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ガラス壜への偏愛

魔法はガラスに似ている、硬くて脆くて本質を変えることはできないので。

ところでわたしはガラス瓶を愛していて、それはガラスが好きなわけではなくて、たぶんガラス壜が好きだ。厚ぼったいガラス壜が好きだ。華奢な 可憐なのはあまりに儚くて実体がなく感じられて好きじゃない。厚く、重く、それでいて向こうが透けて、でも歪む、そんなガラス壜をとめどなく好きだ。

でも、わたしは今ほとんどガラス壜を持っていない。使い途があるわけではないから、手狭な部屋には不釣り合いな愛なのだ。花をいける趣味もなく、小物を入れれば取り出しづらく、つまり無用な壜をこそ愛しているわけなので。

無用な魔法をこそ愛しているわけなので。

無用とはいえだからこそ、それは今迄、生存の為の杖だったけれど、来年は無用を無用として愛したいから、

厚ぼったいガラス壜を買ってみようと思うし、厚ぼったいガラス壜を愛でる余裕をそこへ入れておこうと思う。

本を借りるのが苦手です。本を買います。