、「きまり」(これもおとめ座)を作る力を持っているからです。政府が「働き方改革」という案の司令を出したら、結局のところ、どんどん大変になって貧しくなったのは社員や一般市民で、一部の企業のトップだけが豊かになっていった、というのと同じことです。

それに「お上」がやっていることは、下々もやっていい、と思うのが人間。女性を尊重しない態度の政治家が溢れていれば、どうしても、その影響が社会に広がります。日本の政治家で、英語も話せ、世界情勢がわかり、交渉能力があり、真の政治力があるのは、田中真紀子元外務大臣だと言われながら、彼女が、本当の日の目を見ることはありませんでした。

また、少子化対策を叫びながら保育所制度や保育所で働く人への改善策もなく、女性に育児と家事をすべておしつけているまま、男性も多くの政策で追い詰められており、ますますそれで女性が追い詰められていること、市民が安心して子供を産み、育てられるような環境作りへの配慮のないことを見ても、政治がいかに市民生活に影響を及ぼすかもわかります。

世界的に日本の女性の地位が低いという、そのこと自体を多くの日本女性が知らないのも、政治と直接的、そして間接的に関係があることでしょう。

日本では新しい首相が決まり、これから内閣が成立しますが、この政権が、どれだけ女性の立場に寄り添う政権なのか・・あなたの日々の生活の中から望む政治はなんなのか、どんなものなのか、海の向こうの大統領選を見据え、考える材料にもなることでしょう。星の位置が、女性の権利、女性の立場、女性の憤り、女性の生活改善を求めています。

素敵な家族を持ち、音楽を愛しながらも、ずっと世の中のため、女性のため、闘い続けてきたギンズバーグ氏への敬意と哀悼の意を込めて・・そして、今の星の位置と動きが、少しでも日本の女性の地位向上につながれば、と願い、これを最初の時事ニュースとしました。

写真トップ:Todd Heisler / The New York Times 

文 by さっか

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