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パタゴニアはティール組織なのか?

ティール組織についての盛り上がりを、これまで興味深く見てきました。

世界中に新たに生まれてきている新しい組織形態であるティール組織。組織のカタチとして、衝動型(レッド)から始まり、順応型(アンバー)-達成型(オレンジ)-多元型(グリーン)-進化型(ティール)と体系されています。

進化型の組織とされている1社としてパタゴニアが紹介されていますが、実際に約20年働いてきた身からすると、「ん?ティールだったか???」と疑問に思ったのを覚えています。

ティール組織やホラクラシーが「組織構造の変革」に着目しているのに対して、パタゴニア時代にずっとやってきたのは、Mission statementやその企業のpurposeなどの企業理念を中心とした取り組みであり、「意識変革」を中心として考え実行してきましたので、そのような組織構造を採用すれば、ティール組織になれる!というような文脈には食わず嫌いのような反応であったとおもいます。

しかし、色々とパートナー企業への導入支援などの観点から真剣に勉強をし始めました。その中で出会ったのはこの本。

そこから振り返ってみると、まさにパタゴニアはティールの要素をふんだんに持っているということがわかりました。日本支社よりも米国本社はまさに!

ティール組織には以下の3つの共通点があると紹介されています。
(1)自主経営(セルフ・マネジメント)が可能となる仕組みや工夫を有していること。階層やコンセンサスに頼ることなく、同僚との関係性のなかで働くシステムがある
(2)個人としての全体性(ホールネス)が発揮しやすい。誰もが本来の自分で職場に来ることができ、同僚・組織・社会との一体感をもてるような風土や慣行がある
(3)進化する目的(エボリューショナリー・パーパス)を有する。組織全体が何のために存在し、将来どの方向に向かうのかを常に追求しつづける姿勢を持つ 

そういわれたらそれだ!と思う制度や文化があるのですが、重要だと思う点をいくつか。

Mission statementが中心にある企業経営がされている
以前にnoteでも書きましたが、これまでパタゴニアでは企業理念が3回更新されております。その時代に合わせて企業理念を体現するために事業戦略や製品戦略がつくられ、そしてそれに従うように組織が作られてきました。いまの理念は「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」であり、その理念を体現するように、アパレルのみならず、食品ビジネスの展開や投資会社など現在では多岐に渡る進化を遂げています。

Core Valuesに沿った組織運営がされている
Mission statementが策定されたときに同時に作られたのはCore valuesであり、こちらは策定されたタイミングから更新はなく現在に至ります。Core valuesはその組織に属する人々が大事にする価値観であり、すべての判断は役職に関係なく、そのCore valuesに沿っているかどうかが重要になります。Core valuesは短い文章なので、解釈がぶれないように社内では多くのCore value sessionが行われ、常に対話する文化が醸成されています。

それぞれのポジションの役割と責任範囲が明確に定められている
私がいた当時の日本支社ではうまく機能出来ていなかったですが、米国本社ではとても機能していると感じています。それぞれの役割が明文化されオープンになり、業務に変化があると役割がかわるので明文化される文章も更新され、誰に聞けばいいのか明確になります。これは運用次第では窮屈に思うかもしれませんが、役割を決めるのと権力は一緒ではない運用になっているので、働く側の創造性が萎縮されてしまうようなイメージではありません。

圧倒的な透明性が担保され、評価軸が明確になっている
open book policyが徹底されておりますし、私自身もダイレクトマーケティングの統括であったこともあり、色々な指標を活用してチーム構築をすることができました。それらの数字は米国のものも見ることができましたし、誰もが経営者のようにモノゴトを考えることができるベースは常にありました。

まだまだありますが、ひとまず。今後も考察していきます。

これは同様にティール組織だと紹介されている企業の方とお話して感じたことですが、ティールになろう!と働いているわけでもなく、どうやって企業理念を実現していこうか??と模索してきた結果、そうであっただけで、いわれてみるとたしかにティールの要素はあるよねえ、とのこと。まさに同じ印象でした。

一番のポイントは、ティール組織というカタチから導入するのではなく、自然とティール組織のようになることになった、企業理念をベースとした企業経営なのではないか?と思っています。

まさにここは研究課題でもあり、今後とも発信していきたい内容です。

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