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2045年までに男性の精子がゼロに... 化学物質「PFAS」が人類の存続を脅かす

コロナ禍に陥った2020年は、日本での出生率が過去最少になったという報道がありました。

出生数は過去最少の87万2683人(対前年比2万5917人減)。
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婚姻件数は53万7583組(同7万8069組減)で減少率(12・7%)は1950年に次ぐ、戦後2番目の数値
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この新型コロナウィルスの感染数・死者が日本よりはるかに多い欧米でも同じ傾向を示していて、米WSJの記事によれば、健康と経済の両面での影響で子作りの計画を延期したり、諦めたりする人が増えているとあります。

また、オーストリアにある「ヴィトゲンシュタイン人口統計学および世界人的資本センター」の専門家は以下のようにも述べています。

「この不確実な期間が長引けば長引くほど、出生率に長期的な影響を及ぼすことになる」
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世界各国で第4波が到来するとも言われ、コロナの脅威が続く限りは、先進国では2021年も昨年と同じように出生率の低下が予想されます。

このようなコロナの影響に加え、今後さらに子供が生まれなくなっていくのではないか?と思わせる記事が英ガーディアン紙に掲載されていました。

「精子数の急減、ペニスの縮小 : 有毒化学物質が人類の存続を脅かす」とタイトルされたこの記事では、2045年までにはヒトの生殖機能がゼロになるという可能性について語られています。

以下、その対訳です。

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人類の終わり、というような現実的ではない言葉がある。

しかし、世界中で驚くべき速度で生殖能力を低下させているホルモンかく乱化学物質のために、その人類の終焉は私たちが思っているよりも早く訪れるのかもしれない。

ニューヨークのマウントサイナイ医科大学の環境生殖疫学者であるシャンナ・スワン(Shanna Swan)博士が記した『カウントダウン (Countdown)』と呼ばれる新しい著作では、人間の精子の数が 1973年以来ほぼ 60%減少したことが示されている。

このままの状態だと、スワン氏の研究によれば、人間の精子数は 2045年までには「ゼロ」に達する可能性があることを示唆している。ゼロだ。

これは、そのような社会では、赤ちゃんが生まれないことを意味する。そうなれば、もう人間はそこには存在し得なくなる。

なぜ、このような問題を、国際社会は真剣に論議しないのだろう。

この危機の原因となる化学物質は、プラスチックの容器や食品の包装から、クリーニング製品の防水服、香水、石鹸やシャンプー、電子機器やカーペットに至るまで、あらゆるものに含まれている「 PFAS 」と呼ばれる物質だ。

それらは環境や人体内で分解しないため「永遠の化学物質」として知られている。

PFAS は分解されずに、単に蓄積されていく。そして、時間ごと、日ごとに、ますます多くのダメージを人々に与えまている。

そして、そろそろ、人類はそのダメージの限界点に達しているようだ。

スワン氏の本はその研究においての発見の内容について驚異的なものがある。「世界の一部の地域では、今日の平均的な 20代の女性たちは、彼女たちの祖母が 35歳だった時よりも生殖能力が低くなっている」とスワン氏は記している。

それに加えて、今日の男性たちは、平均として彼らの祖父が持っていた精子の数の半分程度しか持っていないことを発見した。

スワン氏は以下のように述べる。

「生殖問題の現状は、人類の生存を脅かすことができるレベルに達しています。これは世界的な実存的な危機なのです」

これは誇張ではない。単に科学からの結論だ。

スワン氏の研究は、これらの化学物質が精液の質を劇的に低下させるだけでなく、陰茎のサイズと精巣の体積も縮小していることを発見した。

これは人類にとって本格的な緊急事態にほかならない。

スワン氏の本は、PFAS が精子の生産に害を及ぼし、男性ホルモンを破壊し、「精液の質、精巣の体積、陰茎の長さの低下」と相関していることを発見した以前の研究を反映している。これらの化学物質は文字通り私たちの身体を混乱させている。

それにしても、これらの化学物質について、これだけ現実的な危機が示されているにも関わらず、なぜ、多くの国では「対策」が行われないのだろう。

現在、この脅威に対応する十分な法律がある国や地域は限られている。法律と規制は国ごと、地域ごと、そしてアメリカでは州ごとに異なる。

例えば、欧州連合は、玩具中のいくつかのフタル酸エステルを制限しており、食品生産においても、「生殖毒性」(人間の生殖能力を損なう)と見なされるフタル酸エステルに制限を設けている。

アメリカでは、科学的研究により、乳児にフタル酸エステル類への暴露が広範囲に及んでいることがわかった。これらの化学物質は、ベビーシャンプー、ローション、パウダーなどと接触した赤ちゃんの尿から発見された。それでも、特に化学業界の大企業によるロビー活動のために、積極的な規制が欠けている。

ワシントン州では、国会議員が将来のための汚染防止法をようやく可決した。これは、州の機関に化学物質のクラスに対処するように指示し、化学物質から離れ、代用を求める措置だ。規制される製品で扱われる化学物質には、フタル酸エステル、PFAS、PCB、アルキフェノールエトキシレートとビスフェノール化合物、および有機ハロゲン難燃剤が含まれる。

ワシントン州は化学汚染の範囲に対処するために重要な措置を講じているが、概して、アメリカは他の多くの国と同様に、法整備は不十分だ。

アメリカの科学者たちは、米国でテストしたほぼすべての人々の血中にこれらの科学物質を発見している。今や、地球上のどの国や地域も PFAS 汚染の影響を受けており、これは地球規模の問題といえる。

PFAS は世界中で発見されており、事実上すべての人体内に存在している。そして海底深くにいる魚たちや、空高く飛ぶ鳥たちにも見られるのだ。

それは、文字通り、生命の源である私たちの生殖能力を傷つけ、攻撃することによって私たちを殺している。私たちは、人間の精子の急速な死と衰退に今すぐ対処する必要がある。

残されている時間はあまりない。

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ここまでです。対訳はindeepさんから引用させていただきました。

▼環境や人体内で分解されない化学物質「PFAS」

PFAS(パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)は、1940年代頃から普及していった化学物質で、以下のような特性があります。

水や油をはじく、熱に強い、薬品に強い、光を吸収しない
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そのため、撥水剤、表面処理剤、乳化剤、消火剤、コーティング剤などとして幅広く使用される他、スーパーマーケットなどで販売される食品のプラスチック製パッケージに使われているそうです。

ちょっと前に小泉進次郎氏の「プラスチックの原料って石油なんです」という発言がネットで話題になっていましたが、プラスチックの原料が石油とは漠然と分かっていても、それがどんな化学物質になって使われているかについては、日本では知らない人の方が多いのではないでしょうか?

私たちが日常生活の中で接している化学物質には以下のようなものがあります。

ビスフェノールA(BPA:水筒や缶の内面塗装剤に含まれる)
フタル酸エステル類(包装フィルムなどに含まれる)
残留性有機汚染物質(POPs:テフロン加工されたフライパンに含まれている)

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こうした化学物質は内分泌かく乱物質、いわゆる環境ホルモンとして作用し、体内のホルモンの作用を阻害することがさまざまな研究で分かってきているのです。

たとえばフタル酸エステルという添加剤は、人の性的な成長スピードを早くしたり遅くしたりする作用があります。
これは、子どものおもちゃに使うことは規制されていますが、ラップやクレジットカードなど、日用品に使われています。

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こういったものが海に流れ、細かくなったものを魚が食べて、添加剤がその身に吸収されて、それを食べた人類の体に影響を与える懸念があります。
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ちなみに、2018年の経済協力開発機構(OECD)の報告書では、こうしたPFASに分類される4,730種類以上の物質が存在すると報告されています。

PFASは、英語で「Forever Chemicals(永久に残る化学物質)」とも呼ばれ、自然界や体内で分解されにくく、一度生成されると蓄積されやすい。
その理由は、PFASを構成する炭素とフッ素の結合が、有機化学で作りだせる結合の中で最も強力なものの一つであることに由来している。

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また、PFASは流動生が高いため、製造の過程や使用中、廃棄する時に製品から漏れ出し、空気や飲み水、食べものを通って遠くまで運ばれます。

PFASの人体への侵入経路としては、水と食品。
水に関しては水道水からの侵入。食品については農作物栽培での土壌からの侵入や、食品の包装・容器から侵入するの双方がある。

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実質的には、地球上の全ての人間はPFASに何かしらの形で接触しているだろう。そして特定のPFASは人間や野生動物の体内に高いレベルで蓄積しているだろう。
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PFASの中には少量でも大変有害なものもあり、人間や動物の免疫系の障害、睾丸がん, 腎臓がん、甲状腺疾患などの健康被害との関連も指摘されています。
しかし、市場に出回る前に検査されているPFASはあまりに少ないのが現状です。

▼土壌や海へと体積されていく

PFASは、大気中に放出されると雨水を介して土壌や川へ、また排水処理を介して海へ流れこんで魚介類に蓄積、さらにそれを食べた動物に蓄積していきます。もちろん人間も例外ではありません。

ドイツ連邦環境庁(UBA)は、ドイツの青少年を対象にした環境調査(GerES V)に参加した3歳から17歳までの子供の血液中から難分解性化学物質である「ペルフルオロアルキル酸およびポリフルオロアルキル酸(PFAS)」が閾値を超える濃度で検出されたと報告。
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ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)は同調査に参加したすべての子供から、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)は86%の子供から検出された。
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アメリカでもこういった調査はされているようで、環境中の汚染をどうやって取り除くかといった研究開発も行われています。

今日では99%のアメリカ人の血流内にPFASの存在が確認されている。また非営利環境団体EWGによると、PFASに汚染された地域は、全米49州の700カ所以上にのぼる。
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日本でPFAS汚染の実態をつかむ大規模な調査が行われているかは分からないのですが、前出の記事からうかがう限り、欧米よりも規制が遅れている日本では確実に高い確率で人体から検出されることは容易に想像できますね。

▼コロナ禍でさらに使い捨てされるプラスチック

ここ数年、プラスチックによる海洋汚染が環境問題として大きく取り上げられるようになり、個人や社会での対策を進められてきましたが、コロナでの外出自粛規制によってプラスチック製品の需要は再び増えてしまっています。

日本容器包装リサイクル協会(東京)のまとめでは、4~11月に市区町村からリサイクル事業者に引き渡されたプラスチック製容器包装(プラごみ)は前年の同期間より4・7%増え、直近10年間で最多となっている。
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ピークの6月には政令市平均で前年同月比約15%増加しており、各市は新型コロナウイルスによる巣ごもり需要で食品用の包装容器が増えていることなどを理由に挙げた。
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そして、さらに環境汚染を進めてしまっているのが、2020年から私たちの日常に欠かせないものになった「マスク」です。

2020年12月、香港の環境保護団体『OceansAsia』は以下のような調査結果を発表しました。

2020年に15億枚以上の使い捨てマスクが世界中の海に廃棄されたと推定される
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使い捨てマスクは分解するのに450年ほどかかるとされており、その過程で微小なプラスチック粒子「マイクロプラスチック」に変化するという。
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魚介類に取り込まれたマイクロプラスチックは人の口に入っても排泄されるため、それ自体に害はありません。しかし、マイクロプラスチックに吸着した化学物質が生物に悪影響をもたらすことが指摘されています。

この使い捨てマスクの主流となっている「不織布マスク」も、プラスチックから出来ていることをご存知でしょうか?

使い捨ての不織布マスクは紙でできていると思われがちですが、一般的にはプラスチックの一種である「ポリエステル」「ポリプロピレン」や「ポリエチレン」などの化学繊維を接着剤などを成型して作られています。

この化学繊維を製造するにあたって必要なのが各種の添加物なのですが、その中には環境ホルモン物質として作用するビスフェノールA、スチレン、フェノールなどが含まれているのです。

そのような素材から作られた不織布マスクを、コロナ対策のために四六時中、しかも人間が呼吸するために欠かせない器官である鼻・口に付けるようになってしまっている。

この影響はすぐには表に現れないでしょうが、コロナ禍が長引けば長引くほど、これらの化学物質がジワジワと人体に影響を及ぼしていくのではないでしょうか。マスクを付けている時間が長い人ほど、その影響も比例して大きくなっていくものと思われるのですが。

最近ではコロナ変異種が流行っているから二重にして着用せよ、コロナワクチンを接種してもすぐに免疫は出来ないのでマスク着用を止めるべきではない、とまで喧伝されるようになっています。

いまや環境中のどこにでも存在しているPFASに加え、実質的に義務化されているマスク着用。それらが、特に幼児期からマスクを付けたまま成長することになる世代にどんな影響を与えるのか・・・。

大きな懸念を感じずにはいられませんね。

▼人工的に命を作り出す

これでは、先進国での少子化が進むのは当然の流れと思われますが、その対策についても着々と進みつつあるようです。

京都大学iPS細胞研究所の斎藤教授によれば、ヒトの細胞から子どもをつくることは、倫理的に大きな問題を含むために現段階では禁止されていますが、

「マウスであれば、iPS細胞由来の卵子と生体内で作られた精子から受精卵を作り、子どもを生み出すことはできています。一方、ヒトの細胞を使った実験では、卵子や精子の『元』になる細胞を作ることまではできています」
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斎藤教授は、すでにマウスiPS細胞やES細胞から精子や卵子の培養に成功し、実際に、子どものマウスをつくることに成功しています。

また、2015年にはヒトiPS細胞から初期の卵子を作ることにも成功。

現在は、サルやヒトの細胞を使って、卵子や精子などの生殖細胞を正常な形で作り出すために必要な遺伝子についての研究を続けているそうです。

また、こちらの記事も人工的に生命を生み出す研究開発と非常にリンクしているかと思います。

イスラエル・ワイツマン科学研究所の分子遺伝学研究チームが、マウスの胚を母親の胎外で成長させることに成功。哺乳類の胚を11日半で成長されられたというのは世界初のことです。

研究者は取り出した授精直後のマウス胚を、ガラス容器に満たされ37℃に温度管理された液体のなかで成長させました。容器内は胚が壁面に接触しないよう常に回転され、さらに人工呼吸器と同様の仕組みで酸素を供給します。
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マウス胚は20日の最初の1/3ぐらいで身体を形成するすべての組織や器官を形成するため、11日目までに胚はほぼ完全な状態に成長していました。
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化学物質の汚染によって人類から生殖機能が失われても、"人工的に子どもを作れば問題ない"という既定路線は、着々と築かれつつあるようです。

もしかすると、それも「新しい生活様式」の一部なのかもしれませんね。

これから2030年までどんな「新しい生活様式」が計画されているのか、以下の記事でも触れていますのでぜひ読んでみてください。

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