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2019/03/20

わたしは、まだ、全然じょうずにならない。

わたしは、まだ、あなたがわたしでないことを、全然じょうずにわからない。

ずっとあわよくばあなたはわたしなんじゃないかって思っているし、わたしはあなたなんじゃないかってあわよくばと思って、人の目を覗き込む。やっぱりあわよくば世界はわたしでわたしは世界なんじゃないかと思っている。ふしがある。

だって人は鏡だとかみんな言うじゃないですか。わたしは鏡は好きだ。自分の輪郭が見えるから。たまに歪むこともあるけれど、とりあえず見えはするから。それが左右反転したじぶんならば、どうして鏡たる人は左右反転したわたしでないと言えるでしょうかいいえ言えません。だからわたしはやっぱりあなたがわたしであるセンを全然捨てきれない。打てば響くあなたは世界で世界はわたしでわたしはあなたなんじゃないかと、ずっと、疑っている。

それは不信だ。

友人に、昔から、人をあまりに信じられるのがいる。彼はたぶん、世界じゃないし、わたしでもないことを知っている。彼は彼で、わたしではなく、世界ではない。だから、どうやらわたしは彼の目を覗き込むときだけは、彼がわたしであるあわよくばと疑わないでいられる、かもしれない。

世界を信じなければ世界はわたしの想像を超えない。

世界に見捨てられたことがたぶん、わたしにはないから、疑っていられてしまう。

わたしは、わたしとあなたが混ざるのではなくて、わたしとあなたというそのあいだをこそ錬成してみたいのに、うまくいかないな。混ぜてしまうのはいつもわたしだけれど。

本を借りるのが苦手です。本を買います。