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人間的に凹凸があり人間的に未熟なほうが魅力があるワケ

人間的な豊潤さと未熟さを兼ね備えたフルトヴェングラーの時代のオーケストラは、演奏技術がカラヤンの頃に比べ劣っていたし、当時のレコード技術も劣っていた。しかし、私はその中にベートーヴェンやブラームスの全てが隠されており、人間的に凹凸がある指揮者とオーケストラだからこそ、あれだけの感動を生み出せる原動力となった。しかし、大衆に媚びへつらったに微笑ましくもなければ、一見するとそっぽを向いて内向しているかのように思えるテイクが発達障害人故のワケアリの苦悩を代弁してくれるかのように感じるのは、私が一度経験した感情をフルトヴェングラーのベルリンフィルが代弁してくれているからである。宇野功芳さんも同じような演奏をしたかったのだろうけど、私の心に響かないのは、フルトヴェングラーや、ベルリンフィルは、乏しい録音と乏しい演奏技術と何もないなかで自然と生み出された演奏スタイルだから、当時類を見ない演奏をすることができたのにくらべ、宇野氏は、すでに豊かに往年の数々の伝説の指揮者のLPを多く聴いてきた中での、既成の中で、すでにカラヤンレヴェルまで高水準にも達したオーケストラで指揮を振ったので、私には取り繕ったようにしか聞こえず、感動しなかった。
フルトヴェングラーは弱さをさらけ出している。そこには全身痛みだらけで取り繕ってなどいない素直な彼の心情告白にも思えるが、カラヤンには明るさと強さと多少の傲慢さしか感じない。カラヤンの音の響きもいい。威厳もあり、ワインなどで我々を酔わしてくれる何かがある。
自己肯定感の高いカラヤンと、自己肯定感の低いフルトヴェングラー。2人を世に出してくれたウィーンやベルリンのドイツに感謝したい。

私は太宰治や芥川龍之介も、フルトヴェングラーやベルリンフィルに近いモノを持っているのではないかと思う。特にブラームスなど。



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