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グローバルイベント成功の秘訣ー日韓スタートアップイベント「2024 L-Camp Japan」を開催して

2024年10月16日、日韓のスタートアップイベント「2024 L-Camp Japan」が開かれました。今回の開催は去年に続いて2回目
このイベントを運営したロッテベンチャーズ・ジャパン(以下、LVJ)の申は、1回目の経験を踏まえ、イベントを飛躍的に進化させました。
どんな課題があり、どう改善したのか?
申本人によるリポートをお届けします。


はじめに

こんにちは。LVJのキャピタリスト、申です。
まずこちらの写真をご覧ください。私たちLVJが去年初めて開催した日韓のスタートアップイベント「2023 L-Camp Japan」のものです。

「2023 L-Camp」の様子

 「L-Camp」「L-Camp Japan」とは?

L-Campとは韓国ロッテベンチャーズ(以下、LVK)が運営しているアクセラレータプログラムです。初期のスタートアップを発掘、育成、投資をすることで、スタートアップには成長の機会を、LVKには投資リターンとロッテの新規事業創出の機会が得られる相互利益のあるプログラムとして、今までに合計150社以上を選抜・育成しています。
L-Camp Japanは、日韓スタートアップの交流の場を作り、韓国スタートアップの日本進出をサポートすることを目的に、日韓のロッテベンチャーズが協力して2023年に初めて開催されました。

ロッテベンチャーズ・ジャパンと韓国ロッテベンチャーズの関係

私たちLVJの拠点は日本にあります。一方、LVKは韓国に本拠地を置き、韓国を中心にグローバルスタートアップ投資を行っています。
LVKは2016年から活動を始め、約20のファンドを組成、270社以上に投資を実行しているとても大きい部隊となっています。LVJはLVKの日本版として2016年に設立。いわば兄弟のような関係です。

「2023 L-Camp Japan」の振り返り

冒頭にお伝えしたように、初めてのL-Camp Japanは大成功でしたが、課題と感じることもあり、今回はその経験を生かして準備をする必要がありました。
まずは、「2023 L-Camp Japan」の振り返りをしてみたいと思います。

「2023 L-Camp Japan」の終わりに

第1回L-Camp Japanは、「日本に興味のある韓国のスタートアップ」そして、「韓国に興味のある日本のスタートアップ」には、「日韓のロッテベンチャーズを想起してもらう」という大きな目的をもって開催されました。LVJができて初めての公式な日韓ロッテベンチャーズのイベントだったので、大きな規模での開催を目標にしていました。
豪華ゲストをパネリストとしてお招きし、大きな会場を借りて、集客に励みました。日本での集客はLVJのメンバーが頑張り、200人以上の方にご来場いただきました。当日ご来場いただいたお客様にL-Camp Japanの活動を知っていただけたのはもちろん、たくさんのお客様でいっぱいになった会場の写真は、日韓のロッテベンチャーズを知っていただく良いきっかけになったと自負しています。

お客さんでいっぱいでした

「来年はもっと良くしたい」

大成功のうちに幕を閉じた「2023 L-Camp Japan」でしたが、課題がなかったわけではありません。
パネルディスカッションが終わってピッチが始まると、お帰りになる方がちらほら見られました。私たちは、その理由を考えました。

韓国から来ていただいた11社中6社は母国語ではない日本語でピッチを用意されていました。しかし、慣れない言語で初めて知ってもらう内容を話すので、理解するのが難しいところもありました。
また、ピッチ11社は多いことが分かりました。一社聞くのにも大きな体力を要する海外スタートアップのピッチを、11社も聞くのは大変です。その結果、せっかくお越しくださった方々が少しずつ席から離れていってしまったのです。

その次のアクションにつなげにくいのも課題でした。「日本進出を希望する企業」だけを基準にして選抜したため、AI、SaaS、ファッション、セキュリティー、などなど…登場スタートアップの分野はばらばらでした。
それらの企業の韓国での事業紹介がメインになっていたので、お越しいただいたVC・CVCの方々からすると協業・投資の検討がかなり難しいのも当然です。加えて、日本では「韓国スタートアップ」への関心はまだまだ低いと実感しました。
ピッチが終わった後のネットワーキングは、韓国スタートアップ同士・日本VC同士の会話が多く、少し寂しい形で終わってしまいました。

「大きな規模で開催し、日韓のロッテベンチャーズを知ってもらう」という目標は達成できました。けれど、お越しいただいた方々に何かを持ち帰っていただけたでしょうか。「来年はもっと良くしたい」と強く思いました。

経験を生かし、次のステップへ 

前回の経験を踏まえ、今年のL-Camp Japanの準備にあたり心がけたのは、「つながりたい人同士がつながれるように」ということでした。規模のことは考えず、せっかく集まってくださる方々が少しでも何かを得ることができる会にすることを目標にしました。

そのために考えた大方針が以下の通りです。

  • 一方的な発信の時間より、コミュニケーションの時間を多く持つ

  • 話がしやすいように、領域のテーマを絞る

  • 会いたい人に会いやすくするために、人数を少なめ

  • 忙しい方々が集まるので、全体の時間も短め

これで、お越しくださった方々に短い時間に少しでも次につながる何か(投資でも、協業でも、情報交換でも)を得ていただけたらと考えました。そこで、前回から以下のような点を改善しました。

前回との比較ポイント

ついにイベント当日!

当日のイベントは以下3部で構成しました

  • ミートアップ:日本VC×韓国スタートアップ、韓国VC×日本スタートアップ(5組ずつ)の1on1

  • スタートアップのピッチ

  • ネットワーキング

【ミートアップ】

VCとスタートアップの興味分野を考慮した上で、20分間の1:1の面談をセット(3回)しました。全体のピッチを聞くのももちろんいいのですが、やはり1:1の方がお互いの理解も深まり、より深い関係性を作ることができます。LVJの「ちゃぶガチ」(※)の経験からも、その有益性を身をもって感じていたので、L-Campにも取り入れることにしました。LVJの投資は、「ちゃぶガチ」がきっかけだったケースも多いのです。

ちゃぶガチとは?

ミートアップの様子。皆さん熱心に言葉を交わしています。

今回のミートアップはある意味「グローバル版ちゃぶがち」とも言えます。参加したVC・CVCには事前に興味のある分野を聞いた上でスタートアップをマッチしたおかげで、関心を持った状態で会話ができ、当日の面談後に追加の面談が決まったところも多くありました。今後、このミートアップをきっかけに資金調達の事例が出たらいいなと期待しています。

【ピッチ】

 一言でピッチといっても、海外企業の海外の事業についてのピッチを理解するのは、日本国内の企業のピッチを理解するのの何倍も難しいです。言語の壁はもちろんのこと、国内企業なら言わなくてもわかる様々な「前提」「常識的な知識」も含めて説明しないといけないのです。
韓国のスタートアップの界隈では「現地では現地の言語で」という強迫観念的な考えがあります。現地でビジネスをするには、その場所の文化や言語を理解するのが大前提になるので、その考え自体は間違っていないと思います。しかし、5分~10分という限られた時間で事業を理解してもらう必要があるピッチでは、この強迫観念があだとなる場合があります。
そのため、参加した韓国スタートアップには、ある程度の日本語ができる企業もありましたが、基本的に韓国語(+同時通訳)での発表をお願いしました。

そして、以下のポイントを必ず入れるようにお願いしました。

  • 現在の業績(売上・利益。又はKPIを定量的に)

  • 日本に対する期待、進捗状況

ピッチの様子。資料は日本語で
慣れない外国語でのピッチはプレゼンターの集中力を阻害する可能性が。
そこで、韓国語+日本語同時通訳を取り入れました。

【ネットワーキング】

スタートアップイベントの醍醐味はネットワーキングだと思います。ここでどれくらい盛り上がるかが肝。一方、グローバルイベントの場合は言葉や文化の壁が大きく立ちはだかるので、特に難しい局面でもあります。
そんな中ですが、今回は、ビジネスの領域を絞って関心分野が近い方々をお招きしたこともあり、30分の予定を急遽一時間に延長するほど盛り上がりました。

ネットワーキング会の様子

テーマ選定が成功の鍵

今回一番良かった点は、スタートアップの領域を決めたことだと思います。去年はまだ日韓スタートアップの交流そのものが始まったばかりだったため、母数も少なく、どんな分野が合うか考察するのも難しい状態でした。
しかし、この一年間の経験を通じて、
①日本が韓国に期待している(韓国がすぐれている)コンテンツ分野
②韓国に比べて圧倒的に市場規模が大きいSaaS分野

であれば、お互いの会話が成り立つと判断し、それに合わせて募集をかけました。(韓国側スタートアップのみ。日本側スタートアップの参加は始めてだったのもあり、分野の制限は設けませんでした。)
その狙い通り、興味がある人同士が熱い議論を交わし、今後・未来のための足掛かりとなる時間になったのではないかと思います。

参加スタートアップリスト

嬉しい言葉

今回のイベントが終わった後にいただいて一番嬉しかった言葉は、「あの日会ったスタートアップの⚪︎⚪︎さんと今度ミーティングすることになりましたよ。」です。
結果的に投資や協業までに至るかはこれからですが、この言葉を聞いて、点と点がつながったという実感がわきました。

これからも日韓のスタートアップを盛り上げるために

日韓の間には、つながると爆発的な相乗効果が起きると期待できる点がたくさんあります。
日韓のロッテベンチャーズは、その点と点をつなげるために少しでも貢献したく、これからも頑張っていきます。このようなイベントのみならず、今後も様々な活動をしていきたいと思います。
関心があるVCの方、スタートアップの方はいつでも連絡をください!
一緒に日韓のスタートアップを盛り上げていきましょう。

今回の企画に関わったLVK・LVJメンバー

今後も日韓スタートアップエコシステムに貢献していきます!!!

最後に

今後のnoteでは、社内のことや投資先の情報を発信していきます。
また、X(旧Twitter)もぜひご覧ください!

https://twitter.com/LOTTEVENTURES

LVJでは、事業や資金調達についてのご相談を受け付けております。
お気軽に、以下のフォームよりお問い合わせください。

最後までご覧いただき、どうもありがとうございました!
今後ともLVJをよろしくお願いいたします。


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