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ブルーロックを読んだぞ

東リベと同じく80%オフで売ってたので買いました。
サッカーという概念、俺はイナズマイレブンでしか摂取したことがない。リアルはもちろん、フィクションの世界でもサッカーの作品に触れた経験はない、多分。
なんでまぁ、サッカーのルールも全然知らん。それでもちゃんと楽しめた作品なのでオススメです。てか人気出るスポーツ漫画で、ルール既知必須てことない気もするが。

「熱」を感じつつ、ロジカルな話の展開が印象的だった。
まずめっっちゃくちゃ絵が上手い。試合の展開の様子とか、ボールを操る足捌きとか、そういうのに違和感を持たせずサッカーを読ませる技術も卓越しているが、とにかく迫力のある絵を描くのがバリ上手い。

本作のテーマに「選手のエゴ」というのがあるが、キャラクターのサッカープレイング一つ一つに、彼らの強烈なエゴを感じ取れる。そのエゴを表現しているのは表情であったり、身体の動かし方であったり、あるいは漫画的な誇張表現だったりする。それぞれキャラを象った演出がなされていて、こういうの見るとイナイレを思い出します。

この熱を描ける画力だけでも十分面白い漫画なのだが、話の展開は案外ロジカルで冷静だったりする。
サッカーにおける「奇跡」や「運」のカラクリや、よくゾーンと呼ばれる「FLOW」状態への入り方など、この辺は熱で誤魔化さずに作者なりのロジックを用意していた。
主人公・潔世一の成長にしても、『Q.自分の特技とは? A.空間把握能力』、『Q.ならばその力でゴールするを勝ち取るには? A.パスからのダイレクトシュート』といった感じで、一つの課題に答えを示し、その結果試合に勝利するという形式なのでとても分かりやすい。

そもそも「登場人物全員ストライカー」という序盤の展開にも、ハッタリだけじゃない確かな意図を感じた。これは完全偏見なんすけど、サッカー題材の作品でストライカーよりも他のポジションを目立たせるのって構造上不可能じゃないすか? だって「点を取る」って行為がゴール以外にないわけですから、話を盛り上げるうえでストライカー以上の適任がない。そうなるとストライカー主軸のサッカー作品が飽和して、他ポジションにスポットを当てようとしてもストライカーには敵わないって構造が少なからずあると思います。イナイレの主人公・円堂守はゴールキーパーですけど、ちゃっかり敵陣でゴール決めてますしね。

なので、むしろストライカーによりスポットを当てて、ストライカーだけの話を作ろう!て流れがあったと思うんですよ。これが荒唐無稽に見えて、全選手がゴールを狙えるから全員目立たせられるんですよね。まぁ、なんだかんだディフェンスの専門家!みたいな奴らが出てくるんで、ストライカーだけで話膨らますのはその辺で限界だったんかな〜と思います。それはそれとして面白い試みには違いない。

『魔神探偵脳噛ネウロ』でお馴染みの松井優征先生(パンピーにも分かりやすいように言うと『暗殺教室』の人ねw(爆笑)(核爆)(現在連載中の『逃げ上手の若君』をよろしくな!))は、漫画の面白さのロジックを攻撃力と防御力に例えて説明してましたが、ブルーロックはどちらもレベルが高いなぁ、と思った。攻撃力が「作者のセンス」、防御力が「読みやすさ」、みたいな感じだった気がするけど、両者揃ってると面白いし人に勧めやすいよね。本作が人気出てる理由の大元はそこかも。
ちなみに僕の知る限り最も攻撃力高い漫画家は島袋光年です。防御面は穴だらけですが。

しかしですけどね。ロジカルだとは言うけど疑問がないわけではない。話の矛盾点とか違和感とかじゃなく単純な疑問。
ブルーロックを建造・運営していくうえで必要なコストをどっから出してんのかとか、選手が入学してた高校にはどう話つけてんのかとか、そもそも自分の意思とはいえ高校生を監禁同然の環境に置いてるわけで、人権問題とかどうなんのかね。

あと性欲。男子高校生が何の色気もない部屋に詰め込まれて、返却の手段があるとはいえスマホを没収され、プライバシーもクソもない生活を強いられる。……爆発しちゃうよ?
しかも性別が男なだけの美少女も何人かいるしね。刑務所では囚人を奇数人数で部屋に入れてて、その理由が男色防止だって金カムで言ってたけど、ブルーロックも序盤の部屋割り11人ずつなんだよね。サッカーするのにちょうどいい以外にそんな意味合いがあったのかもしれん。

基本的にサッカーとは関係ない部分は掘り下げしないスタンスなんでしょうね。ぶっちゃけこれらの疑問に答えが用意されていたとて、本作の面白さにはあんま関係ないだろうし。ただ巻末のおまけとかでちょい掘り下げて欲しいな〜ってとこです。

サッカー作品といえば? 個性豊かなキャラクター達ですよね。だって最低22人必要なスポーツなわけだから、キャラクターの数もそれだけ多いし、個性の差別化を図る必要もありますし。
まぁ色んな奴らがエゴエゴしている。自分だけの推しキャラを見つけよう! キャラ多い作品じゃ毎回こればっか言ってる。

主人公の潔世一。潔いち、なんて馬鹿みたいな名前だけど、別に潔くもなんともないです。いや、すぐに気持ち切り替えられるとこは「潔い」と言えるのか? 
オフでは問題児どもを仲裁する優男、しかし試合になると問題児どもを巧みに操作してゴールを狙う。そんなキャラ。空間把握能力が飛び抜けていて、ゴールするまでの組み立てが上手いが、そこに行き着くまでの演算能力の方がすごい。
チームメイトと組んでゴールを目指すキャラなので、必然的にカキタレが多い。円堂守くんもそうだった気がする。サッカー作品の主人公はそういう傾向が強いのかもしれん。

カキタレ1号:蜂楽廻、潔に重い矢印を向ける不思議ちゃん。
カキタレ2号:千切豹馬、メス顔チーター。公式で呼び名が「お嬢」。
カキタレ3号:凪誠士郎、人から寝とった天然クール。
カキタレ4号:氷織羊、メス顔京都人。自宅での部屋着がエロい。
カキタレ5号:糸師凛、潔をおもしれーやつ認定してたが殺すことにした。厳密に言うと、糸師凛は潔とお互いカキタレみたいな感じなんすけどね。元々情緒がぶっ壊れた子だったけど、愛しのお兄ちゃんも潔に寝取られてついにおかしくなったw(ヒカマニ)

だが、カキタレハーレムの潔にもどうにもならん奴がいた! それが馬狼照英。自称も他称もキング!
冒頭でゴール決めてライオン出してる人がそれね。元々は生まれもった強さだけで無双してキングを名乗ってたんだけど、潔に敗北を喫することで自分の未熟さを知る。そこで王道を逸れるんじゃなく、邪道に己の居場所を見出すのがカッコいいとこ。意地っ張りだけど素直な反省ができて、必ず初志を貫ける、そういうキャラが好きです。

それで発見した邪道とは「潔世一のプレイングを狩ること」。???って感じだが、要は潔なら間違いなく相手ゴールにまで辿り着くので、不意を突いてボールを奪ってゴール決めよう、ってこと。字面にするとダサいが、シュートをギリギリで防がれがちな潔にとっては第二の矢に近い。そして、味方を狩るという不合理な行為が敵チームに波紋を呼ぶため、ジョーカー的な立ち位置でもある。

メタ的な考え方をすると、目立つことが確定している主人公の背後が定位置なため、馬狼も当然目立つ機会が多い。随分とおいしい立ち位置に転向したな〜と思った。しかし、特定の個人を軸にしているため、成長性・拡張性のないスタイルかと思ったが、他のプレイヤーを潔と見なすことで、潔以外にもこのスタイルが適用できることが判明した。こいつ……無敵か? 
そもそも潔に対する絶対的な信頼から成り立っているスタイルでもあるので、そういう点でもおいしいキャラである。

少しストーリーの話もすると、試合とキャラの濃さで押す漫画なんで、話を引っ張るための謎や伏線はあんまない。でもあるっちゃある。
ブルーロック創設者の絵心甚八の現役時代とか、糸師凛の兄・冴が何故ストライカーの道を諦めたのかとか。結局これキャラの話になってるよな。そろそろ日本を抜け出して世界編が始まりそうな予感なので、その辺りで回収していくのを期待してます。

感想は以上。
昔からスポーツ観戦というやつには全く縁がなかった。
しかし、リアルで観たら案外楽しめちゃうのでは?とは思ってる。
近くにスタジアムあるし、時が来たら観に行きたい。
じゃなきゃハマに住んでる意味ねぇよなあ。

何って 決まってんだろ…
『潔狩り』だ

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