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ONE PIECE FILM REDを観た

最近アホみたいに感想書き溜めててちゃんと消化できてない。
一応端末内のメモに箇条書きで残してるけど、ちゃんと文章にしときたい。
そんなわけで先週観たこの作品から消化していきます。

結論から言うとワンピースぽくない作品だった。
ワンピース自体は全編読んでて今でも追っかけてる漫画なので、本作も当然観に行く予定だった。なんでまぁ、自分のことをそれなりにワンピースを知っている人間だと評価してます。
その僕の意見として、本作は従来のワンピースとは大分毛色の違う作品だった。別に悪い意味ではなく、むしろ新鮮でとても面白い映画だったんだけども。

まず戦闘シーンが少ない。いや、と言うよりは対決シーンが少ないと言うべきか。今までのワンピース映画、また本編でもそうだが、主人公・ルフィにはルフィの、その仲間・ゾロにはゾロの、それぞれ対決する敵キャラが用意されていた。
そういった対決シーンの中で登場人物の魅力を引き出すのが従来のワンピースの十八番だったと記憶しているが、本作にはそれがない。意見を対立する者としてヒロイン・ウタが登場するが、彼女に対してルフィは戦闘という形で対決はしないし、強大な敵として登場する「トットムジカ」という怪物も、全員で協力して倒すので対決とは言えない。

本作が従来のワンピースと違って見える理由の大元は、間違いなくヒロインのウタが原因だ。彼女は麦わらの一味の進路を妨害し、世界を滅亡に導く存在であるため、今までの悪役と類似した行動を取っているが、悪・暴力を嫌い平和・平等のために自己犠牲の道を進むなど、その思想はむしろ善性に基づいている。
今までと全く異なる敵。連載25年目にして初めて現れたのも相まって、ワンピースっぽくない構造の作品であった。

急に生えてきた幼馴染・ウタ
言うてエースもサボも唐突なので急に生えても不思議ではないが。そもそもルフィが過去を話さないからなぁ。
そのキャラ構造もワンピースの歴史では新鮮なものだが、上映時間の3割ぐらいを占める大ボリュームのライブシーン。Vtuberチックで今風なキャラデザイン。過去の積み重ねを匂わせるようなフランクなやり取りとか、目からハイライト消えるオタク大好き演出とか、ウタを中心にワンピースっぽくない作風が展開されている。
尾田先生の引き出しつきねぇな。色々アンテナ貼ってるらしいしな。

希望を折られ続けて病んでしまった可哀想な子なんです。本人が夢想主義なので心の殻に閉じこもってしまったのも災いしてると思う。
これが体験主義なルフィなら、本当にシャンクスが襲ったのか確認しようと海に出るだろうし、本人のためとはいえエレジアに閉じ込めたゴードンにも責任あるよなぁ。

彼女にとって身体は必要ないものという思想なので、死とは現実からの逃避。ウタワールドに一生閉じ込めるのもその延長線だったんだろうけど、正直勝手に救世主扱いした民衆への復讐もあったんじゃないかな。自覚はしてないけど無意識で。

ウタはいつ死ぬと思う……?
ネズキノコを食べた時だ!
……果たして彼女は死んだのでしょうか。
解毒薬飲めば何とかなる程度の毒だし、薬もウタに渡したやつが最後とは明言されていない。EDで世界中の人々がウタの歌を歌う・聴くしてたわけだが、つい先日亡くなった人の歌を笑顔で楽しむなんて考えづらい。しかし死亡説も否定できない。

そもそもラストシーンで棺桶が映ってたらしい。それと混乱を避けるために死を隠蔽したからEDの人々は知らないとか正直ありそうだ。ED曲の「風のゆくえ」で私が消えても、とか歌ってるしな。

仮に生きてたとしたらシャンクスが匿ってるのか? 自分の弱点なのは間違いないし、案外本編でも音楽家としてさらっと出そうな気もする。これも全部尾田くんが40億巻で「死にゆくウタ」とか微妙にボカした表現使うのが悪いよ。

ウタウタの実の全身ウタ人間
私……知ってました……
これを再現したお菓子が上映開始すぐに出回ってた。まぁ能力とかは分からんかったし、割と序盤で能力者っぽいなってなったけども。

オトオトの上位互換じゃない? 音が聞こえたら昏睡・奴隷化のウタウタと、音が聞こえて視界にも入ってないと発動せず大した威力もないオトオト。まぁ恐らく本来のウタウタは、発動直後に眠ってしまうってデメリットを抱えているんだろう。ネズキノコと解毒薬でデメリットも数時間なら消せますけどね。

ニカニカの実がそうだったように、ウタウタの実にも意志はあるのか。これはニカ登場時点からの考察なんですが、悪魔の実にはそれぞれモデルとなった人物がいるのでは、という仮説。
ルナーリア族とかいう悪魔の実の力と遜色ないような種族もいるので、大昔には強大な力を持った人々がいて、その力を再現したのが悪魔の実。

この仮説に従うと、ウタウタの実にもモデルとなった人物がおり、トットムジカはその人物が生み出したのではないだろうか。トットムジカがウタウタの実より先に存在したとは考えづらいので。ウタウタに意志があるとしたら、歌う時だけ声優からadoに切り替わるのはそれっぽくていいなと思った。

ルフィの意外な新事実
お前「新時代」とか考えてる人間だったのか。
海賊王になった先、というのは想像したことがなかったが、新時代を作るため、らしい。
ならばルフィの考える新時代とは何なのか。その答えまでは明かされなかったが、前々から考察されてる聞いた者が大笑いするような「ルフィの夢」と繋がって来るのだろう。

またロジャーもルフィと同じ夢を抱いていたわけだが、彼は海賊王になって大海賊時代を築いた。ルフィもまた夢を叶えるためにロジャーと同じ道を辿っているのだろう。てか後で気づいたけど、ルフィの新時代は大海賊時代を終わらせるため? ウタの新時代も大海賊時代の閉幕だったし、同じ新時代を夢見ている可能性はありそう。ただ具体的なイメージはウタとは違うのだろうか。

ニカフィが映画で見たかったのだが、一瞬とはいえ登場したのでよかった。
てかREDの時系列ってどの辺だろうな。ジンベイとゼウスがいるからワノ国後? しかしヤマトが船に乗ってない(確定したわけじゃないが)。五番目の皇帝発言もあるから、まだ四皇にはなってないし。鬼ヶ島討ち入りの途中でライブ見に行ったのかもしれんな。

シャンクス
顔見ると笑っちゃう。
シャンクスがキメ顔で民間人に殴られまくってるシーン、爆笑。

やっぱりシャンクスはいい奴だった。散々「シャンクス悪人だった⁉︎」てタイプの考察が出回ってたけど、そんなわけはないのだ。でもフィガーランド家がどうたら言われてたし、『シャンクス天竜人説』はマジかもしれん。

「平和や平等は存在しないが、お前の歌は人々を幸せにできる」と娘に語っていたが、ウタは結局平和や平等な世界を作ろうとしてしまった。その結果民衆から反感を食らってたわけだし、平和・平等の実現は実質不可能であり、その代わりに目指すものとして「自由」があるんだろうなと思った。

ウタを置いてったのはシャンクスの優しさなんだけど、それで色々拗らせてるから何だかなぁって。かといってウタに真実を知らせるのは酷だし、世間にバレたら能力とシャンクスとの関係から指名手配は確実なので、シャンクスが罪被るのは最善だったかも。
映像電電虫逃したSSGが悪いよ。七武海も取り逃すし、こんなん信用した藤虎もバカ。

かなり設定開示された赤髪海賊団
ベンベックマン、ヤソップ、ラッキールウ、ロックスターぐらいは知ってたけど、新しくホンゴウとハウリングガブを覚えた。他は知らん。
シャンクスの見聞殺しの覇王色や、ヤソップの他者リンクする見聞色など、赤髪海賊団は覇気に特化した一味なのかも。ハウリングガブの謎ビームは能力かもしれんが。
ルフィにもウタにも面識ないのに助けに来てくれたロックス・D・ターさんを褒めろ。

有事の際には民衆ごと叩くのが赤犬流。
藤虎がそれに反発しないのは違和感あった。見えないとこで重力かけて民衆無力化してたのかもしれんが。てか藤虎お前サイクロップスみたいなゴーグルつける意味ねぇだろ。

黄猿はどっちつかずの正義を掲げてたと思うけど、最初は赤犬の指示に従って、赤髪海賊団に協力した方が得と判断したら民衆を守る、そういう柔軟な考え方はある意味珍しい。意外と元帥向いてるんじゃないか黄猿。

コビーの指揮能力、そんなんいつ目覚めた。あの超広範囲タイプの見聞色を生かした結果なのか。結局ロッキーポート事件て何なんだろうな。ヘルメッポがコビーに一段劣る感じなので、もっと見せ場を用意してあげてほしい。

音声が切れません…!(ポチポチ)
ルッチお前CP0降りろ。
EDで急にサービスシーンを出すカリファ、お前アワアワで民衆の無力化できただろ
ブルーノの能力便利すぎる、エアドアがノヴの『4次元マンション』とメロオロンの『神の不在証明』の融合みたいなもんだし、偵察には確かに向いてる。

五老星とかいう老人会。こいつらもしかしたらバカかもしれん。いっつも後手に回って騒いでるだけって。賢そうにしてるこいつらも、天竜人よろしく権力の腐敗の象徴ってことなんだろうな。どいつもこいつも無能。

ウタを庇ったり責めたりする描写、ワンピースで目にするとは思わんかった。
本作のテーマの一つに、『ワンピ世界における悪とは何か』てのがあると思ってて、最初はやはり海賊が悪だと示されていたけど、海軍が民衆を攻撃して海賊が民衆守るって描写や、嫌われ者として扱われる天竜人など、そしてウタを救世主にしてしまった民衆もまた悪だって構図があると思う。そしてワンピ世界における悪ってのは多分「自由」を縛る者なんじゃないか。

新世界の海をボートで渡り、仕事からも逃げない少年・ヨルエカ。「帰るよ」の逆読みであることは最近知った。ある意味ひと時だけ現実を忘れる手段としてウタのライブに行くのは、シャンクスも望んだウタの在り方なので、民衆の全員が「救世主」として消費してたわけじゃないんだろうなーとは思う

オーブンが一生分の出番をもらった。
将星を差し置いてこんなにオーブンが活躍するとは。
まるで活躍していないスムージーさんのこともたまには思い出してあげてください。まぁなんかこいつはキッドにロード・ポーネグリフ貢いだ説とかあるらしいし、これからが出番なのかもしれんが。

ブリュレの能力便利すぎる、ミロワールドばっかフォーカスされてるけど、初期によく披露してた姿の投影能力もマネマネみたいなもんだし強過ぎだろ。あとこいつ無駄に胸デカくて頭バグりそう。
やっぱビッグマム海賊団はオーブンもブリュレもカタクリも、行動原理は家族愛なので、なんだかんだ憎めねぇなーとなる。

無いんだろう……40億巻が……。
貰えなかったが、人のやつを読ませてもらった。
普通の設定資料集かと思ったら、本作に至るまでの時系列やウタのキャラ造形なんかも載ってた。そのうちネットで公開してくれないもんか。

特に印象的だったのは、ウタが夢想主義でルフィが体験主義というお話。ウタは自分の能力も相まって自分の望む内的世界を生み出せるため、彼女にとって体は必要ないものであり、死もその不必要な体を失うだけで現実からの逃避だと考えていた。ここまで極端な考えに至ったのは、ゴードンと二人きりの10年間も影響してそうだ。

一方ルフィは体験主義、何でも自分の体で試してみないと気が済まないし、悩むよりもまず体を動かすという性格もここからきているのだろう。死に対する考えもウタとは異なり、「人間死んだら骨だけ」、死は死以外の意味を持たないと考えている。

ぼんやりと二人に抱いたイメージが尾田先生の手で具体的な言葉になった感じだが、思ってたよりも二人は正反対で、今までのルフィ観を測り直す機会にもなった。25年目で主人公のイメージが更新されるってのもなかなか変な話だが。


そんな感じでFILM REDの感想はおしまい。めちゃくちゃ面白い映画でした。
……ただね、一個だけ問題があってね。
ライブシーン、歌詞わからん。単純に情報処理の問題がある。視覚の情報を処理するのに頭ん中いっぱいになって、歌詞が聞き取れないんじゃな。字幕が欲しい〜〜。

悪いな。親子喧嘩の途中なんだ。
首を突っ込まないでもらえるか。


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