勝手に翻訳シリーズ:Crash.net『ThorneyMotorSports「EuropaR」』

この記事はCrash.netによる、以前こちらで紹介した、ThorneyMotorSportsが手がけたヨーロッパSのチューニングカー「EuropaR」のレビューになります。

1チューナー、1ショップが手がけた車を複数のサイトがレビューする。
そんな当たり前の事が、この車にとっては非常に珍しい事です。
果たしてCrash.netはEuropaRを、いえ、ヨーロッパSにどんな想いを持っていたのでしょうか？

本文

 ヨーロッパSは少々不安定な、混乱している車です。
この車が何になりたかったのか、分かりません。
以下に私が初めて新しくなったヨーロッパ、ヨーロッパSを運転した時の所感を書きます。

何故この車はトヨタのエンジンでは無く、古臭いヴォクスホールのエンジンが搭載されたのか？
何故少しでも速くしようとしなかったのか?
何故エキシージよりも遅い車を同じような価格帯で出したのか?

これらの疑問に回答は来ないでしょう。決して。
そして実際に販売されたヨーロッパSの台数を見る限り、同じ疑問を持っているのは私だけでは無いでしょう。

エキシージがロータスが手がける「ベビー・スーパーカー」であるならば、ヨーロッパSが期待されていたのは「ベビー・ハイパーカー」とも言うべき立ち位置です。しかしロータスは何故かそうしませんでした。
理由は不明です…

しかし、それはロータスがヨーロッパSを『そう仕立て上げなかった』だけの話であって、他の誰かが『そう仕立てあげれば良い』だけのこと。

BMWとヴォクスホールのチューニングに定評のある、ジョン・ソーンと彼のThorneyMotorSportsがEuropaRを仕立て上げるのは、ある意味必然でした。

彼らはまず基本的なこと、ヨーロッパSが持つべき基本的な要素を持たせる事にしました。
より低く、よりパワフルに、より効率の良い吸排気システムに、そしてより強力なブレーキを。
結果、EuropaRは遥かにアグレッシブなマシンになりました。
エキシージと同じく前16インチ、後ろ17インチのホイールセットはよりEuropaRを過激に見せます。

乗り心地はというと、ドライビングシートは完璧ですがよりパワフルに過敏に反応するようになったエンジンは右足だけで無く、指先や背中迄も神経を尖らせます。
ステアリングは更にスリリングに、スロットルは踏み代に応じてまるで野獣の様に背中を押し出します。

ノーマルの2Lターボよりも遥かにスムーズで、吸気音ははっきりと、マフラーはそれ以上に気持ちよく響きます。スロットルレスポンスは心地よく、ライトウェイトらしい軽快さは失われていません。ECUチューン前とは比べ物になりません。

私の唯一の不満は、レッドゾーンからのシフトアップの度にパワーバンドを外すことですが、引っ張らずに早めにシフトアップしていけば容易に対処できます。その程度の話です。

コーナーの前で一旦アクセルをオフにすると、バチバチと音がマフラーから出ます。
こうした音は何故かあまり攻撃的に感じず、高速道路でも決して煩わしく無いのです。
アルミバスタブが起こすマジックですね。

新しいブレーキは踏み始めはまるで反応が無く、容量が大きくなったブレーキキャリパーにブレーキシステムの容量が足りてません。ですが、ブレーキキャリパーに力が加わり始める所までペダルを踏み込むと、確かなペダルタッチになります。
まるで親の敵のようなブレーキは、タイヤが十分に温まる様な状況だと何度も練習が必要な位シビアです。

新しいナイトロン製サスペンションは非常によく出来ており、EuropaRのロールを抑え遥かに速い速度でのコーナリングを実現させます。
それでいて平坦なサーキット以外の道路でも、大きな衝撃や跳ねもありません。

EuropaRは間違いなく素晴らしいパッケージであり、同時にヨーロッパSの持つポテンシャルを確かなものであると裏付ける存在でもあります。
それは実際にLotusの優れたシャシーを持つ、確かな1台なのです。

車両情報

価格:￡6,500＋ヨーロッパS車両価格＋作業工賃

内容:ECUリマップ、Miltekフルエキゾースト、ナイトロンサスペンション、TeamDynamicsWheel、Toyoタイヤ、アライメントセッティング。

0-60マイル:4.0秒
最高速度:メーターを振り切ったので計測不可。225km/h以上は確定。

エンジン:Z20LER
排気量:1998cc
最高出力:243ps
トルク:33kgf-m

総評
これこそがヨーロッパSが本来最初からすべきことであり、そしてそれは実際に可能だったのです。
扱いやすく、そして速い。本当のロータスのハイパーカーです。

欠点
高い。