命の果実

ドージオン王バドプロフⅢは獅子の名前を持つ王として知られていました

ドージオン王は神への信仰も大変熱心で民からも尊敬される王でした

そのためドージオン国は女神エルヘアへの信仰の証である命の果実を育てる事が許されていました

しかしドージオン王には后がなかなか見つからず、それが悩みでした

そんな中やっとドージオン王に后の向かい入れる話があがりました

ドージオン国に后として向かい入れられるフォーデルカイヤは大変美しいと評判でした

ドージオン王は大変美しいフォーデルカイヤの事をとても気に入り、后として歓迎しました

しかしドージオン王は美しいフォーデルカイヤが年をとり老いてしまうのを恐れました

何とかしたいと考えたドージオン王は、女神エルヘアへと捧げられるはずだった命の果実を少しだけこっそりと盗み出すよう命じてフォーデルカイヤに与えていました

最初は不安だったドージオン王も繰り返す内に慣れていきました

ドージオン王の願いが叶い、長い年月が経ってもフォーデルカイヤは始めて見た日と同じ若いままの姿でいました

しかし反対に命の果実を食べていないドージオン王は日に老いて行きました

ドージオン王は自分も若さを取り戻したいと考え自分も命の果実を食べようとしました

しかしどんなに命の果実を食べても老いたドージオン王は若返りはしませんでした

ドージオン王はだんだん若いままのフォーデルカイヤに対し嫉妬するようになり、そしてちょっとした事で怒るようになり、ついにはフォーデルカイヤを殺してしまいました

理由の思いつかないドージオン王は、フォーデルカイヤの殺害をフォーデルカイヤの裏切りに対する処刑という事にしてこの件をおさめました

しかししばらくすると、ドージオン王はフォーデルカイヤの美しさが脳に蘇りそれが頭から離れられなくなりました

ドージオン王はとうとう我慢できなくなり容姿が少しでもにている女性を国中の名族から探すよう命じました

しかしどんなに探してもそんな容姿の女性は見つかりませんでした

そんな中、長年続けてきた果実を盗みが家臣に見られてしまい、宮廷中にそに噂が広まりると、盗ませた部下に全ての罪を着せ処刑しました

ドージオン王はフォーデルカイヤに似た女性も見つけられず、果実ももう盗めないと気を落としていると、粉挽き屋の娘フィオエがフォーデルカイヤと見間違える程に似ていると言う噂を耳にしました

早速ドージオン王はフィオエを部下に探させ宮廷に連れてこさせました

フィオエは確かにフォーデルカイヤと瓜二つでした

しかしフィオエが王の求愛を断ると怒りのままにフィオエを殺害してしまいました

ドージオン王はその後結局、世継ぎのために家臣の勧めで名族の娘イリを后にしましたが関係はうまくは行きませんでした

王はある夜、フォーデルカイヤの夢を見ました

夢の中でフォーデルカイヤは”自分はここにいるから迎えに来て欲しい”と自分のいる場所を王に伝えました

王は翌朝半信半疑でその場所へ行くと、当時の姿のままのフォーデルカイヤがそこに座っていました

王は当時の事を謝罪し、喜んで宮廷に連れ帰ると、家臣たちは驚きの表情を浮かべました

中には逃げ出す家臣もいました

家臣たちには、王の連れ帰ったものは巨大な蛇に見えていました

その後、王は連れ帰ってきた蛇とともに部屋に閉じこもり、二度と部屋から出て来る事はありませんでした

フィオエは、少し離れた場所から王が蛇とともに部屋に閉じこもる様子をしばらく見ているとそのままどこかへ去っていきました

次の日、ドージオン国の命の果実の樹は全て枯れてしまいました


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