【熊野古道巡礼記】 紀伊の山々と祈りの道
「次発は、南紀勝浦線です。お乗りの方はー」
いそいそと夜行バスに乗り込んだ僕は、普段味わうことのない高揚感と不安が混ざった、不思議な感情に包まれていた。死ぬまでに一度は行きたいと決めていた熊野古道。昨年計画したものの、悔しくも足の怪我で行けなくなってしまったため、1年越し、念願の旅だった。
2泊3日で僕が歩いたのは、せいぜい20km。全長1,000kmの熊野古道の2%に過ぎない。そんなやつが熊野参詣を語っているのが知られたら、当時(1000年前)の人々にこっぴどく叱られる