Surround me Music, Feel Good#10 -from The Spirit Room in the Moment House-

ミッシェル・ブランチが配信ライヴをやるということで視聴。

本人のSNSアカウントから、2001年に発売したデビューアルバム「The Spirit Room」の20周年記念ということで、アルバム曲を主にやるらしいことは推測できたけど、まさかアルバム全曲、作品の曲順で弾き語りとは(かつ、聴いた印象としてはすべてオリジナルキーだったと思う)。

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(ライヴ配信中のスクリーンショット)

途中、『Something To Sleep To』においては、ピアノ弾き語りでの演奏という、ハイライトと見なせるシーンもあった。

個人的には『Here With Me』、『I'd Rather Be In Love』が聴けたのも嬉しい。当時から好きで、アルバム全体をローテーションで聴いてもいたけど、その2曲は特に好んでた。

今回、弾き語りという方法で全曲演奏されたことで、改めてミッシェル本人が書いた曲であり、完全にミッシェルのメロディやハーモニーであるということで再現されたと思う。

2001年に音源としてリリースされたアルバム作品としての成功は、プロデューサーにジョン・シャンクスを起用して、アレンジ(オケ、コーラスなど)を作り込み、ミックスやプロモーション等も含めて力を入れたことなど、関係者の力もおおいにあったと思われる。(また、当時、音楽の拡散力にネットの力はそこまで大きくなかったが、一度テレビでチャート上位に入り続ければ、1日に何度もMVが放送され続けるような、そんな世界観のはじまりでもあったように思う。MV隆盛のはじまりの頃というか。)

けれど、現在のミッシェルが、バンドを付けずに全曲一人きりで演奏したとしても、本質的な魅力は衰えず、普遍的だなと。ミシェルの血肉であり精神的なものとして、本人の中から湧き出ているような印象さえあった。

『Something To Sleep To』あたりは全体的にやたらキーが高いという意味で難曲であるように思うし、『Drop In The Ocean』は、持続的にはライヴセット入りするのが難しそうな展開やアレンジがなされたアルバム曲でもあるはずだが、それらがリリース当時から20年後でも、レパートリーとして演奏された。

往年のファンにとって、なかなか聞けない曲が聞けたということだけでなく、20年経ってもミッシェルが当時のレパートリーをミュージシャンとして新しく表現してくれる。その動機があること。そして、それがまた、次に繋がることが「The Spirit Room 20th ANNIVERSARY」の告知とその中から既に解禁されている『You Get Me』『Sweet Misery』の2曲からも伝わってくる。

「The Spirit Room」はセールスも大成功したし、日本では(?)同時期にデビューしたアヴリル・ラヴィーンとの比較や「どっち派?」かといった話題性も含めて、洋楽ミュージシャンにしてはかなり知られている存在だったと思う。

けれど、この頃の印象を知っている/覚えている、その頃からのファンであるという方は多いと思われるものの、2ndアルバム「Hotel Paper」やサンタナとコラボレーションした『The Game Of Love』『I'm Feeling You』までの熱気と比べると、それ以降は落ち着いてしまった。特に作品のリリースについては、いかんせん「待ち疲れた」方も多かったのではないかと思う。

そして、最新作「Hopeless Romantic」は2017年にようやくリリースされたものの、作風の変化も含めて、大衆的に歓迎され、大きな話題になったとまでは言えないと思う。

私自身、このような動向は覚えているものの、多くはなかった来日公演を聴きに行く機会は掴めなかったので、基本的には音源をたまに聴くということを続けていた一人に過ぎない。

(その意味では、ミッシェルが「時の人」という認識で捉えられていても、ある程度は仕方ないかなと思ってもいる...。)

しかし、そのような多少ネガティブな思い/記憶を浮かべたりもしたものの、今回のライヴ配信を視聴していて思ったのは、間違いなくこれからの期待。

ミッシェルの音楽は紛れもなく彼女自身の中にあり、彼女の所属や、ライヴ時の編成や会場の大きさ、音源でのアレンジメント、あるいはライヴは配信かリアルかといった、外側からの事情とは違う次元できちんと在り続けているということ。

きっとミュージシャンとしてこれからも持続的に活動してくれるだろうなと思った。

20周年の「The Spirit Room」はオリジナルもいいアルバムなので、改めてまた広く聴かれて欲しいし、リリース待ちのリアレンジも良い印象を持たれるのではないかと思う。

そして現状の最新作「Hopeless Romantic」も個人的なことで言えば結構好みで、新しいプロデューサーや渋い作風(ジャケットも1stとは対照的なダークレッド)は、過去の王道なポップスとは、ようやく一旦距離をおくことができたとも捉えられる。

今とこれからのミシェルにも期待し続けたい。



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