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#39 自宅療養の徒然草2 免疫療法、確かなココロの支えについて

一般的な学説によれば、健康な人の身体の中でも、1日あたり、5,000個のがん細胞が生まれているという。それでも癌にならないのは、免疫が、カラダの中に生まれたがん細胞を、昼夜休みなく、キレイにやっつけてくれてるからだ。

人類と癌の100年にわたる戦いは、苦難の歴史だった。手術、化学治療(毛も抜けるケモです)、放射線治療の三つが、標準治療とされてきたが、この標準治療だけで完治を目指すのは困難を極める。ある癌を叩いても、再発、転移と、癌細胞は自由自在に生き延びる。化学治療も、放射線治療も、がん細胞と健康な細胞、いずれにも等しく影響してしまう。
がんを追いかけて叩き潰そうにも、今度は、当の本体、自分の身体のほうが参ってしまう。

細胞レベルで狡猾に生き延びる癌細胞を、完全に身体から排除するのは、とてもとても難しかったのだ。
そう、免疫療法が登場するまでは。

ワタシは特別な期待を持って、この免疫治療を受けている。
以前、貴重なご縁を頂いて、お世話になった会社の社長が、癌治療の新時代を拓いた免疫チェックポイント阻害薬開発の源流となった2018年のノーベル医学生理学賞受賞論文の共著者のお一人だったのだ。

本賞の受賞理由として、選考にあたったスウェーデンのカロリンスカ研究所は「新しいがん治療の方法を発見したこと」を挙げている。
これは、がんそのものを対象とするのではなく、ワタシたちの体に備わった免疫細胞を利用して、特定の腫瘍だけでなくあらゆるタイプの腫瘍の治療に応用できる、新しい治療法なのだ。
そう、1日に5,000個のがん細胞を綺麗にお掃除できる、素晴らしき免疫を利用する治療。
これは、がんとの戦いに新しい道を切り開く、まさに、画期的な発見だった。

かつて本庶佑研究室におられ、受賞論文の共著にあたられたワタシの恩人は、柴原慶一社長とおっしゃるお方。先日、その方から、こんな言葉をかけて頂いた。

免疫反応の統合的な制御機構は分かっていません。PD1反応、腫瘍免疫,腸管免疫など高次元では分からないことばかりです。

つまり,病は気で治るんのです。そんな人をいっぱい見ています、

頑張れ‼️

柴原慶一博士、アンビスホールディングス社長

世界の最先端の研究をなさっておられた方が、まだわからないことが多いのです、病は気で治るのです、と言ってくださった。このことに、ワタシは強い衝撃を受けた。なんとか前向きに保っているココロに、力強く、明るい光線が差しこんできたように感じた。戦えるぞ、戦って、勝つんだ、と、素直に信じられた。

色んな人が応援してくれている…。
そのことが、いつもココロを強くする。
会社のみんなは、美しい寄せ書きアルバムを作ってくれた。開くたびに、涙腺が崩壊してしまう。母に見せると、毎度、毎度、母も涙ぐんで、アナタは幸せねえ、、、と言ってくださる。

母の生まれ故郷である佐世保には、伯父がいて、この縁に連なる従兄弟たちも、寄せ書きをくれた。いつも温かい言葉をかけてくれ、励ましてくれている。遠方からも見舞いに来てくれた。
この温かく善良で優しい人たちは、ワタシのみならず、母のことを気にかけて、世話をしてくれている。

伯父は、私たち皆んなの精神的な支柱だ。
コルリオーネ•ファミリーにおけるゴッドファーザーだ。
従兄弟のなかで、末っ子かつ唯一の女子だったワタシは、実の娘のように可愛がって貰った。
ワタシの二つ年上の兄は、ナカナカに大変だったようだ。
四人の従兄弟たちから、一番下の弟として可愛がられ…、、、、プロレス技をかけられる。
兄たちがいなくなると、こんどは、兄がワタシに技をかける。ワタシはビービー泣く、、、その繰り返し。因果なものだ笑。

佐世保の実家は常にオープンで、どんな時でも受け入れてくれた。大学院生の頃、ちょうど、リーマンショック後の就職氷河期のころだったが、進学か就職かと将来に思い悩んだ時にもお邪魔した。その時も、伯父はいつも通り、豪快に励ましてくれ、謎の?ポエムをくれた。心から憧れる天使のような伯母の優しさに癒され、ワタシは勇気凛々にして貰って帰ったものだ。

就職してからは、
「仕事で腹一杯にしろ!」、手を抜くな、一生懸命にやれと教えてくれた。この言葉が、その後の人生を開いたのは言うまでもない。


母と伯父の会話はいつも異次元の面白さだ。大阪人顔負けの、高度なトークだ。母は話題を変える天才で、(と、申しますか、ココロに思ったことを、その場、その瞬間に言ってしまう。しかし、大抵、内容がポジティブなものなので、イヤな感じはしない)自由に質問するのだけど、返事を聞かない。
世界は自分を中心に回っていると純粋に信じているその無垢な?姿に、お腹が捩れたものだ。
母は、八つ歳上の兄(伯父)のことが大好きで、強い信頼関係で結ばれているのがわかる。
とても羨ましい関係だが、ワタシたち従兄弟仲間のあいだにも、そんな深い絆があるのを感じる。
病気になって、その絆の強さを実感した。

この世に仏様は何人おわすのだろう、みな仏様だ。
やはり、法華経を学ばないといけないかしら。

ヨガ哲学では、学ぶことは、無知の闇を照らすこと、と教えていただいた。学ぶごとに、真実を覆い尽くす闇が、一枚、一枚、剥がれて行くのだという。学ぶ目的は、知識を背負いこむことではなく、この世の中の、摂理とか、真実へと近づいて、ココロが自由になることなのだ。

志を同じくするソウルメイトのSAORIさんからは、忘れかけていた次の言葉を送って貰った。

Live as if you were to die tomorrow; learn as if you were to live forever.

永遠に生きるかのように学べ。
明日死ぬかのように生きろ。

諸説あるがマハトマ•ガンジーも語ったと言われる言葉


ところで、先日、前述の、柴原社長のお姿をNHKのニュースで拝見した。事業も大成功されているのはお聞きしていたけれど、報道は、柴原社長が母校の名古屋大学医学部に5億円のご寄付をされたとことを報じるものだった。
これからも、世界に羽ばたく人材が育って欲しいとの思いからとのこと。深い、深い思いやり、厚い篤志に、ひたすら胸を熱くした。

来週月曜日は、2回目のケモだ。三週間ぶりの、タキソール、カルボプラチン、キイトルーダ。ちょうど毛も抜けてきた(われながら、しつこい、、、笑)。

次はもっと効果があるはずだ、
ワタシは、また、ココロを強くした。


写真は年末の諏訪旅シリーズ第二弾。
諏訪大社上社の、大欅。樹齢、千年。御頭祭という祭事には、生贄の鹿、75頭の頭が捧げられたという。。。
ガイドさんは、確かに75頭とご解説くださったのだが、スケールの大きな母は、
『可哀想にね、750頭もの鹿さんがねぇ、、、」と目を潤ませていた。いやいや、一桁違います、母上。

輸血を受けながらの、仰臥の5時間に書かせていただいた。今日もお読みくださり、ありがとうございました。


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