おじちゃんとおばちゃんが遊びに来た
前の日から来てるとお母さんの電話で知っていたけど
本当に来てくれた
こんな 遠い遠い 神奈川からしたらすっごく遠い田舎まで

私は明日出発するし 今日は早く帰って一緒の時間を
いっぱい過ごそうって思ったんだ

夜には美味しいものも食べるって聞いてたから
お昼はおにぎりとオニオンスープで軽く済ましてた
5時近くなって手が震えて 脱力感があって体が熱くて
インフルエンザだったらどうしようって思ったけど
きっとお昼軽めにしたから血糖値が下がったせいだって
なんとか甘いカフェオレでのりきって定時少し過ぎに帰った

おじちゃんたちが家に来てると思いながらドアを開けると
見馴れない靴が2人分 肩を寄せるように並べられていて
それを見てすぐに大声で「ただいま~」って言った

みんなはお昼海賊料理の海鮮焼きを食べたからって
お腹いっぱいだってこたつから動きそうになかったけど私は「あ~お腹空いた!」って大げさに言って
先にご飯をチンしてたまごかけご飯を食べてた
それを見た2人が慌てて動き出して
「ちょっと待ってな、今いい肉焼いてやる」
って2人で夕飯のステーキを焼いてくれた

私はずうっと2人に話しかけながらご飯を食べてて
いつもお父さんやお母さんと話してるみたいに話したけど
話ながら 大声で話す自分は
まるでお昼の時の職場の人みたいだと思った
みんなでステーキを食べた後 お腹いっぱいだって口々に言ってお母さんの漬けたガリを「食べた方がいいよ」と出して
わいわい言いながらお茶を沸かして またアイスを食べた
その間もいっぱい笑い合って話しした

おじちゃんたちが地元のホテルに泊まるのを見送った後
ああ本当に元気そうで良かったって思った

ジュースのせいで本当はそこまでお腹は空いてなかったけど
なぜか口をついて「お腹空いた」って言っちゃったんだ
そこからおじちゃんたちがチャキチャキ動きだした

仕事をしながら吐血や下血したおじちゃん
がんになって治療中のおばちゃん

お母さんがおじちゃんから電話でおばちゃんのがんを聞いた時 おじちゃんが弱ってるって聞いた

あの時無理に誘う形だったかもしれないけど
「気にしないで遊びに来て!遠慮することはないからね!隣の家が火事になった時 他人を泊めた位だからさ」って
電話口で少しおどけて 強引に誘った

色々考えて心配するお母さんと
遠慮しいで気が弱いおじちゃんは
姉弟なのに大人の 余所の家庭同士の何かがあるから
時にはそんなのも気にしない 職場の人みたいな強引さが
気楽な時もあるから

私は積極的な人たちに囲まれてて良かったって思った
こんな時 普段見慣れた人たちみたいになれたから

大人だけなら言い含めてしっとりしちゃうことがあっても
元気な子どもがいてぱくぱく食べていっぱい話して笑ってたら それだけで周りが活力をもらう時もあるから

姪が来た時のことを思い出しながら
今日みたいな嘘も 
嘘にも人を元気にさせる良い嘘があるんだってわかったんだ

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